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【2025年版】公認会計士の就活完全ガイド!|超短期決戦を勝ち抜く戦略と内定獲得の秘訣

2025年7月9日ジャスネットキャリア編集部
■はじめに:公認会計士就活の特殊な世界
公認会計士試験に合格した瞬間から始まる就職活動は、一般的な就活とは全く異なる特殊な世界です。合格発表から内定まで、わずか2週間という驚異的な短期間で全てが決まってしまう超短期決戦。この期間をいかに効率的に戦い抜くかが、希望する監査法人への内定を左右します。
2025年現在、公認会計士の就職市場は売り手市場が続いているものの、採用基準は年々厳格化しており、単に資格を持っているだけでは内定を獲得できない状況が生まれています。特にBig4と呼ばれる大手監査法人への就職を希望する場合、戦略的な準備と対策が必要不可欠となっています。
本記事では、公認会計士就活の実態から最新の市場動向、具体的な対策方法まで、内定獲得に必要な全ての情報を公認会計士にヒアリングの元、詳しく解説していきます。短期決戦の就活を成功に導くための実践的なノウハウを、業界の内情に精通した専門家の視点からお伝えします。
■2025年公認会計士就活市場の最新動向
(1)売り手市場継続の背景~慢性的な人手不足
2025年の公認会計士就職市場は、依然として売り手市場の傾向が続いています。その背景には、監査法人における慢性的な人手不足があります。グローバル化の進展により、海外進出する企業の増加や海外法人の日本参入が相次ぎ、国際会計基準への対応需要が高まっています。
さらに、M&AやIPO案件の増加により、監査業務だけでなくアドバイザリーサービスの需要も拡大しており、公認会計士への需要は多様化しています。これらの要因により、監査法人各社は積極的な採用を続けており、求職者にとって有利な状況が継続しています。
(2)採用基準の厳格化という新たな課題
しかし、売り手市場であることに安心してはいけません。監査法人から発せられているメッセージをつつがなく受け取り対処することが必勝のパターンとなります。
【重要】
「リクルート4法人協定2025年度の採用活動に関するお知らせ」の熟読は必須です。
(3)就活スケジュールのリリース
2025年の就活スケジュールがすでに大手監査法人からリリースされています。接触禁止期間が延長され、就活イベント期間は短縮される傾向にあります。これは監査法人側が採用活動をより厳選して行う方針に転換していることを示しています。
■超短期決戦の実態とスケジュール管理
(1)わずか2週間で決まる運命
公認会計士の就活は、文字通り「超短期決戦」です。11月中旬の論文式試験合格発表から12月初旬の内定通知まで、わずか2週間程度しかありません。この短期間で、エントリーシート提出、説明会参加、面接対策、複数回の面接をこなさなければなりません。
一般的な就活では数カ月かけて行われる活動が、2週間に凝縮されるため、事前準備の質が内定獲得の成否を大きく左右します。合格発表当日から即座に行動を開始できるよう、試験後から綿密な準備を進めておくことが重要です。
(2)典型的なスケジュール例
2025年の典型的なスケジュールを見てみましょう。
上記の「リクルート 4 法人協定2025 年度の採用活動に関するお知らせ」を参考にすると以下の通りになります。
合格発表前の8月下旬から、各監査法人の説明会の予約受付が一斉に開始されます。その後、わずか10日程度で面接がスタートし、約2週間後には内定通知が行われます。
なお、合格発表後は各監査法人主催の採用イベントは実施されないため、ご留意ください。このタイトなスケジュールの中で、複数の監査法人を受験する場合は、さらに密度の濃い活動が必要になります。1日に複数の説明会や面接が重なることも珍しくないため、スケジュール管理能力が試されることになります。
(3)事前準備の重要性
このような超短期決戦を制するためには、論文式試験終了直後から準備を開始することが不可欠です。各監査法人の特徴や求める人材像の研究、志望動機の明確化、面接対策など、できる限りの準備を事前に完了させておく必要があります。
特に、エントリーシートの内容は事前に練り上げておき、合格発表と同時に提出できる状態にしておくことが重要です。また、面接で使用するスーツや靴なども事前に準備し、合格発表後は面接対策に集中できる環境を整えておくべきです。
なお、エントリーシートは設問を事前に公開する目的で 10/1(水)以降入力可能な状態とする予定だそうです。期限は合格発表後となるようなので、各法人からのアナウンスを確認することが必要です。期限前に提出いただいた場合でも、期限まで何度でも修正可能な状態にしております。
