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会計事務所でパート・アルバイト勤務する!~実践編:実際の仕事内容、注意点と将来像~

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2025年10月30日 ジャスネットキャリア編集部

未体験の会計事務所勤務。応募をしてみたいと考えているけど、もう少し詳細を知って決断したい。そんな応募を検討されている方へ、具体的な業務内容や働く上での注意点、繁閑期による仕事の違いや将来にわたるキャリアビジョンの描き方まで。応募に向けた最後の一歩へ、あなたの背を押す情報をお伝えします。

企業経営・運営に欠かすことができない会計税務の業務。専門家の立場から企業を支える会計事務所の一員として、パート・アルバイトであってもやりがいの大きな業務に携わるチャンスです。ぜひ、ご参照ください。

目次

■具体的な仕事内容とは

会計事務所でのパート・アルバイト業務は多岐にわたりますが、未経験からスタートする場合は基本的な入力作業や書類整理から始まることがほとんどです。経験を積むにつれて、より専門的な業務を任されるようになり、やりがいも増していきます。

(1)会計データの仕訳・入力業務

最も基本的な業務の一つが、顧問先企業から預かった領収書や請求書などの証憑書類を会計ソフトにデータ入力する作業です。現在は多くの事務所が「弥生会計」「freee」「マネーフォワード」などのクラウド会計ソフトを使用しており、 パソコンの基本操作ができれば比較的容易 に使用できます。

ただ入力自体は単純作業に見えますが、勘定科目の判断や消費税区分の選択など、会計の知識が必要な場面もあります。最初は先輩スタッフや税理士のチェックを受けながら業務を進め、知識を身に付けていく意識が必要です。この業務を通じて、企業のお金の流れを理解できるようになり、会計の実務感覚が自然と養われていくでしょう。

(2)給与計算サポート業務

多くの会計事務所では、顧問先企業の給与計算業務も請け負っています。パート・アルバイトスタッフは、「従業員勤怠データの給与計算ソフト入力」や「計算結果をもとにした給与明細作成」などの業務を担当します。その際、社会保険料や所得税の計算は専用ソフトが自動で行ってくれるため、 数式を覚える必要はありません

ただし、残業時間の集計や各種手当の確認など、細かい注意が必要な作業もあります。給与は従業員の生活に直結する重要なものですから、正確性が何より求められる業務です。慎重な完遂を心がけましょう。また慣れてくると「年末調整の計算補助」や「社会保険関連の書類作成」なども任されるようになる場合もあります。

(3)書類作成と整理業務

会計事務所では日々、膨大な量の書類を扱います。顧問先から預かった証憑書類を月別・科目別にファイリングしたり、税務署への提出書類を準備したりするのもパート・アルバイトスタッフの重要な仕事です。

また、クライアント向けの月次報告書や決算報告書の下書き作成を任されることも。これらは定型フォーマットが用意されていることが多く、数字を転記したり、グラフを作成したりといった作業が中心です。一見地味に思える業務ですが、書類が整理されていないと後々の業務に支障をきたすため、几帳面さと整理整頓が得意な方に向いている仕事といえます。

(4)電話応対と来客対応

事務所によっては、パート・アルバイトスタッフが電話応対や来客対応を担当することもあります。顧問先からの問い合わせを担当者につないだり、実際に書類の受け渡しをしたりするのが主な業務です。専門的な質問には税理士や担当者が対応するため、基本的な電話応対のマナーがあれば問題ありません。

ただし、確定申告の時期などは問い合わせが集中するため、臨機応変な対応力が求められる場面もあります。また、来所されたクライアントにお茶を出したり、応接室への案内をしたりといった、一般的な事務職と同様の接客業務も含まれます。

■働く上での注意点と課題

会計事務所でのパート・アルバイト勤務には魅力が多い一方で、いくつか注意すべき点や課題もあります。事前に理解しておくことで、ミスマッチを防ぎ、長く働き続けることができます。

(1)正確性へのプレッシャー

会計データや税務書類は、わずかなミスが顧問先に大きな迷惑をかけることがあります。数字を1桁間違えただけで、顧問先の決算数値が大きく変わってしまうことも…。こうした責任の重さにプレッシャーを感じる方もいるかもしれません。

常に高い精度が求められる、専門家としての仕事。責任を伴う業務だからこそ、 ダブルチェックやトリプルチェックが日常的に行われています 。時にチェックとフィードバックが厳しい事務所もあるかもしれませんが、それは経験を得て成長する絶好の機会。またチェック体制がしっかりしている事務所であれば、一人で責任を負うのではなく、必ず誰かが確認してくれる安心感があります。むしろ、几帳面で慎重な性格の方にとっては、その特性を存分に活かせる職場といえるでしょう。

(2)繁忙期の勤務調整

後述しますが、確定申告や年末調整といった繁忙期は業務量が増加します。この時期に勤務日数や時間を増やせるかどうかは、採用時に重視されるポイントです。ただ「無理をする」のではなく、家庭の事情などで対応が難しい場合は、事前相談することが肝要です。

逆に、 繁忙期にしっかり対応できる人材は事務所にとって非常にありがたい存在 であり、評価も高くなります。また、繁忙期を乗り越えた後は、代休を取得したり、閑散期に休みを多めに取ったりと、調整してもらえる事務所も多いようです。

