【令和5年最新】公認会計士試験事情
ジャスネットキャリア編集部
■国家三大難関試験?
公認会計士になるためには国家試験に合格することが前提となります。
議論はあるようですが、医師、弁護士(司法試験)、公認会計士を三大難関資格、国家公務員一種、司法試験、公認会計士試験を三大難関試験と称されることが多いようです。
■幅広い分野をカバーする試験科目
公認会計士試験は「短答式試験」と「論文式試験」の2段階で実施されます。
「短答式試験」はマークシート方式による五肢択一式試験、試験科目は、財務会計論・管理会計論・監査論・企業法の4科目です。
「論文式試験」は、会計学(財務会計論、管理会計論)、監査論、企業法、租税法の必須科目4科目と経営学、経済学、民法、統計学から選択した選択科目1科目の合計5科目です。
公認会計士の試験科目は、会計や監査のスペシャリストであると同時にゼネラリスト足るビジネスマンとしての重要な素養を試すものであるとも言えるでしょう。
なお、試験に合格した段階ではあくまで公認会計士試験合格者であって、その後3年間の実務補習や同じく3年間の業務補助・実務従事を経て、日本公認会計士協会行う修了考査に合格して所定の手続きを行った後、晴れて公認会計士になることができます。
■狭き門だった旧試験制度
従来(平成18年以前)の試験制度は3段階からなり、まずは受験資格として、4年制大学の一般教養課程を修了もしくは短大を卒業するか、第1次試験に合格することが必要でした。
現行の公認会計士試験にあたる第2次試験は、簿記、原価計算、財務諸表論、監査論、商法、経営学、経済学の7分野×2問の論述式試験を一度にクリアしなければならず、平均合格率7%半ば、合格者700人前後の狭き門でした。
2次試験に合格すると会計士補となり、実務補修、業務補助・実務従事を経て、3年間の所定の要件をクリアした後に第3次試験に合格し、晴れて公認会計士を名乗ることができたのです。
その後、科目の微調整や短答式試験の導入により、合格者は1,000人の大台に乗りました。
■試験制度の大改正~公認会計士5万人構想?・合格者受難の時代
「公認会計士とは何か?」で述べた通り、会計監査に対する信頼が低下し、国際水準の監査が求められ、公認会計士の絶対数の不足が叫ばれる中、金融庁は平成18年(2006年)に試験制度の大改正に踏み切りました。
当時1万数千人程度であった公認会計士の数を平成30年(2018年)には3倍強の5万人にまで増やすことを視野に入れた大きな政策転換で、一次試験を含む受験資格が撤廃され、科目別合格、科目免除等の措置も講じられ、受験へのハードルを下げ、公認会計士の絶対数を増やすための様々な工夫が取り込まれました。
その結果、新試験制度導入後の平成18年~20年では、合格率は15~20%近く、合格者数も4,000人に迫るなど、あまりにも多くの合格者が出たため、試験に合格しても受け入れ先の監査法人がない「待機合格者」の問題が生じることになりました。
■近年の傾向~若手合格者を大量に排出、恒常的人手不足に
直近の3年間を見ると合格者は毎年1,300人~1,400人(図1)で推移しています。現状、監査法人では恒常的に公認会計士が不足していることからこの傾向はしばらく続く可能性が高いでしょう。
令和4年度を例にとると、合格者の平均年齢は20歳以上25歳未満がもっとも高く63.8%(図2)、合格者の内、学生の占める割合が58.2%(図3)と突出しています。かつて、大学卒業後もいわゆる試験浪人としてリスクを取って受験を続けるのが当たり前だった時代と較べると、隔世の感があります。真剣にチャレンジすれば報われる試験になったと言えるでしょう。
- 執筆者プロフィール
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ジャスネットキャリア編集部
WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。
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