■なぜ経理出身者が経営企画で重宝されるのか
(1)企業の財務構造への深い理解
経理出身者が経営企画部門で高く評価される理由は、企業経営の基盤となる財務面での深い理解にあります。経営戦略を立案する際、どれだけ素晴らしいアイデアであっても、財務的な裏付けがなければ絵に描いた餅に過ぎません。
経理担当者として培ってきた数字に対する感度と、企業の財務諸表への理解は、現実的で実現可能な戦略を構築する上で不可欠な要素なのです。
(2)過去のデータに基づいた計画立案とコスト意識
月次決算や年次決算を通じて企業の業績推移を詳細に把握している経理出身者は、過去のデータから将来の業績予測を立てる能力に一日の長があります。この能力は事業計画の策定や投資判断において極めて重要です。単なる希望的観測ではなく、
過去の実績データに基づいた説得力のある計画を作成できる
ため、経営陣からの信頼も厚くなります。
コスト意識の高さも経理出身者の特徴です。新規事業や投資案件を検討する際、収益だけでなくコストやリスクも同時に考慮する習慣が身についているため、バランスの取れた提案ができます。
(3)各部署とのつながり
経理業務を通じて社内の各部署とのやり取りを経験していることも大きな強みです。営業部門の売上計上プロセス、製造部門の原価管理、人事部門の人件費管理など、
会社全体の業務フローを理解しているからこそ、部門横断的な現実的な視点で戦略を立案できる
のです。
■経営企画への転職で実際に評価される経歴・年収相場
経理から経営企画への転職を検討する際、「実際にどんな経歴が評価されるのか」「年収はどう変わるのか」は最も気になるポイントでしょう。ここでは、ジャスネットキャリアで実際に取り扱っている経営企画求人を例に、企業フェーズごとの傾向を見ていきます。
(1)IPO準備中・成長中のベンチャー企業
月次・年次決算や予算編成の経験があれば、経営企画としての実務未経験でも土台を一気に作れる層です。ただし、誰でも歓迎されるわけではありません。スタートアップ・成長企業ほど、
限られた人数で経営の意思決定を支える「一人で経営を見られる人材」を求める傾向が強く
、管理会計・FP&Aの実務経験や、複雑な数字を構造化して語れる論理的思考力が問われます。その分、経験と能力が伴えば経理・管理会計出身者でも高年収での採用に至るケースがあります。
【求人例①】
WEB3.0で世界に挑むスタートアップ企業の【管理会計/経営企画(FP&A)】を募集!
職種:
経理(管理会計)、経営企画
仕事内容
-
予算管理・予実分析の改善・高度化
-
単体および連結ベースでの年度予算・中期経営計画の策定
-
各事業特性に合わせたKPIツリーの構築と、先行指標の明確化。モニタリング。
-
HD化に伴うグループ横断での管理会計フローの設計と各子会社からの数値報告プロセスの効率化
-
BIツール等を用いた経営ダッシュボードの設計・運用
-
AIを活用した管理会計の仕組み化及び推進
-
経理・財務・トレジャリーとの有機的な連携フローの構築
応募条件
(必須スキル)
-
事業会社での経営管理・FP&A・経営企画の実務経験(目安3年以上)、またはコンサルティングファーム・投資銀行での財務分析・モデリング経験
-
複雑な事象を数値という共通言語で整理・説明できる論理的思考力と構造化能力
勤務時間:
9:00 〜 18:00
雇用形態:
正社員
給与:
700万円 〜 1,000万円
この求人のように、単体決算だけでなく連結・グループ管理会計まで踏み込んだ経験があると、スタートアップ・成長企業フェーズでも上場企業水準に近い年収レンジが狙えることが分かります。
(2)中堅・成長企業
経理決算業務(月次・年次・予算編成等)の経験があれば、必ずしも経営企画の実務経験がなくても挑戦できる求人が中心の層です。BS・PLの基本的な理解があれば応募可能なケースも多く、管理会計や経営管理の実務経験がある場合はさらに選考が有利に進みやすくなります。
【求人例②】
経理経験から挑戦できる経営企画/創業65年以上の安定企業!
