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【令和5年最新】公認会計士試験について知っておくべきこと6選~受験前から合格後の流れ

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この記事では、「会計士を目指してみよう」と思っている方や、「会計士になるためには、どんなことが必要なの?」と疑問に思っている方に向けて、「公認会計士試験合格のために知っておいていただきたいこと」を厳選してご紹介します。

会計士試験に挑戦するには、まずはどのような資格なのかを知るのが「最初の一歩」です。

1.受験資格

公認会計士試験には、受験資格はありません。年齢の制限なく、誰でも受験することができます。裾野は広く、大学や大学院卒の方だけでなく、様々な経歴の方が試験に挑戦することができます。

以前は、公認会計士試験は1次試験から3次試験で構成され、いわゆる難関試験としての公認会計士第二次試験を受けるためには、大学の一般教養課程を履修、もしくは短大を卒業するか、公認会計士第一次試験に合格することが前提でした。

公認会計士の需要増加に伴い門戸を広げるため平成18年(2006)に試験制度が大改正され、受験資格が撤廃されることになりました。

2.試験形式

公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の2種類に分けられます。

(1)短答式試験(マークシート方式による択一式試験)

基本的な専門知識を理解しているかを確認する試験です。

受験科目は4科目。企業法、管理会計論、監査論、財務会計論。このうち財務会計のみが全体の4割にわたる200満点であり合格の成否を左右します。

試験実施規則では、短答式試験の合格基準は、総点数の70%を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率とされています。 ただし、1科目につきその満点の40%に満たない場合には、不合格となる場合があります。

一度合格すると、2年間、短答式試験は免除されるため、まずは、短答式試験に合格し、その後、論文式試験の勉強に取り組む方法が標準的になります。

(2)短答式試験 試験日程

短答式試験は、年2回のチャンスがあります。12月に行われる第Ⅰ回試験、5月に行われる第Ⅱ回試験。第Ⅱ回よりも第Ⅰ回の方が、合格率は高く、多くの合格者は第Ⅰ回試験で短答式試験を合格されています。

令和6年公認会計士試験の実施スケジュールは、下記の通りになります。

第Ⅰ回短答式試験
令和5年12月10日(日)

第Ⅰ回短答式試験合格発表(予定)
令和6年1月19日(金)

第Ⅱ回短答式試験
令和6年5月26日実施(日)

第Ⅱ回短答式試験合格発表(予定)
令和6年6月21日(金)

(3)論文式試験(科目別の論述式・筆記試験)

専門知識を理解していることを前提に応用能力を判断する試験です。受験科目は、必須科目と選択科目があり、合計9科目です。

必須科目:会計学(財務会計論、管理会計論)、監査論、企業法、租税法
選択科目:経営学、経済学、民法、統計学 ※この科目から1つ選択

52%が基準点。ただし、一科目40%に満たない場合、不合格になる場合もあります。

また、不合格者の中で一部の科目で相当の成績を得たと認められる場合は以降2年間の科目免除が可能となります。

(4)論文式試験 試験日程

論文式試験は年に1回のチャンスとなります。

短答式試験合格者を対象とするため、試験日は第Ⅱ回の短答式試験の合格発表後の8月下旬に行われることが通常となります。

令和6年試験日程
令和6年8月16日(金)~令和6年8月18日(日)

論文式試験合格発表(予定)
令和6年11月15日(金)

3.勉強時間

様々な意見がありますが、最低ラインとして、合計3,000時間が目安とされることが多いですが、筆者の経験や周囲の合格者を見る限り、この時間内で合格するのは、かなり会計に対するセンスのある人といってよいでしょう。

令和4(2022)年度の公認会計士試験合格者の構成比をみると、学生の合格比率が58.2%、20歳~25歳が63.8%と傑出しており、これは平成18(2006)年度の試験制度の大改正により、4年制大学の一般教養課程修了や短大卒、あるいは公認会計士一次試験などの受験資格が撤廃されたことが大きく影響していると言われています。

これにより、商業高校出身で、従前は受験資格を取得するのに苦労した、いわゆる簿記の甲子園(簿記の全国大会)で優秀な成績を納め、高校時代に税理士の簿記や会計科目に合格するような強者が少なからず合格することになりました。彼らが高校時代に汗と涙を流して勉強した時間を公認会計士試験受験の準備時間に加えるならば、途方もない時間になることでしょう。

多くの人は大学と専門学校の双方に通う、いわゆるダブルスクールの形式をとり、2年コースなどで試験に挑戦するのが一般的でしょう。1年目、2年目の時間配分については、大学との両立や自身のライフスタイルと合わせて工夫することになります。

勉強時間の絶対量の確保は大事なことですが、当然ながら絶対時間が合格を保証するものではありません。「まずは量を確保して、質の追求」が試験突破のセオリーといわれています。