何度も言いますが、事前準備で誤らないようにするためにも「リクルート 4 法人協定2025 年度の採用活動に関するお知らせ」を熟読する必要があります。
■Big4監査法人徹底比較と選び方
(1)Big4の基本理解
Big4監査法人とは、世界的に展開する4つの会計事務所グループの日本法人を指します。具体的には、EY新日本有限責任監査法人、PwC Japan有限責任監査法人、有限責任あずさ監査法人、有限責任監査法人トーマツの4社です。
これらの法人は、規模、クライアント、得意分野、社風において それぞれ異なる特徴を持っています。自分のキャリア目標や価値観に最も適した法人を選択することが、長期的なキャリア形成において重要になります。
(2)EY新日本有限責任監査法人の特徴
EY新日本は、従業員数約7,000人を誇る日本最大級の監査法人です。金融業界に特に強みを持ち、メガバンクや大手証券会社の監査を多数手がけています。また、国際業務にも力を入れており、グローバルキャリアを志向する人材には魅力的な環境を提供しています。
組織文化としては、比較的保守的で安定志向の傾向があり、監査法人内での長期的なキャリア形成を重視する文化があります。研修制度も充実しており、新人の育成に力を入れているのも特徴の一つです。
(3)PwC Japan有限責任監査法人の特徴
PwC Japanは、比較的新しい法人でありながら、急速に成長を遂げています。外資系企業の監査に強みを持ち、国際的な案件に多く関わることができます。組織文化はより国際的で、多様性を重視する傾向があります。
また、デジタル技術を活用した監査手法の導入にも積極的で、最新のテクノロジーに触れながら業務を進めることができます。変化を恐れず、新しいことに挑戦したい人材に適した環境といえるでしょう。
(4)有限責任あずさ監査法人の特徴
あずさ監査法人は、上場企業の監査に強みを持ち、特に西日本地域での存在感が大きい法人です。
金融機関向けのサービスにも定評があり、銀行や保険会社の監査で豊富な実績を有しています。比較的温和な企業文化を持ち、ワークライフバランスを重視する傾向があることも特徴です。
(5)有限責任監査法人トーマツの特徴
トーマツは、コンサルティング業務に特に強みを持つ監査法人として知られています。監査業務と並行してアドバイザリーサービスにも力を入れており、多様な業務経験を積むことができます。
組織文化は比較的ドライで成果主義的な傾向があり、積極的にキャリアアップを目指す人材に適した環境です。また、海外駐在の機会も多く、グローバルキャリアを志向する人材には魅力的な選択肢となります。
■志望動機の作り方と差別化戦略
(1)説得力のある志望動機の構成要素
志望動機は面接で必ず問われる重要な要素であり、内定獲得の鍵を握ります。説得力のある志望動機を作成するためには、「なぜ監査法人なのか」「なぜその法人なのか」「なぜあなたなのか」という3つの要素を明確に説明できる必要があります。
まず「なぜ監査法人なのか」については、公認会計士として監査業務に従事する意義や魅力を具体的に説明します。企業の透明性向上への貢献、幅広い業界への関与、専門性の向上など、自分なりの価値観に基づいた理由を述べることが重要です。
(2)法人別の差別化ポイント
「なぜその法人なのか」については、各監査法人の特徴を詳細に研究し、自分のキャリア目標との関連性を明確に示す必要があります。例えば、国際業務に興味がある場合は、その法人の海外ネットワークや国際案件の実績を調査し、具体的な魅力を語ることができるでしょう。
また、特定の業界に興味がある場合は、その法人の業界別の強みや主要クライアントを把握し、自分の将来像と結びつけて説明することが効果的です。単なる法人の紹介ではなく、自分の価値観やキャリア目標との関連性を明確に示すことが重要です。
(3)自己PRとの連携
「なぜあなたなのか」については、自分の強みや経験を監査業務にどう活かせるかを具体的に説明します。学生時代のリーダーシップ経験、アルバイトでの責任感、語学力、IT知識など、監査法人で求められる能力との関連性を明確に示すことが重要です。
公認会計を目指す人はある側面で似たり寄ったりになるという面もあるので、公認会計士試験の学習以外での経験や能力を積極的にアピールすることができれば効果的です。特に似たり寄ったりの集団ですので、単なる自慢話にならないよう、常に監査業務との関連性を意識して構成することは極めて重要です。
また年齢で決定してしまうという面は間違いなくあります。なぜならば、監査はチームプレーであるため、年齢的な要素を重きを置かざるを得ない側面があるからです。このため受験回数を重ねた方は、その点も踏まえた自己PRが必要となります。
