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BIG4監査法人での「IPO支援」の業務内容、仕事の魅力とは?

この記事では、会計士がIPO支援業務をするにあたり、その「業務内容」「仕事の魅力」「報酬(年収)の相場」「その他メリット・デメリット」などについて紹介しています。
Big4などで、実際に経験がある会計士に執筆いただきました。
転職やその後のキャリアプランのヒントを得ることができます。

目次

■BIG4監査法人でのIPO支援の業務内容

■必要とされる志向性(どんな人に向いているか?)

■BIG4監査法人でのIPO支援のやりがいやメリットは?

■BIG4監査法人でのIPO支援の採用ニーズ

■BIG4監査法人でのIPO支援の仕事の年収はどのくらい?

■BIG4監査法人でのIPO支援の経験を活かしたその後のキャリアアパスは?

■BIG4監査法人でのIPO支援の業務内容

IPO支援の業務内容は大きく分けて、下記3つの業務からなります。また監査の経験がどう活かせるのかも述べます。

(1)金融商品取引法監査に準ずる監査

株式上場に際しては、証券取引所の規則により、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に準ずる監査=金融商品取引法監査に準ずる監査が必要とされています。

監査の対象となる財務諸表等は、投資家等に有用な情報を提供することが目的であり、財務諸表等規則等に従って作成することが要請されています。

金融商品取引法監査に準ずる監査となるため、通常の上場企業の監査とほぼ同じ知識および経験が必要となり、上場企業の監査経験がそのまま活かせます

(2)適切な会計処理に関する指導および助言

金融商品取引法監査に準ずる監査の対象となる財務諸表等を作成するためには、税効果会計、金融商品会計、退職給付会計、固定資産の減損会計、資産除去債務等の会計基準の適用、キャッシュ・フロー計算書の作成、連結財務諸表の作成等についての知識や表示および開示の知識が必要となり、新会計基準や会計基準の改訂にも適応する必要があります。

上場準備企業では、税務会計を適用している会社が多いことから、上記企業会計の基準を適用する必要があり、不適切な会計処理があれば是正することが必要になります。また、監査法人によるショート・レビュー等による指導および助言を受けて、会計処理の問題点についても是正を行う必要があります。

通常の上場企業の監査等の際に会社からの相談などはありますが、適切な会計処理に関する指導および助言にとどまります。独立性の観点から、財務書類の作成業務を行うことはできません。

コンサルティング業務に近い内容も求められますが、上場企業の監査の際、会社からの相談で会計監査六法を調べて回答するケースに比較的近い業務内容をイメージしていただければよく、上場企業の監査の知識および経験が活かせるでしょう。

(3)内部統制の確立に関する指導および助言

内部統制監査証明の免除は、金融商品取引所に上場されている有価証券の発行者に初めて該当することになった上場日以後3年を経過する日までの間に、内部統制報告書を提出する場合に適用されています。

上記免除制度があるため、内部統制報告書および内部統制監査報告書は上場申請書類には含まれませんが、証券会社による引受審査や証券取引所による上場審査において、上場後の内部統制報告制度に対応できるための準備が行われているかについて確認がなされます。

内部統制の整備・運用は財務諸表監査の前提となるため、従来も監査法人により内部統制の整備・運用に関する指導・助言業務は提供されてきました。内部統制を整備・運用する上での基本的な考え方の助言や、内部統制整備および運用の不備についての改善・指導を監査法人によるショート・レビュー等を通して監査法人が行います。

内部統制の確立に関し、通常の上場企業の監査等において会社からの相談はありますが、指導および助言にとどまることとなります。独立性の観点から、社内管理体制の構築方法を決定することはできません。

コンサルティング業務に近い内容の範囲で、上場企業の内部統制監査で得た知識および経験をもとに、上場企業にあるべき内部統制の整備・運用を指導および助言はできます

■必要とされる志向性(どんな人に向いているか?)

BIG4監査法人でのIPO支援の業務内容は、「上場企業の監査+会計および内部統制のコンサルティング業務」というのがイメージとして近いかと思います。

上場企業の監査を一通り主査まで経験した後に、会計制度や内部統制が未整備な企業に対し、一からコンサルティング業務をしたいという人に向いています。

またIPO支援は、コンサルティング業務的な要素があるため、監査法人のIPO部署で将来にわたり勤務したい方だけでなく、独立してIPO支援業務中心に行いたい方IPO準備企業のCFO等の役員及び社外役員になりたい方にも向いています。

■BIG4監査法人でのIPO支援のやりがいやメリットは?

IPO支援のやりがいは、会計制度や内部統制が未整備な未上場企業が成長して、上場していくまでの過程を会社とともに経験し、自らも成長できることでしょう。

これ以外にIPO支援を通じて得られるメリットは下記の通りとなります。

  1. 会計および内部統制コンサルティング業務能力の向上
  2. 上場企業の監査ではほとんど経験しない資本政策や事業計画のアドバイスを経験できる
  3. 監査のときよりも身近に経営者に接することができる
  4. また、そこで得られる人脈

■BIG4監査法人でのIPO支援の採用ニーズ

(1)求められるスキル、人材

上場企業の監査の知識および経験がベースになります。受け身的な監査業務だけでなく、指導および助言も業務として求められるため、上場企業の監査を一通り全て経験した主査経験者以上が中途採用の前提になるでしょう。

(2)採用されるポイント

上場企業の監査を一通り全て経験した主査経験者以上で、自ら能動的にコミュニケーション、アドバイスできるコミュニケーション能力、積極性が他の監査部門以上に求められます。

(3)転職で気を付けるポイントや難易度

IPOの基本的な知識、IPO部門と他の監査部門との違いは整理したうえで、面接官になぜIPO部門に転職したいか説明できる必要があります。

転職難易度は特別に高くないですが、前職でIPOの経験がない場合や上場企業の監査の主査経験がない場合は、他の監査部門より多少採用のハードルが上がります。

■BIG4監査法人でのIPO支援の仕事の年収はどのくらい?

IPO支援の年収は、大手監査法人の他の監査部門と同じです。

大手監査法人所属の場合、監査法人の業績の影響により年間50万円~100万円前後は各階級で影響受けますが、概ね下記の通りでしょう。

  1. スタッフ 450万円~600万円程度(残業除き、残業や業績賞与込みの場合500万円~700万円程度)
  2. シニアスタッフ 650万円~800万円程度(残業除き、残業や業績賞与込みの場合750万円~1,000万円程度)
  3. マネージャー 800万円~1200万円程度(残業なしで業績賞与別途有り)
  4. シニアマネージャー 1,100万円~1,400万円程度(残業なしで業績賞与別途有り)
  5. 社員1,500万円~2,000万円
  6. 代表社員で2,000万円~3,000万円程度

マネージャー以上は、残業がつかない分、監査法人の業績や個人の査定等により影響受け、パートナーは営業獲得額や獲得件数によっても報酬は異なります。

■BIG4監査法人でのIPO支援の経験を活かしたその後のキャリアアパスは?

大手監査法人に所属し続ける場合は、大手監査法人のIPO支援部門でパートナーを目指すか、それが難しい場合は、中小監査法人にマネージャー、シニアマネージャーで転職してパートナーを目指すこととなります。

大手監査法人の他の監査部門と同様にマネージャー、シニアマネージャーは通常の監査業務だけでなくマネージメント業務を行い、パートナーはマネージメント業務、品質管理業務、営業等を行います。

大手監査法人のIPO支援の知識および経験を活かして、IPO支援業務中心に独立する、IPO準備企業のCFO等の役員及び社外役員を目指すことも可能です。

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