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2022/3/12 エニーマインド上場延期 ウクライナショックで

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日本経済新聞 朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1157S0R10C22A3000000/

AnyMind Group(エニーマインドグループ、東京・港)は30日に予定していた新規株式公開(IPO)を期した。

ロシアのウクライナ侵攻で投資家心理が冷え込んでおり、上場後に株価が大きく下落する懸念によるものである。上場手続きの再開時期は未定としている。2022年に上場延期を発表したのは6社目になる。

■会計士の目線

(1)押さえておくべき上場承認前と後の価格形成プロセス

最近、コロナウィルス感染症の影響や景気変動による株価相場水準の影響や戦争や紛争による投資家心理の低下などを理由に上場承認を得ていたのに上場を延期するという企業が殊に見られるようになった。

なぜ、上場承認まで得ているのに、上場に至らないのだろうか。株価形成の在り方にも課題がありそうだ。

前提として確認しておくべきなのが価格形成プロセスである。価格決定プロセスは上場承認前と上場承認後に分けられる。ざっくりと理解してもらいたい。

上場承認前:予備的バリエーション➡参考価格帯の提示➡想定発行価格設定
上場承認後:プレヒアリング期間を経て、発行価格帯決定➡ブックビルディング期間を経て、公開価格決定

上場申請する企業側から実務的に聞くことがあるのが、上場承認前の株価水準と上場承認後における株価水準に随分差が生るケースである。

もちろん経済環境の変化による価格変動はあるもののIPOディスカウントなども加わり、上場直前に公開価格が想定より低くなってしまうことがある。こうしたことは、最近、公正取引委員会からも引受証券会社による独占禁止法への抵触の可否について検討され、令和4年1月にはその実態把握について資料が公表されている。

上場申請する企業側にも、引受証券会社側にも、それぞれ言い分はあるが、課題があることは確かそうである。

(2)なぜ上場の延期となるのか

一般的にIPOでは資金調達や株主対策や株価対策といった点で、上場する際、上場後は大変な関心事となる。

資金調達はしたいが、株価が低いと株価が高い時に比べ、多額の資金調達をしたときに発行株式数が増加し、株価が高い時に比べ議決権を保持できなくなる。資本政策上、一定の議決権を保持しようとすると資金調達額を抑えなくてはならない。当初考えていた通りの資金調達ができないとなると、上場承認はされていても、実際に上場すると議決権(=経営権)の比率や資金調達額に満足が得られず、上場を延期しようということになる。

延期するだけならよいのだが、再上場申請によっても市場環境や業績の変化により上場ができなくなってしまう企業も実際にはある。

(3)上場申請する企業側の考え方の変化

他方、上場申請する企業側の上場に対する考え方にも最近変化がみられている。

具体的には、株式による資金調達は株主増加を伴い、また時価総額が小さい中小・中堅企業では十分な資金調達が見込めないことで上場申請を諦めるケースである。単純に東証の上場時の時価総額基準が高くなってきていることもあって、基準を満たせず上場申請に至られないケースもある。

今回の記事のエニーマインドグループ社のコメントによると、上場後の株価下落について株主への配慮という形で上場を延期している。

しかし、大変な労力をかけて上場承認に至っているのに上場しないのはもったいない。私見ではあるが資金調達を越えて上場することには大変な意味があると感じている。

(4)存在感を増す「東京プロマーケット市場」

こうしたことを考えると、「東京プロマーケット市場」の利用価値の高さについて考えさせられる。

まずは上場をして、企業の信用力を向上させ、成長性を高め、時価総額の創造をしていくことが可能な上場市場が「東京プロマーケット市場」だからである。上場時に株式による資金調達は得られないため株主も増加しない。他方、経営者保証がはずれ、借入金による資金調達枠は向上する。

「東京プロマーケット市場」では、株式の流動性も低いこともあり、上場後の株価水準を気にする必要がないのが特徴と言える。

オーナーシップを維持しながら、上場会社となり、成長性を高め、時価総額を想像し、眼前に迫った資金調達のための準備をしていく。「東京プロマーケット市場」に上場するためには、当然に企業内容開示が求められ、内部管理体制の整備もできていないといけない。

これまでのIPOは『成長してから上場する』という考え方が主流だったが、今後のIPOは先に東京プロマーケット市場に『上場してから成長する』という考え方が主流になりそうである。

実際に日経新聞(2021年3月17日)に紹介されていたが、東証も東京プロマーケット市場をIPO市場の登竜門と位置付けている。

(文責 監査法人コスモス 統括代表社員 公認会計士 新開智之)

執筆者プロフィール

新開 智之(しんかい ともゆき)
公認会計士、監査法人コスモス統括代表社員

平成4年3月岐阜大学教育学部卒業、平成10年3月公認会計士試験第3次試験合格後、社員、代表社員を経て、令和元年6月監査法人コスモス統括代表社員就任。会計監査・IPO支援のほか、財務・会計・税務を中心とした業務に就いて、マネジメント・コンサルティング、企業再編コンサルティング、環境ISOの構築支援及び審査を経験してきた。現在では、中小・中堅企業の株式上場・IPO支援を積極的に実施しており、最近5年間で11社を東京プロマーケット市場へ上場支援し、特に東京プロマーケット市場から一般市場へのステップアップ上場への支援にも積極的に活動中。

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