■面接対策の実践的ノウハウ
(1)面接の基本構造と流れ
監査法人の面接は、通常1〜2回実施されます。1次面接では現場のマネージャークラスが、2次面接ではパートナークラスが面接官を務めることが一般的なようです。面接時間は30分〜1時間程度で、自己紹介、志望動機、学生時代の経験、将来のキャリアプランなどが主な質問内容となります。
面接の雰囲気は、一般企業と比較してフランクで話しやすい環境が多いのが特徴です。
しかし、だからといって気を抜いてはいけません。限られた時間の中で自分の魅力を最大限にアピールするとともに「会話」として成り立たせることを心がける必要があります。
(2)頻出質問と回答のポイント
「自己紹介をしてください」という質問では、1分程度で簡潔に自分の経歴と強みを伝えます。長すぎず短すぎず、相手の興味を引く内容にまとめることが重要です。
「学生時代に最も力を入れたことは何ですか」という質問では、具体的なエピソードを通じて自分の人間性や能力をアピールします。結果だけでなく、そこに至るプロセスや困難をどう乗り越えたかを詳しく説明することで、面接官に強い印象を残すことができます。
(3)逆質問の活用法
面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれる逆質問は、自分の意欲をアピールする絶好の機会です。法人のホームページに掲載されている内容ではなく、実際に働く人でなければ分からない質問を準備しておくことが重要です。
例えば、「新人の成長をサポートする制度について教えてください」「チームワークを重視した業務環境について詳しく聞かせてください」など、自分の関心事と法人の特徴を結びつけた質問が効果的です。
(4)面接マナーと身だしなみ
面接では内容だけでなく、マナーや身だしなみも重要な評価要素となります。スーツは紺やグレーの無地を選び、清潔感のある身だしなみを心がけます。靴や鞄も含めて全体的に統一感のある服装を選ぶことが重要です。
また、面接会場には余裕を持って到着し、受付での対応も丁寧に行います。面接官以外のスタッフとの接し方も評価対象となる可能性があるため、常に礼儀正しい態度を心がけることが大切です。
■中小監査法人という選択肢の検討
(1)中小監査法人の魅力
Big4以外にも、多くの優良な中小監査法人が存在します。これらの法人は、規模は小さいものの、独自の強みや魅力を持っています。個人の裁量が大きく、早期から責任のある業務を任されることが多いため、成長機会が豊富です。
また、パートナーとの距離が近く、直接指導を受ける機会が多いことも中小監査法人の魅力といえるかもしれません。将来的に独立を考えている場合や、経営者視点を早期から身につけたい場合には、中小監査法人での経験が有効になる場合があります。
(2)地域密着型法人の価値
地方に拠点を置く地域密着型の監査法人も重要な選択肢です。これらの法人では、地域の中堅・中小企業の監査を多く手がけており、地域経済の発展に直接貢献することができます。
また、東京などの大都市部と比較して生活コストが低く、ワークライフバランスを重視した働き方が可能な場合が多いのも魅力です。地元での就職を希望している場合や、将来的に地域で独立を考えている場合には最適な環境といえるでしょう。
■内定獲得後の心構えとキャリア戦略
(1)実務補習所での学び
監査法人への内定獲得後も、公認会計士としての学びは続きます。実務補習所では3年間にわたって、実務に必要な知識とスキルを体系的に学習します。講義、ディスカッション、実地演習など様々な形式で学習が進められ、最終的には修了考査に合格する必要があります。
実務補習所での学習は、単なる知識の習得だけでなく、同期との人脈形成の重要な機会でもあります。将来的に転職や独立を考える際に、この時期に築いた人脈が大きな価値を持つ場合があります。
(2)将来のキャリアパスの設計
公認会計士として登録するためには、最低3年間の実務経験が必要です。この期間は、監査の実務を通じて専門性を深め、将来のキャリアの基盤を築く重要な時期となります。
実務経験では、様々な業界のクライアントに接することで、ビジネスの実態を幅広く学ぶことができます。また、チームワークやコミュニケーション能力、問題解決能力など、監査技術以外の重要なスキルも身につけることができます。
監査法人での経験を積んだ経験は、その後の様々なキャリアパスにつながります。監査法人内でのキャリアアップ、一般企業の経理・財務部門への転職、コンサルティング会社への転職、独立開業など、多様な選択肢があります。
