■日商簿記2級は"資格取得のメリット"がすごい!
「日商簿記2級は転職に有利」とはよく言われていますが、なぜなのでしょうか。また実は転職だけでなく、今の仕事にも役立つ知識なので、一生使えるスキルを身につけられる資格だと言えるでしょう。メリットを具体的にお話します。
(1) 経済の基礎、会社のお金の流れを把握できる
①財務諸表を読み解くにあたって基礎が身につく
簿記はビジネスにおける世界共通の経済言語と言われており、経済の動きを把握するために必要な知識です。そのため経理職に携わる人だけではなく、その他の職種に携わる人にとっても知っていて損はないものです。
具体的には財務諸表を読み解き、分析をするための基礎知識が身につくほか、自分の会社や同業他社、クライアントなどの企業の財務状況がどのようになっているのか把握することができます。
貸借対照表(B/S)を理解すると?
- 取引先の資金繰りや経営の安定性が分かる
- 取引先が借入金の多い会社なら、「価格よりも支払い条件を柔軟にする方が喜ばれる」と判断できる
- 資産が多く利益剰余金が豊富なら、「長期的な高額契約を提案できる」と考えられる
さらに経済新聞に載っているような記事についても会計の専門用語を知ることにより、一層理解できるようになるでしょう。財務諸表を読み解くためには、簿記2級程度の知識が必要だと思います。
②営業職でも簿記2級レベルの知識は有用
そのほかにも、例えば営業職であれば抽象的な提案をするより、数字に基づく提案をすることにより、具体性が増します。
営業の仕事では「いかに商品を売るか」が重要ですが、利益を確保しながら販売することも非常に大切です。
例えば、単純に価格を下げて売るのは簡単ですが、それでは利益率が下がり、会社の経営を圧迫します。日書簿記2級を学ぶことで、以下のような「利益を意識した営業」ができるようになります。
損益計算書(P/L)を理解すると?
- 粗利(売上総利益)の計算ができるようになる
⇒「この価格で売ると、利益はどれくらい残るか?」を計算しながら価格交渉ができる
- 限界利益の考え方が身につく
⇒「この取引は利益を生み出せるのか?」を判断し、不採算な取引を避けられる
- 値引きがどれだけ利益に影響するか理解できる
⇒「1万円値引くと、どれくらいの売上を追加で取らないといけないか?」を計算できる
営業として「売ること」だけでなく、「利益を確保すること」まで意識できるのは大きな強みになります。
(2) 上位資格取得のためのきっかけになる
日商簿記2級に合格することにより、上位資格の日商簿記1級や税理士、公認会計士を目指すきっかけになるのではないでしょうか。
日商簿記2級をゼロから学習する場合には400時間を要するといわれていますので、やり抜いたという自信に繋がり、さらなる高みを目指すきっかけになることも多いようです。
また、学生を教えている立場から見ていると、簿記の楽しさや魅力に気づき始めるのは簿記2級程度の知識がつく頃ではないでしょうか。
(3) 事務職・経理職の求人で「必須資格」になることもある
求人票をチェックすると、「日商簿記2級以上が応募条件」となっている企業が多数あります。これは、日商簿記2級程度の知識を有している者が即戦力候補とされている証ではないでしょうか。
さらに実務経験があることにより、さらなる高評価対象になります。まずは資格があるだけで書類選考の第一関門クリアに繋がることでしょう。
経験上、日商簿記3級が応募条件になっている求人はあまり見かけないことからも、持っていれば選択肢が広がるというのは間違いないでしょう。
(4) 転職市場での評価が高い
日商簿記2級は経理職・財務職の転職市場で強い武器になる資格のひとつです。
転職エージェントであるジャスネットコミュニケーションズによると、「簿記2級を持っている=一定の会計知識がある」と評価され、経理の実務経験がなくてもポテンシャル採用されるケースが増えているようです。
本来であれば経理は実務の経験が高く評価される職種なので、未経験から経理にジョブチェンジしたいと思った際には、まず日商簿記2級を取得することが必須だと言えるでしょう。
■日商簿記2級を取得すると年収はあがるのか?
(1) 経理職の平均年収
経理・財務の仕事に就いた場合、年収400万~600万円程度が一般的です。大手企業では、30代で700万円以上の年収を得るケースもあります。
下記は、あくまでも目安とお考えください。
<企業規模による年収の違い>
- 中小企業の経理職 ⇒ 年収300万~500万円
- 上場企業の経理職 ⇒ 年収500万~800万円
- 外資系企業の経理職 ⇒ 年収500万~1000万円
(ジャスネットコミュニケーションズ調べ)
(2) 資格を取得すると年収があがる理由
企業によっては日商簿記2級を取得することで資格手当が支給され、給与がプラスになるようです。また、より専門的な業務に関わることができるため、役職がつくなど給与ベースがアップする場合もあるようです。
日商簿記2級を重視する企業では、資格取得のためのサポートとして試験費用の負担などがある場合もありますので、まずは自分が働く会社の支援について調べてみましょう。
さらに日商簿記2級を取得することで、上位資格の日商簿記1級や税理士、公認会計士に挑戦するきっかけとなり、キャリアアップを叶えるパターンもあります。
(3) 転職時の年収アップ事例
簿記2級を活かして転職した場合、年収が50万~100万円アップするケースも少なくありません。ジャスネットの事例によると、日商簿記2級取得者の約80%が、年収アップを実現しているようです。
<経理30代の転職成功事例>
【書類通過の弱点の克服をサポートして内定を得る】
年収400万円 ⇒ 470万円
■日商簿記2級を活かせる求人例3選
では次に転職市場で特に需要の高い、簿記2級を活かせる求人を紹介します。
(1) 上場企業の経理職(年収500万~800万円)
決算業務や財務分析を担当し、会社の経営に直結するポジション。
企業によっては、簿記2級+実務経験があれば、管理職として採用されることもあります。
(2) 会計事務所スタッフ(年収400万~600万円)
税理士のサポート業務を担当し、クライアントの会計処理を行う仕事。
実務経験を積めば、税理士試験に挑戦し、独立も可能です。
(3) IT企業の経営企画(年収500万~1000万円)
簿記2級の知識を活かし、企業の予算管理や財務戦略を担うポジション。
特に急成長中のスタートアップ企業では、簿記2級が評価されやすい傾向があります。
■まとめ
日商簿記2級は、転職・年収アップ・スキルアップの面で非常にメリットが大きい資格です。特に、経理・財務職を目指す方にとっては、最もコスパの良い資格のひとつと言えることがおわかりいただけましたでしょうか。
日商簿記2級の取得に興味を持った方は、こちらのコラムもぜひ参考にしてください。
「転職を考えている」「年収を上げたい」という方は、ぜひ日商簿記2級に挑戦してみてください。