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経理から経営企画への道筋は? 経理から戦略立案のエキスパートになるためのキャリアアップ戦略

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2025年10月9日 ジャスネットキャリア編集部

経理業務を通じて企業の数字を熟知しているあなたは、実は経営企画への転身において大きなアドバンテージを持っています。財務データの裏側を理解し、企業の実態を数字で把握できる経理担当者だからこそ、実現可能性の高い戦略立案ができるのです。

しかし、経理から経営企画へのステップアップには、会計知識だけでは不十分です。本記事では、経理実務経験者が経営企画として活躍するために必要なスキルセット、キャリアパスの描き方、具体的なキャリアアップ戦略をお伝えします。

目次

■なぜ経理出身者が経営企画で重宝されるのか

(1)企業の財務構造への深い理解

経理出身者が経営企画部門で高く評価される理由は、企業経営の基盤となる財務面での深い理解にあります。経営戦略を立案する際、どれだけ素晴らしいアイデアであっても、財務的な裏付けがなければ絵に描いた餅に過ぎません。 経理担当者として培ってきた数字に対する感度と、企業の財務諸表への理解は、現実的で実現可能な戦略を構築する上で不可欠な要素 なのです。

(2)過去のデータに基づいた計画立案とコスト意識

月次決算や年次決算を通じて企業の業績推移を詳細に把握していると経理出身者は見られるため、過去のデータから将来の業績予測を立てる能力に一日の長があります。この能力は事業計画の策定や投資判断において極めて重要です。単なる希望的観測ではなく、 過去の実績データに基づいた説得力のある計画を作成できると見られる ため、経営陣からの信頼も厚くなります。

コスト意識の高さも経理出身者の特徴です。新規事業や投資案件を検討する際、経理実務経験者は収益だけでなくコストやリスクも同時に考慮する習慣が身についているため、バランスの取れた提案ができます。この現実的な視点は、経営企画部門において非常に価値の高いものとなります。

(3)各部署とのつながり

経理業務を通じて社内の各部署とのやり取りを経験していることも大きな強みです。

営業部門の売上計上プロセス、製造部門の原価管理、人事部門の人件費管理、販売費及び一般管理費の各種経費など、 会社全体の業務フローを理解しているからこそ、部門横断的な現実的な視点で戦略を立案できる のです。この全社的な視点は、経営企画担当者にとって必須のスキルと言えるでしょう。

■どのような経験を積めば経営企画への道が開けるのか

(1)管理会計に携わる

経理から経営企画への転身を成功させるためには、従来の経理業務を超えた幅広い経験を積むことが重要です。まず注目すべきは管理会計の領域です。単純な記帳業務から一歩踏み出し、 部門別損益の分析や製品別収益性の検討など、経営判断に直結する分析業務に携わることで、戦略立案に必要な思考力・業績の見方を養うことができます。

(2)予算編成プロセスへの参画

予算編成プロセスへの参画も貴重な経験となります。 各部門からの予算要求を取りまとめ、全社的な視点で調整を行う過程で、事業戦略と数字の整合性を図るスキルが身につきます。

予算編成が経営企画のタスクそのものとなることも多いのですが、経理部門で この経験を積めるのであれば積極的に関与すべきです。こうした経験は、経営企画として事業計画を策定する際に大いに活かされることになります。

(3)M&Aや投資案件のデューデリジェンス業務への参加

M&Aや投資案件のデューデリジェンス業務に参加する機会があれば、ぜひ積極的に関わるべきです。 他社の財務状況を分析し、投資価値を評価する過程で、企業価値評価の手法や事業リスクの見極め方を学ぶことができます。 これらのスキルは経営企画の核となる能力です。

(4)システム導入プロジェクトでのプロジェクトマネジメント

システム導入プロジェクトでのプロジェクトマネジメント経験も重要です。ERPの導入や会計システムの刷新など、全社的なプロジェクトを推進する経験は、経営企画として様々な改革プロジェクトを牽引する際の貴重な財産となります。

■経営企画に必須の戦略的思考力を身につける方法5つ

経理担当者が経営企画として活躍するためには、数字を正確に処理する能力に加えて、戦略的思考力を身につける必要があります。この思考力は一朝一夕には身につきませんが、日々の業務の中で意識的に訓練することで着実に向上させることができます。

(1)ビジネスの流れを常に意識する

まず重要なのは、担当している数字の背景にあるビジネスの流れを常に意識することです。売上が増減した理由を単に記録するだけでなく、市場環境の変化、競合他社の動向、自社の戦略の効果などを多角的に分析する習慣をつけましょう。この習慣が、やがて戦略立案に必要な洞察力を育てていきます。