重要なのは、入所して業務を遂行する中で将来のキャリアプランを明確にしていくことを心掛けることです。目標が明確になれば、実務経験の中でも意識的にその分野のスキルや知識を深めることができ、より効率的なキャリア形成が可能になります。
■就活失敗時の対策と代替キャリア
(1)就活で内定を得られなかった場合の選択肢
統計的には、公認会計士試験合格者の約2〜3割が監査法人への就職に失敗しているとみることができます。しかし、これは決して人生の終わりではありません。公認会計士試験に合格した知識とスキルは、監査法人以外でも高く評価されます。
一般企業の経理・財務部門、税理士法人、コンサルティング会社、証券会社など、公認会計士試験で培った専門知識を活かせる職場は数多く存在します。特に一部も上場企業の経理部門では、公認会計士試験合格者を積極的に採用する傾向も見られます。
(2)会計事務所・税理士法人という道
税理士法人や会計事務所も有力な選択肢の一つです。これらの職場では、税務申告や経営コンサルティング業務を通じて、監査とは異なる専門性を身につけることができます。実は公認会計士資格保持者で税務が詳しい公認会計士の数はそれほど多くはありません。
特に会計事務所や税理士法人は中小企業との関わりが深く、経営者との距離が近いため、ビジネスの実態をより深く理解することができます。
公認会計士資格の保持によりは将来的に税理士資格の取得もできるため、公認会計士と税理士の両方の資格を持つことで、より幅広いサービスを提供できるプロフェッショナルとして活躍することができます。
(3)一般企業での経理専門職
上場企業の経理・財務部門では、公認会計士試験の知識を直接活かすことができます。特に連結決算、開示業務、監査対応などの業務では、試験で学んだ知識が大いに役立ちます。
また、IR業務やM&A、資金調達などの財務業務では、より戦略的な業務に携わることができ、経営に近い立場で仕事をすることが可能です。将来的にCFOを目指すキャリアパスも描くことができ、監査法人とは異なる魅力があります。
(4)諦めずに再挑戦する道
監査法人への就職に一度失敗しても、再挑戦することは十分可能です。他の職場で実務経験を積んだ後に中途採用で監査法人に入社するケースも少なくありません。むしろ、他業界での経験を持つ人材は、監査法人にとっても貴重な存在として評価される場合があります。
重要なのは、失敗を恐れずに前向きに行動することです。公認会計士試験に合格したという事実は変わらず、その知識とスキルは必ず評価される場面があります。長期的な視点でキャリアを考え、着実にステップアップしていくことが重要です。
■公認会計士就活成功への道筋
(1)就職戦線を勝ち抜くための基本戦略と法人選び
公認会計士の就活は、わずか2週間という超短期決戦の特殊な世界です。しかし、適切な準備と戦略があれば、必ず成功への道筋を描くことができます。
まず重要なのは、2025年現在の市場動向を正確に把握することです。すでに大手監査法人に就職するための道筋はリリースされています。
売り手市場が続いているとはいえ、大手監査法人の採用基準は厳格化しており、大手監査法人に就職する場合は、説明した事項を熟読し、遵守することが最も重要になります。
次に、各監査法人の特徴や公認会計士を取り巻く就職事業を詳細に研究し、自分のキャリア目標に最も適した監査法人を選択することが重要です。Big4それぞれの強みや文化、中小法人に就職する可能性、一般事業会社に就職する場合などといったことをイメージし、自分の価値観との適合性を慎重に検討する必要があります。
(2)面接対策とキャリアの柔軟な展望
面接対策では、志望動機の明確化と自己PRの磨き込みに時間をかけることが重要です。特に「なぜその法人なのか」という質問に対して、具体的で説得力のある回答を準備しておくことが内定獲得の決定的な要因となります。
最後に、仮に第一志望の監査法人への就職に失敗したとしても、決して悲観する必要はありません。公認会計士試験合格者のスキルと知識は、多くの職場で必ず高く評価されます。長期的な視点でキャリアを考え、着実にステップアップしていけば、必ず理想の職場で活躍する機会を得ることができるでしょう。
公認会計士としての第一歩を踏み出すこの重要な時期に、本記事が皆様の就活成功の一助となれば幸いです。超短期決戦の就活を制し、充実したキャリアをスタートさせてください。
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ジャスネットキャリア編集部
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