職種:
経営企画
仕事内容
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予算編成・管理、実績分析、差異分析
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経営レポート、報告書の作成
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経営課題の抽出、改善施策の立案、実行
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投資計画資料の準備・とりまとめ
-
経営層への報告資料・提案書の作成
(経営会議・取締役会向けなど)
応募条件
(必須スキル)
-
BS、PLの基本的な理解のある方
(経営企画の実務経験は不問です)
勤務時間:
9:00 〜 18:00
雇用形態:
正社員
給与:
501万円 〜 601万円
(3)上場企業・大手企業
中期経営計画の策定、社内データ分析、DX推進など経営企画の中核業務を経験できる層です。M&AやIRなど特定機能に特化したポジションでは高い専門性が求められる一方、実際には「経理経験」「企画業務経験」「コンサル経験」「経営企画・管理経験」のいずれか一つがあれば応募可という、比較的間口の広い求人も存在します。ワークライフバランスを重視した働き方(残業を抑えた勤務時間設定など)を掲げる上場企業も増えており、経験の幅よりも「どの経験を経営企画でどう活かしたいか」を明確に語れるかが選考のポイントになります。
【求人例③】
ワークライフバランスの取りやすいプライム上場企業にて経営企画職を募集
職種:
経営企画、経理(管理会計)
仕事内容
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①中期経営計画・年度計画の策定及び進捗管理
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②社内データの分析・マイニング
-
③社内DXの推進
-
④社内意識改革
-
その他、経営企画・管理業務全般を担当していただきます。
応募条件
(必須条件:下記いずれか)
-
経理経験のある方
-
営業企画等何かしらの企画業務のご経験がある方
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コンサルティング業務のご経験がある方
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一般企業で経営企画・管理業務の経験がある方
勤務時間:
09:00 〜 17:30
雇用形態:
正社員
給与:
600万円 〜 700万円
こうして3つの求人を並べてみると、経営企画の年収は
「未経験・経験不問枠なら500万円台」「管理会計やFP&A、連結決算といった専門性の高い実務経験を持つ人材なら700万円〜1,000万円」
という形で、経験値に応じて大きく開くことが分かります。
特にスタートアップ・成長企業では、経営の意思決定を数字面から支えられる人材に対して、大手以上の年収を提示するケースも珍しくありません。単に「経理出身です」というだけでなく、管理会計や予算編成でどこまで踏み込んだ経験を積んできたかが、年収を左右する最大のポイントと言えるでしょう。
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■20代・30代・40代—年代別に見る経理から経営企画への戦略
同じ「経理から経営企画へ」でも、年代によって評価されるポイントと戦略は異なります。
(1)20代:ポテンシャルと学習意欲で勝負
実務経験の絶対量ではまだ差別化しにくい年代です。
中小企業診断士や簿記1級
への挑戦、
管理会計業務
への自主的な関与など、「経営企画を目指して学び続けている」姿勢そのものが評価材料になります。中堅企業やベンチャー企業の未経験可求人が主なターゲットです。
(2)30代:管理会計・予算編成の実務経験を武器にする
決算実務は一通り経験済みという前提で、「管理会計にどこまで踏み込んだか」が評価の分かれ目になります。
部門別損益分析、予算編成プロセスへの参画、M&Aデューデリジェンス
への関与など、経営判断に近い業務経験があるかどうかが問われます。
中堅企業の経営企画ポジションや、上場企業の特定機能(予算管理など)への応募が現実的な選択肢です。
(3)40代:マネジメント経験と財務知見の掛け合わせ
経理チームのマネジメント経験があれば、経営企画でも「戦略を立てるだけでなく、実行組織を動かせる人材」として評価されます。この年代では、単なる経営企画メンバーではなく、経営企画のマネージャー・責任者クラスのポジションも視野に入ります。業界特有の商慣行や規制環境への理解も、40代ならではの強みとしてアピールできます。
■どのような経験を積めば経営企画への道が開けるのか
経理から経営企画への転身を成功させるためには、従来の経理業務を超えた幅広い経験を積むことが重要です。
(1)管理会計に携わる
単純な記帳業務から一歩踏み出し、
部門別損益の分析や製品別収益性の検討
など、経営判断に直結する分析業務に携わることで、戦略立案に必要な思考力・業績の見方を養うことができます。
(2)予算編成プロセスへの参画
各部門からの予算要求を取りまとめ、全社的な視点で調整を行う
