■会計事務所の繁忙期とは?
まず前提の話として、
繁忙期は事務所ごとに異なる
ものです。それは事務所ごとに抱えている顧問先やそのニーズに沿って、忙しい時期も変化するからに他なりません。
もっとも代表的な繁忙期とされる確定申告期も、法人支援をメインとして個人件数が少ない事務所では、通常期の一部とされているケースもあります。また、ITやAIの進化が著しい現在では、業務の効率化が進み、極端な繁忙期というものが大幅に削減されている傾向もみられます。
そうした背景も踏まえつつ、従来一般的に「繁忙期」と呼ばれるのは「何の業務」に関わる「一年のいつ」なのか。それをご紹介します。
(1)年末調整・法定調書作成・償却資産税申告(12月~1月)
12月の内からはじまる顧問先の年末調整。1月末日までの申告が必要な、法定調書と償却資産税の申告。ただでさえ、年末年始で顧問先企業も世間も慌ただしく、かつ足元がふわふわとしがちな時期に発生する重要業務で、会計事務所も必然忙しくなる時期です。
(2)確定申告(2月~3月)
個人事業主の確定申告書及び資料作成や、不動産や株式への投資を行っている法人オーナーの申告支援。こうした業務が通常業務と同時並行で行われる2月15日~3月15日の期間は、多くの会計事務所において一年で最大の繁忙期となります。
(3)決算月の2カ月後にある申告(5月・11月)
顧問先企業の決算月末日、その翌日から2カ月以内に法人税や消費税などの確定申告書の作成と提出が行われます。日本国内では通常、決算月は3月と9月に多い傾向が。そのため2カ月後にあたる11月と5月に決算が集中します。特に春は4月の中旬あたりから子も先とのやり取りが増え始め、GW明けの5月中旬から下旬は忙しいという事務所が多いようです。
■「繁忙期スタッフの募集」はどう行われているか
繁忙期の臨時パート・アルバイトスタッフ募集で多いのが、上記のうちの(2)確定申告に際しての採用でしょう。多くの会計事務所にとって最も忙しいのが、2月16日から3月15日までの確定申告期間です。この時期は個人事業主や不動産所有者などの依頼に基づき、多くの申告書を作成しなければならず、事務所全体が慌ただしい雰囲気に包まれます。
(1)確定申告シーズンの勤務実態
期間中は常勤の税理士や担当者、パート・アルバイトスタッフの指示を受けながら、申告書作成のための資料整理、データ入力、控除証明書のチェックなどを中心に対応することに。
事務所によりますが、通常の常勤パート・アルバイトスタッフも、この時期は勤務日数や時間を増やす対応を求められることが多いようです。場合によっては土曜出勤というケースもあり、無理のない範囲で多くの日数・時間を稼働できるスタッフが重宝されます。
確かに忙しい時期ではありますが、チーム全体で一つの目標に向かって取り組む一体感があり、乗り越えた後の達成感は格別です。
(2)募集が行われる時期は、前年の10~11月ころからスタート
上記のように年末から年始数カ月にわたって繁忙期が訪れる会計事務所の仕事。そのため、2月からの確定申告に向けた臨時スタッフの募集は、
前年の10月~11月、遅くとも12月
に行われています。採用に事務所がマンパワーを注げることだけでなく、早めの採用で臨時スタッフの指導・育成に取り組むことも。
多くは2月15日~3月15日までの契約
となりますが、年内や1月のうちから契約開始し事前に所内フローなどを学ばせるというケースも散見されます。
(3)多くが有期契約…だけど時に
税理士会などでの求人、知り合いづての紹介なども未だ多いですが、採用サイトなどを使った募集も行われているようです。その多くが雇用期間を定めた有期契約。契約期間については、事前にしっかりと確認をしておきましょう。中には
募集主と求職者、双方の同意と希望がマッチすれば、長期契約や契約延長に結びつくケースも
。
実際に繁忙期の様子を理解できているため、そこで違和感がないなら自分に合う職場である可能性が高いでしょう。こうした打診があった場合は、ご自身の状況を鑑みながら前向きに検討してみるのも良い手かもしれません。
■繁忙期スタッフに向いている人とは?
家庭やプライベートの事情により、特定の時期しか働けないという場合もあるでしょう。例えば、会計税務の業界で最もポピュラーな理由としては「税理士を目指して勉強中だから、勉強時間を第一にしたい」というもの。
一方で、事務所側からも忙しい時期の即戦力として期待している面があります。また言うまでもありませんが、忙しい期間中のヘルプ要員ですから、無断欠勤や遅刻早退などは禁物です。業務に責任を持てることが、必要最低限のマナーです。
では具体的に、どのような方が繁忙期スタッフに向いているのかを考えてみましょう。
(1)会計事務所や企業経理の実務経験がある
実際に
過去、会計事務所や企業の経理スタッフとして勤務した経験を持つ方
は、即戦力として期待が高い人材像です。会計ソフトなどの使用経験があれば、所内ルールやフローの確認を行い、早い段階で業務を任せられると考えられます。
前職からのブランクがある場合も、大きな障害とはなりづらいようです。任される業務がマニュアルに沿った作業となることが多いため、ブランクがあっても「経験がある」点が評価されますし、実際に携わっても違和感少なく復帰できるでしょう。
(2)簿記などの会計知識を持っている
経験はない、しかし日商簿記の資格や知識がある
。こうした方は、土台となる確かな知識があると評価され、同じく即戦力として期待されます。パソコンや会計ソフトへのアレルギーさえなければ、最初に受けるレクチャーで十分に理解し、対応することができるでしょう。
学んだ知識を生かして働くことは満足感や達成感につながりますし、専門知識を生かして働くことが時給などにも反映されます。
(3)税理士を目指して勉強中である
試験勉強を中心に置きながら、繁忙期の現場を経験してみたい
。そうしたニーズに応えられるのも、繁忙期スタッフとしての働き方が持つ利点です。事務所としても、この上ない「基礎知識を押さえた人材」として業務を任せられるメリットがあります。また、契約期間中に良い関係を互いに築ければ、先々の雇用や関係性にもつながりやすいでしょう。
■まとめ:知識や経験を生かしながら「働きたい分だけ」働く
どうしても業務が一定期間に集中し、忙しくなってしまう確定申告時期。このタイミングで助力してくれる繁忙期スタッフの存在は、会計事務所にとって大変ありがたいものです。そして一方で、
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期間を限定した働き方を求める方
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会計事務所の仕事を経験してみたい方
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かつての経験を生かして働きたい方
こうしたニーズを抱えた方々にとっても、希望を叶えることができる絶好のチャンスとなるでしょう。さらに双方の希望が合えば、長期的な雇用や関係性づくりにつながるケースも少なくありません。培った知識や経験を生かしながら、誰かの役に立てる。喜ばれる仕事ができる。そして、自分の望む分だけ働ける。そんな繁忙期スタッフという働き方を一考してみてはいかがでしょうか。
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