(3)守秘義務の重要性

会計事務所で働く上で絶対に忘れてはならないのが、守秘義務です。業務を通じて、顧問先企業の売上高や経営状態、個人の収入や財産状況など、極めてプライベートな情報に触れることになります。これらの情報を決して外部に漏らしてはいけません。家族や友人にも話すことはできず、SNSへの投稿なども厳に慎む必要があります。

守秘義務違反は、顧問先との信頼関係を損なうだけでなく、法的な問題にも発展しかねません。この点をしっかり理解し、プロフェッショナルとしての自覚を持って働くことが求められます。

繁忙期と閑散期の業務の違い

会計事務所の仕事は、時期によって業務量が大きく変動するという特徴があります。この繁閑の差を理解しておくことは、パート勤務を続ける上で重要なポイントとなります。

(1)確定申告シーズンの実態

多くの会計事務所にとって 最も忙しいのが、2月16日から3月15日までの確定申告期間 です(法人対応メインとし「個人件数が少ない=確定申告時期も忙しくない」事務所もあります)。この時期は個人事業主や不動産所有者など、多くのクライアントの申告書を作成しなければならず、事務所全体が慌ただしい雰囲気に包まれます。

パート・アルバイトスタッフも通常より勤務日数や時間を増やして対応することが多く、場合によっては土曜出勤を要請されることも。業務内容としては、申告書作成のための資料整理、データ入力、控除証明書のチェックなどが中心です。確かに忙しい時期ではありますが、チーム全体で一つの目標に向かって取り組む一体感があり、乗り越えた後の達成感は格別です。

(2)年末調整の業務フロー

11月から12月にかけては、顧問先企業の年末調整業務が集中します。顧問先企業の従業員から提出された扶養控除申告書や保険料控除証明書を確認し、年税額の計算を行う作業です。 パート・アルバイトスタッフは、「各種申告書の記載内容チェック」や「控除額の集計」「計算結果の入力」などを担当します

年末調整は法令改正が頻繁にあるため、毎年新しい知識が必要になりますが、事務所内で勉強会が開かれるなど、サポート体制が整っているケースが多いようです。この時期も繁忙期ではありますが、確定申告期ほどの忙しさではなく、計画的に業務を進められることが多いです。

(3)閑散期の過ごし方と業務内容

6月から8月頃、10月などは比較的余裕のある閑散期 となります。この時期は記帳代行業務や給与計算など、日常的に発生する業務を淡々とクリアする時期です。また、繁忙期に溜まっていた書類の整理やファイリング、業務マニュアルの見直しなども行われます。また、この時期を使って、「新しい会計ソフトの操作を習得する」「簿記の勉強を進める」「税理士試験に向けた勉強に力を入れる」など自己研鑽を行うスタッフも多いようです。

事務所によっては、この時期に有給休暇を取得しやすいところもあり、ワークライフバランスを保ちやすい環境といえます。繁閑の差はありますが、年間を通してみれば、無理なく働き続けられる職場が多いのです。

■長期的なキャリア展望

会計事務所でのパート・アルバイト勤務は単なる一時的な仕事ではなく、長期的なキャリアの起点となる可能性を秘めています。日墓の業務を通じて経験とスキルを積み重ねることで、実に多様な道が開けてきます。

(1)正社員登用の可能性

多くの会計事務所では、優秀なパート・アルバイトスタッフを正社員として登用する制度を設けています。 実務経験を積み、日商簿記2級や税理士科目合格などの資格を取得 すれば、正社員への道が見えてきます。

正社員になれば、より専門的な業務を担当できるようになり、顧問先との直接のやり取りや、若手スタッフの指導なども任されます。また、将来的には税理士資格の取得を目指しながら働くことも可能です。このように、意欲次第でキャリアアップできる環境が整っています。

(2)経験を活かした転職や独立

会計事務所での実務経験は、転職市場でも高く評価されます。特に中小企業の経理部門では、会計事務所出身者は即戦力として歓迎されることが多いようです。また、将来的に独立して記帳代行業や経理アウトソーシング業を営む道もあるでしょう。フリーランスとして複数の企業と契約し、自宅で仕事をすることも可能です。

会計事務所での経験は、こうした多様なキャリアの選択肢につながる貴重な資産となります。

(3)ライフステージに合わせた働き方

会計事務所のパート・アルバイト勤務は、ライフステージの変化に応じて働き方を調整しやすいのも魅力です。子どもが小さいうちは週2日、学校に上がったら週4日といった具合に、勤務日数を柔軟に変更できる事務所が多いです。また一度退職しても、経験者として復帰しやすい業界でもあります。

専門性の高い仕事でありながら、家庭との両立がしやすい点は、長く働き続けたい方にとって大きなメリットといえるでしょう。

■まとめ:ワークライフバランスを適正に保ちつつ、専門家の一人として

会計事務所でのパート・アルバイト勤務では、データ入力や書類整理といった基本的な業務からスタート。その先に経験を積むことで給与計算や決算補助など、より専門的な業務を担当できるようになる働き方です。

ワークライフバランスの面でも、パート・アルバイト勤務であれば年間を通じて残業は少な目。繁忙期と閑散期の差は多少ありますが、それを見越した勤務調整が可能なため、無理なく働くことができるでしょう。

時給水準も一般事務より高めで、資格取得や経験によってさらなる待遇改善が期待できます。将来的には正社員登用や独立の道も開けており、長期的なキャリア形成を描くこともできる仕事です。まずは自分なりの理想とする働き方を描き、面接などで率直に話してみることをおすすめします。

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執筆者プロフィール

ジャスネットキャリア編集部

WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。
編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。

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