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経理担当者必見!管理会計業務におすすめの資格4選

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2025年9月9日 ジャスネットキャリア編集部

企業の経営戦略において、適切な意思決定を支援する管理会計は重要な役割を担う機能です。特に経理部門で働く方や、これから会計分野でキャリアを積もうと考えている方にとって、管理会計に関する資格の取得は専門性を高める有効な手段となるでしょう。

本記事では、管理会計の基本的な概念から、実際に取得を検討すべき資格、そしてそれらがもたらすキャリア上のメリットまでを詳しく解説していきます。

■管理会計とは?

(1)管理会計とは

管理会計は、企業の経営陣や各部門の管理者が適切な意思決定を行うために必要な会計情報を提供する仕組みです。外部の利害関係者に向けた財務会計とは異なり、管理会計は企業内部の経営管理に特化したものとして位置づけられています。

管理会計は経理部門だけでなく、経営企画・事業管理部門が中心となり行う企業も多く、 組織体制により役割分担は異なります。

管理会計の主な目的は、数字を通して企業の収益性向上に貢献することにあります。具体的には、製品やサービスごとの原価計算、予算の策定と実績との比較分析、投資案件の評価、部門別の業績測定などが含まれます。これらの情報は、日々の業務運営から中長期的な戦略立案まで、幅広い経営活動の基盤となっているのです。

現在多くの企業で求められているのは、過去の実績を整理するだけではなく、将来を見据えた戦略的な視点で数値を分析できる人材です。管理会計のスキルを身につけることで、経営陣にとって価値のある提案ができる経理担当者として、組織内での存在感を高めることができるでしょう。

(2)管理会計と財務会計の違い

管理会計と財務会計は、どちらも企業の会計情報を扱いますが、その目的と特徴には明確な違いがあります。まず利用者の観点から見ると、 財務会計は投資家・債権者といった外部の利害関係者に向けて情報を提供する ものです。これに対し、 管理会計は経営陣や部門管理者など、企業内部の意思決定者を対象 としています。

報告の頻度や形式においても両者は大きく異なります。財務会計では、法令や会計基準に従って定期的に標準化された財務諸表を作成することが求められます。一方、管理会計では 法定の様式・開示義務はなく 、目的に応じた 任意のフォーマット で作成されます(主にExcel等の表計算ソフト)。

さらに、扱う情報の性質も異なります。財務会計では過去の確定した取引を客観的に記録することが中心となりますが、管理会計では将来の予測や仮定に基づく分析も積極的に行われます。このため、管理会計では創造性と分析力がより強く求められる傾向があります。

こうした違いを理解することで、管理会計特有のスキルセットや考え方を身につける重要性が見えてきます。単に簿記や財務会計の知識だけでは十分ではなく、経営的な視点から数値を解釈し、実践的な提案につなげる能力が必要となるのです。

■管理会計におすすめの資格3選

(1)管理会計検定(日本管理会計教育協会)

①試験概要

管理会計検定は、日本管理会計教育協会が実施する国内では数少ない管理会計専門の検定試験です。 この資格の大きな特徴は、理論と実務のバランスを重視した出題内容にあります。単なる暗記ではなく、実際のビジネスシーンで管理会計の知識をどのように活用するかという応用力が試されます。

②試験内容

出題は原価計算・予算管理・業績評価・投資意思決定等を広くカバー。択一+記述で年2回Web受験(詳細は公式要項参照)。所要学習時間は受験者の前提知識に依存されます。こちらも詳しくは、最新の公式受験要項を参照してください。

③試験を受けるメリット

資格取得のメリットとしては、 管理会計の体系的な知識を身につけられることに加え、経営陣との対話において説得力のある提案ができるようになることが挙げられます。 また、転職市場においても管理会計の専門性をアピールする材料となるでしょう。

参考: JEIMA 日本管理会計教育協会

*こちらの管理会計検定1級の上位資格で 認定管理会計士 という資格もあります。高度な論述等を通じ、実務提案力を評価(正式要項は公式で確認)するものです。高度な論述等を通じ、実務提案力を評価(正式要項は公式で確認)するものです。

(2)ビジネス会計検定試験(大阪商工会議所)

①試験概要

ビジネス会計検定試験は、 財務諸表の読み方と分析スキルに重点を置いた資格です。 3~1級まであり。管理会計と財務会計の架け橋的な位置づけにあり、経営分析の基礎から応用まで幅広い知識を身につけることができます。