4.合格率・難易度

ここまでの記事で、公認会計士試験に合格するために、多大な努力が必要な資格であるということがご理解いただけたと思います。

それでは、実際の試験合格者に関するデータをご紹介しましょう。

令和4(2022)年度の短答式試験 第Ⅰ回試験の合格率は、約9.4%(欠席者を除く実質合格率=12.1%)です。第Ⅱ回試験の合格率は、約6.1%(同7.9%)でした。

同年の論文式試験の合格率は、約35.8%、受験者は4067名。最終合格者数は1456名でした。

一般的には、短答式試験に受かった同じ年に論文式試験を受けるのではなく、1~2年の期間、論文式試験の勉強に専念してから受験をする人が多い傾向があります。中には短答式に合格したものの、論文式合格に何年もかかる人、あるいは合格ならず挫折する人もおられます。

したがって、単純に短答式試験の合格率に論文式試験の合格率を掛け合わせても正確な試験合格率は得られません。

ちなみに公認会計士監査審査会によれば、令和4(2022)年度における公認会計士試験全体の出願者に対する論文式試験の最終合格率は7.7%でした。

5.公認会計士試験合格後

さらに、試験に合格しただけでは、すぐに公認会計士になれるわけではありません。あくまで「公認会計士 論文式試験合格者」というカテゴリーになり、正式に公認会計士と名乗るには、合格後、3年間の実務経験(業務補助もしくは実務従事)と3年間の実務補修が必要です。

業務補助は監査証明業務であり、実務従事は事業会社の原価計算・財務分析などを意味します。合格者の多くは監査法人へ入所しますので業務補助によって実務経験の要件をクリアする場合が大多数です。

試験で身につけた知識を、現場での経験と補修で確かなものに変えていくことで、公認会計士として活躍できるという訳です。

つまり、公認会計士を目指すことは誰にでもできますが、実際に公認会計士として活躍するには、長い年月をかけて、確かな知識と経験を身につけていくことが必要なのです。そうした条件をクリアした方が公認会計士として活躍することにより、公認会計士は社会から“会計プロフェッショナル”として信頼を得ています。

6.他の資格との比較

ここまで、公認会計士試験の特徴についてご紹介してきましたが、最後に他の難関資格との比較について、表にしてご紹介します。ご自身が目指すべき資格を検討中の方は、参考にしてみてください。

受験資格

公認会計士試験 なし
税理士試験 学歴、資格、職歴の3つのカテゴリーで分かれており。いずれかの要件を満たすことが必須。
司法試験 法科大学院課程の修了者及び司法試験予備試験の合格者

受験制限

公認会計士試験
  • 短答式試験にはなし。
  • 一度合格すると、2年間、短答式試験は免除。なお論文式試験は、短答式試験に合格が必須。
税理士試験 なし
司法試験
  • 受験資格の取得後、5年間において5回。
  • なお論文式試験は、短答式試験に合格していることが必須。

試験内容

公認会計士試験
  • 短答式試験と論文試験。
  • 短答式試験は4科目。
  • 論文式試験は、必須科目と選択科目の合計5つ。
  • 必須科目は、4つ。選択科目は、4つのうち1つを選択。
税理士試験
  • 会計学2科目と税法3科目の合計5科目に合格すること。
  • 一度に全科目受験する必要はなく、1~3科目ずつの合格を目指すことが一般的。
司法試験
  • 短答式試験と論文式試験。
  • 短答式試験は3科目。
  • 論文式試験は法律基本7科目に加え、選択科目、法律実務基礎科目の10科目。

勉強時間(あくまで目安です)

公認会計士試験 3,000時間が最低ライン
税理士試験 3,000時間から4,000時間(科目ごとに難易度が異なります)
司法試験 3,000~8,000時間(予備試験合格者と法科大学院進学組で大きく異なります)
執筆者プロフィール

三宅 博人(みやけ ひろと)

【現職】
公認会計士
公益財団法人日本内部監査研究所 研究員
経済人コー円卓会議日本委員会 監事
日本コーポレートガバナンス・ネットワーク 企画委員

【専門分野】
会計監査、コーポレート・ガバナンス、内部監査、リスクマネジメント、CSR(企業の社会的責任)、サステナビリティ 等

【経歴】(関連諸団体のみ)
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科 客員教授
日本公認会計士協会 会計士補会・代表幹事/最高顧問、国際委員会・委員(国際監査基準担当)、東京会・広報担当幹事
日本公認不正検査士協会 評議員
日本内部統制研究学会(現・日本ガバナンス研究学会)監事
日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム運営委員

【著書】(共著)
『業種別アカウンティングシリーズ』(全10冊 中央経済社)
『内部監査ハンドブック』(東洋経済新報社)
『コーポレート・ガバナンスと経営監査』(東洋経済新報社)
『会計プロフェッションの職業倫理』(同文館出版)
『会計倫理の基礎と実践』(同文館出版)
『監査人の職業的懐疑心』(同文館出版)
『初級者のための経理実務Q&A』(税務務経理協会)

その他、執筆・講演等多数

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