(2)競合分析のスキルを磨く

競合分析のスキルを磨くことも重要です。日経新聞の業界記事や同業他社の有価証券報告書や決算説明資料の業績だけでがなく、事業の内容やリスク情報などの定性的な情報も定期的にチェックし、自社との比較分析を行うことで、業界全体の動向と自社のポジションを客観的に把握する能力が身につきます。この分析力は、経営戦略を立案する際の基礎となります。

(3)ケーススタディの学習

ケーススタディの学習も効果的です。ビジネススクールで使用されるようなケーススタディを自習することで、様々な業界の企業が直面した戦略的課題と解決策を疑似体験できます。これにより、戦略立案のフレームワークや思考プロセスを体系的に学ぶことができます。

(4)社内の戦略会議やプロジェクト会議への参加

社内の戦略会議やプロジェクト会議への参加機会があれば、積極的に手を挙げるべきです。財務面からの提言を求められることも多く、数字の専門家として貢献しながら戦略立案プロセスを実地で学ぶことができます。最初は発言する機会が少なくても、会議の流れや議論の進め方を観察するだけでも大きな学びとなります。

(5)外部のセミナーや研修にも積極的に参加する

外部のセミナーや研修にも積極的に参加しましょう。特に経営戦略や事業開発に関するセミナーは、最新のフレームワークや成功事例を学ぶ貴重な機会です。また、他社の経営企画担当者との交流により、業界を超えた知見を得ることも可能です。

■経営企画への転身を後押しする資格4選

経営企画への転身において、資格取得は自己研鑽の証明と専門性のアピールという二重の効果をもたらします。経理出身者が経営企画を目指す場合、会計の専門知識を活かしながら、戦略立案に必要な新たなスキルを習得していることを客観的に示す手段として、資格は有効なツールになります。

(1)中小企業診断士

中小企業診断士は経営企画を目指す経理担当者にとって最も価値の高い資格の一つです。この資格の学習過程で、財務・会計だけでなく、経営戦略、マーケティング、組織運営、生産管理、情報システムなど、経営全般に関する幅広い知識を体系的に習得できます。

また、 中小企業診断士の実務では、企業の経営改善計画の策定や事業再生支援など、まさに経営企画の業務そのものを経験することも可能 です。

(2)MBA(経営学修士)

MBA(経営学修士)の取得も非常に効果的です。特に国内外の名門ビジネススクールでのMBA取得は、戦略的思考力の向上だけでなく、同期生との人的ネットワーク構築という副次的効果も期待できます。

経理業務で培った数字に対する強みを活かしながら、ファイナンス理論やケーススタディを通じて戦略立案スキルを磨くことができます。 経理の人の自己研鑽の結果獲得するものなので、鬼に金棒といえます。

(3)証券アナリスト

証券アナリストの資格も経営企画職において高く評価されます。この資格の学習により、企業価値評価の手法、業界分析のフレームワーク、投資判断の基準などを習得でき、M&Aや新規投資の検討において即戦力として活躍できるスキルが身につきます。

■どのような企業で経営企画のキャリアを積むべきか

経営企画としてのキャリアを効果的に積むためには、転職先企業の選定が極めて重要です。企業規模、業界、成長ステージなどによって経営企画の役割は大きく異なるため、自身のキャリアゴールと照らし合わせて慎重に選択する必要があります。

(1)上場企業の場合

上場企業の経営企画部門は、体系的な経営企画業務を学ぶのに適した環境です。中期経営計画の策定、予算統制、投資案件の評価、M&A実行支援など、経営企画の王道的な業務を一通り経験できます。また、IR業務や株主総会運営なども経験でき、資本市場との接点を持つことで外部の視点も養われます。

(2)成長企業・ベンチャー企業の場合

成長企業やベンチャー企業では、より幅広い業務を担当することになります。常に人手が不足しがちなので、むしろ、経理実務の経験を買われて経営企画の役割も…という形で期待されることも多いでしょう。

事業戦略の立案から実行まで一気通貫で関わることが多く、戦略の効果を実際に確認できるのが大きなメリットです。また、意思決定のスピードが早いため、戦略立案から実行までのサイクルを短期間で回すことができ、大手企業では得られない豊富な経験を積むことが可能です。

(3)コンサルティングファームの場合

コンサルティングファームへの転職も選択肢の一つです。多様な業界のクライアントに対して戦略立案支援を行うため、短期間で幅広い業界知識と戦略立案スキルを習得できます。ただし、実行段階まで関わることは少ないため、戦略の実効性を検証する経験は限定的になる可能性があります。

また経理からコンサルティングファームへの転職は可能ですが、通常はトップ大学卒やMBAホルダーを中心に採用しているためハードルが非常に高い点に注意が必要です。実際には「会計系ファーム」「FAS(財務アドバイザリー)」を経由する方が現実的かもしれません。