過程で、事業戦略と数字の整合性を図るスキルが身につきます。予算編成が経営企画のタスクそのものとなることも多いため、経理部門でこの経験を積めるのであれば積極的に関与すべきです。
(3)M&Aや投資案件のデューデリジェンス業務への参加
他社の財務状況を分析し、投資価値を評価する過程で、企業価値評価の手法や事業リスクの見極め方を学ぶことができます。これらのスキルは経営企画の核となる能力です。
(4)システム導入の推進など全社プロジェクトへの参画
ERPの導入や会計システムの刷新など、全社的なプロジェクトを推進する経験は、経営企画として様々な改革プロジェクトを牽引する際の貴重な財産となります。
■経営企画に必須の戦略的思考力を身につける方法5つ
数字を正確に処理する能力に加えて、戦略的思考力を意識的に訓練することが重要です。
①ビジネスの流れを常に意識する
/売上増減の背景にある市場環境や競合動向を多角的に分析する習慣をつける
②競合分析のスキルを磨く
/同業他社の有価証券報告書や決算説明資料を定期的にチェックし、自社との比較分析を行う
③ケーススタディの学習
/ビジネススクールで使われるケーススタディを自習し、戦略立案の思考プロセスを体系的に学ぶ
④社内の戦略会議やプロジェクト会議への参加
/財務面からの提言を求められる機会を通じて、実地で戦略立案プロセスを学ぶ
⑤外部のセミナーや研修への参加
/最新のフレームワークや他社の経営企画担当者との交流から知見を得る
■経営企画への転身を後押しする資格
資格取得は自己研鑽の証明と専門性のアピールという二重の効果をもたらします。
①中小企業診断士:
財務・会計だけでなく、経営戦略、マーケティング、組織運営など経営全般に関する知識を体系的に習得できます。経営企画を目指す経理担当者にとって最も価値の高い資格の一つです。
②MBA(経営学修士):
経理業務で培った数字への強みを活かしながら、ファイナンス理論やケーススタディを通じて戦略立案スキルを磨けます。同期生とのネットワーク構築という副次的効果も期待できます。
③証券アナリスト:
企業価値評価の手法や業界分析のフレームワークを習得でき、M&Aや新規投資の検討で即戦力として活躍できるスキルが身につきます。
資格ごとの詳しい取得順序やキャリアパス別の選び方は、
【経営企画を目指す人のためのオススメ資格完全ガイド】
でさらに詳細に解説しています。
■どのような企業で経営企画のキャリアを積むべきか
(1)上場企業
中期経営計画の策定、予算統制、M&A実行支援など、経営企画の王道的な業務を一通り経験できます。IR業務や株主総会運営などを通じて資本市場との接点も持てます。
(2)成長企業・ベンチャー企業
常に人手が不足しがちなため、経理実務の経験を買われて経営企画の役割も期待されることが多い層です。戦略の立案から実行まで一気通貫で関わることが多く、意思決定のスピードも速いため、大手企業では得られない経験を積めます。
(3)コンサルティングファーム
多様な業界のクライアントへの戦略立案支援を通じて、短期間で幅広い業界知識と戦略立案スキルを習得できます。ただし通常はトップ大学卒やMBAホルダー中心の採用のため、経理から直接の転職はハードルが高く、「会計系ファーム」「FAS(財務アドバイザリー)」を経由する方が現実的です。
(4)グローバル企業の日本法人
本社とのやり取りを通じて、国際的な視点での経営企画業務を経験できます。異文化コミュニケーションや国際会計基準への対応など、将来の可能性を広げるスキルが身につきます。
なお、経営企画そのものの業務内容や1日の流れをまだ具体的にイメージできていない方は、先に
【経営企画の仕事内容とは?業務の種類・1日の流れ・他部門との違いを徹底解説】
で全体像を押さえておくと、この後のキャリア戦略も立てやすくなります。
■転職エージェントを活用して成功させるには
経営企画職の求人は非公開案件が多く、求められるスキルも多岐にわたるため、専門的な知識を持つエージェントのサポートは重要です。
経理・財務系の転職に強いエージェント
と、
経営企画・コンサルティング系に強いエージェント
の両方に登録することをお勧めします。前者では経理経験を活かせる経営企画ポジションを、後者では戦略立案能力を評価してくれる案件を紹介してもらえる可能性があります。
面談では、「管理会計の経験を活かして事業収益性の分析を行いたい」「予算編成経験を活かして中期経営計画の策定に貢献したい」といった具体的なビジョンを伝えることで、より適切な案件を紹介してもらいやすくなります。職務経歴書でも、数字そのものだけでなく、その数字から導き出した改善提案や戦略的判断を行った経験を前面に出すことが重要です。
なお「経営企画への転職はそもそもどのくらい難しいのか」を先に把握しておきたい方は、
【経営企画に転職するには?難易度・年収相場・成功のポイントなど】
も参考にしてください。
経理・会計専門のジャスネットで経営企画の求人を探す
■まとめ
経理から経営企画への転身は、専門性を活かしながら新たな挑戦ができる魅力的なキャリアパスです。財務・会計の深い知識と企業全体を俯瞰する視点を持つ経理出身者だからこそ、実現可能性の高い戦略を立案し、企業の成長に貢献することができます。
成功の鍵は、経理としての専門性を基盤としながら、自分の年代・経験値に合った企業フェーズを見極め、戦略的思考力とコミュニケーション能力を段階的に身につけていくことです。適切な準備と明確なビジョンを持って臨めば、経理から経営企画への転身は必ずや成功するでしょう。
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