②試験内容

この検定の特色は、実際の企業の財務諸表を用いた分析問題が豊富に出題される点です。受験者は、損益計算書や貸借対照表から企業の財務状況を読み取り、収益性、安全性、成長性などの観点から総合的な評価を行う能力を養うことができます。こうしたスキルは、管理会計における業績評価や投資判断において直接活用できるものです。

③試験を受けるメリット

経理担当者にとっては、 日常業務で作成している財務資料の意味をより深く理解し、経営陣への報告や提案の質を向上させる効果が期待できます。 また、他部門との連携においても、財務データに基づいた説得力のある説明が可能になるでしょう。

参考: ビジネス会計検定試験 | 企業の今と未来を読み解くチカラを身につける

(3)FP&A(経営企画スキル検定)(日本CFO協会)

①試験概要

FP&A(経営企画スキル検定)は、日本CFO協会が提供する、経営企画・経営管理に必要な“世界標準”の実務スキルを可視化する検定です。米国AFPが認定するグローバル資格 FPAC の入門プログラムという位置づけで、日本企業の実情に合わせて内容・難易度を調整したダイジェスト版として設計されています。

②試験内容

FP&Aの中核である「分析・予測・計画・業績報告」を軸に、以下の領域から出題されます。経理出身者に馴染みのある管理会計にとどまらず、ファイナンスや統計、モデリング、業界分析まで横断的に問われるのが特徴です。

③試験を受けるメリット

下記の3つが大きなメリットとなっています。詳細は下記リンクをご覧ください。

(ⅰ)“世界標準”の実務スキルを客観的に可視化
(ⅱ)経理→経営企画のブリッジに
(ⅲ)グローバル資格FPACへの“入門”として整合

参考: FP&A(経営企画スキル検定)(日本CFO協会)

■資格取得のメリットとキャリアパス

管理会計に関する資格を取得することで得られるメリットは、単なる知識の習得にとどまりません。まず、体系的な学習を通じて、 断片的だった知識が整理され、実務における応用力が大きく向上 します。日々の業務で扱っている数値の意味をより深く理解し、経営に対してより価値のある提案ができるようになるでしょう。

転職市場においてある程度の知識があることを客観的に示すことができるのもメリットです。管理会計のスキルを持つ人材に対する企業の需要は年々高まっており、特に成長企業や事業変革を進めている企業では、こうした専門性を持つ人材が強く求められています。資格という客観的な証明があることで、面接での説得力も上がるはずです。ただし、実務経験がより重視されてしまうことは、理解しておきましょう。

■管理会計者に必要なスキルセット

管理会計の実務において成功するためには、技術的なスキルと人間的なスキルの両方が求められます。まず技術面では、数値分析能力が基盤となります。大量のデータから意味のある情報を抽出し、経営判断に資する洞察を導き出すためには、統計的な手法や分析ツールの活用スキルが不可欠です。

近年では、エクセルの高度な機能に加えて、BIツールやデータ分析ソフトウェアを使いこなせることも重要になっています。これらのツールを活用することで、より効率的で精度の高い分析が可能となり、経営陣により価値の高い情報を提供できるようになります。
また、社内のある部門で新規で業務に使う表が必要になった場合、どのような用途で使い、どのような内容を示す数字が必要なのかを正確に聞き取って、Excelの表に落とし込む能力も必要です。

コミュニケーション能力も管理会計者にとって極めて重要なスキルです。複雑な財務データを、 会計の専門知識を持たない経営陣や他部門の担当者にもわかりやすく説明する能力 が求められます。数字だけを羅列するのではなく、その背景にあるビジネスの実態や将来への示唆を含めて伝えることができれば、より影響力のある提案が可能になるでしょう。

■まとめ

管理会計は、現代の企業経営において欠かせない重要な機能として位置づけられています。単純な数値の集計や報告にとどまらず、経営戦略の立案や実行を支える戦略的な情報を提供する役割が求められており、この分野での専門性を高めることは、経理担当者にとって大きなキャリアアップの機会となるでしょう。

本記事で紹介した5つの資格は、それぞれ異なる特徴と難易度を持っていますが、いずれも管理会計のスキル向上に有効です。現在の自分のレベルや将来の目標に応じて適切な資格を選択し、計画的に学習を進めることが成功への鍵となります。

資格取得は決してゴールではなく、継続的な成長のスタートラインです。取得した知識を実務で活かし、さらなる経験を積むことで、真の管理会計のプロフェッショナルへと成長することができるのです。変化の激しい現代のビジネス環境において、管理会計のスキルを武器に、より価値の高い経理担当者として活躍していただければと思います。

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執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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