(4)グローバル企業の日本法人の場合

グローバル企業の日本法人では、本社とのやり取りを通じて国際的な視点での経営企画業務を経験できます。異文化コミュニケーションや国際会計基準への対応など、グローバルに通用するスキルを身につけることができるため、将来的な可能性が大きく広がります。

■未経験でも転職エージェントを活用して経営企画への転職を成功させるには

経理から経営企画への転職を成功させるためには、転職エージェントの戦略的な活用が極めて重要です。 経営企画職の求人は非公開案件が多く、また求められるスキルも多岐にわたるため企業側から見て求人通りの人材はまず見当たりません。
このため、専門的な知識を持つエージェントのサポートは不可欠と言える でしょう。

(1)専門性の高い転職エージェントを選ぶ

まず重要なのは、適切なエージェント選びです。経理・財務系の転職に強いエージェントと、経営企画・コンサルティング系に強いエージェントの両方に登録することをお勧めします。

前者では経理経験を活かせる経営企画ポジションを、後者では純粋に戦略立案能力を評価してくれる案件を紹介してもらえる可能性があります。また、業界特化型のエージェントも活用することで、特定業界での経営企画ポジションの情報を得ることができます。

(2)エージェントとの面談で戦略を練る

エージェントとの面談では、経理経験をどのように経営企画業務に活かしたいかを明確に伝えることが重要です。単に「経営企画に興味がある」というレベルではなく、「管理会計の経験を活かして事業収益性の分析を行いたい」「予算編成経験を活かして中期経営計画の策定に貢献したい」といった具体的なビジョンを示すことで、エージェントもより適切な案件を紹介しやすくなります。

職務経歴書の作成においても、エージェントのアドバイスを積極的に求めるべきです。経理業務の経験を経営企画職向けにどのように表現するか、どの実績を強調すべきかなど、プロの視点からの助言は非常に価値があります。
特に、数字だけでなく、その数字から導き出した改善提案や戦略的な判断を行った経験があれば、それを前面に押し出すことが重要です。

面接対策では、想定される質問への準備をエージェントと一緒に行いましょう。「なぜ経理から経営企画に転職したいのか」「経理経験をどのように経営企画業務に活かすのか」「将来的にどのような経営企画担当者になりたいのか」といった質問に対して、説得力のある回答を準備することが成功の鍵となります。

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■転職先での継続的なスキルアップがさらなる成功の鍵

経営企画の世界では、ビジネス環境の変化が激しく、常に新しい知識とスキルを習得し続ける姿勢が求められます。経理から転身した場合でも、その専門性に安住することなく、継続的な学習と成長を続けることが長期的な成功につながります。

テクノロジーの進化は経営企画の業務にも大きな影響を与えています。 AI、ビッグデータ、IoT、ブロックチェーンなどの新技術が事業戦略に与える影響を理解し、これらを活用した戦略立案ができる能力は今後ますます重要になる でしょう。経理出身者であれば、システムとの親和性も高く、これらの技術を戦略に組み込む際の架け橋となることができます。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進においても、経理出身の経営企画担当者は重要な役割を担います。業務プロセスの効率化や新しいビジネスモデルの構築において、コスト構造の変化や収益モデルへの影響を正確に評価できる能力は、DX戦略の成功に直結します。

国際化の進展により、グローバルな視点での戦略立案能力も必要不可欠となっています。IFRS(国際財務報告基準)への理解、海外M&Aの実務、クロスボーダーでの税務戦略など、 経理の専門知識を国際的な文脈で活用できるスキルは高い市場価値を持ちます。

またサステナビリティ経営やESG(環境・社会・ガバナンス)への関心の高まりも、新たな学習領域となっています。財務的な価値だけでなく、社会的価値や環境価値を含めた統合的な企業価値評価ができる能力は、これからの経営企画担当者にとって重要なスキルとなるでしょう。

■まとめ

経理から経営企画への転身は、専門性を活かしながら新たな挑戦ができる魅力的なキャリアパスです。財務・会計の深い知識と企業全体を俯瞰する視点を持つ経理出身者だからこそ、実現可能性の高い戦略を立案し、企業の成長に貢献することができます。

成功の鍵は、経理としての専門性を基盤としながら、戦略的思考力、コミュニケーション能力、そして継続的な学習姿勢を身につけることです。適切な準備と明確なビジョンを持って臨めば、経理から経営企画への転身は必ずや成功するでしょう。企業の未来を描く経営企画のプロフェッショナルとして、新たなキャリアステージで活躍されることを期待しています。

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執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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