この記事では、公認会計士の業務内容のうち、典型的な業務に対して求められる適性を整理しておきましょう。
タイプ別:公認会計士の仕事に求められる適性

2025年9月18日 ジャスネットキャリア編集部
目次
■監査業務
公認会計士の独占業務である監査業務は、 一般に公正妥当と認められる会計基準(GAAP)に準拠して、財務諸表が作成されているか否かを判断 します。したがって、目まぐるしく変わる会計基準等を適時・的確に理解する勤勉さがまず求められます。
また、監査業務は、決して派手なものではなく地道な検証作業をコツコツと積み上げるものです。
さらに、クライアントがグローバル展開をしている大きな企業グループだと監査チームも総勢100人を超えることもあります。このため、マネジメントの立場に立つと監査業務を遂行するための 相応のプロジェクトマネジメント力、マネジメントを受けるスタッフの立場となるとチームの方向性を咀嚼したうえでの業務遂行力が求められる ことになります。
また、最新の監査ツールを素早く使いこなすためにはITリテラシーがあったほうが望ましいです。
監査法人は、スタッフから始まり、マネージャー、パートナーと昇進していくものであるので、各階層で求められる役割は異なります。
マネジメントの立場に立つならば、会社のビジネスを咀嚼しつつ、最新の会計動向を踏まえた上での指導力、コミュニケーション能力が求められるとともに、場合によっては第三者的立場を堅持するための厳しい対応が求められることがあります。このあたりの適正バランスを失するとクライアントから反発を招きます。最悪の場合、現場から監査そのものが軽く扱われるなどの状況を招いてしまうので責任は重大です。
またスタッフの立場に立つならば、現場レベルでのコミュニケーション能力が求められ、チーム内の上位役職者の見解を踏まえつつ、監査業務、会計判断を踏まえた監査の調査結果を監査調書としてとりまとめ、全体判断に資する情報を監査チーム内にあげていくことが求められます。こうした役割を担えないと、監査法人として適切な監査意見の判断を下すことができなくなるのでやはり重要な責務を担うことになります。
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■コンサルティング
監査業務は監査人が所定の基準に従いクライアントの財務諸表の適性性を判断しますが、コンサルティングは、 クライアントがいかに満足するかが重要なポイントであり、評価の主体・主役が真逆 となります。
特化する専門分野として会計コンサル、税務コンサル、IFRS導入コンサル、J-SOX導入コンサル、IPOコンサルなど様々な分野がありますが、属する業界についての最新知識の習得や自己研鑽はもちろんですが、相手の身になって問題を考える感応度や柔軟性も求められます。
加えて、分析力、論理的思考力、創造的問題解決力、プロジェクトマネジメントやプレゼンテーション能力も求められます。数字のみならず、クライアントのトップの琴線に響く、端的なレポーティング能力や、ワーディングセンスも重要となります。
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■大企業の経理・財務
組織人として 与えられた職務を忠実にこなすロイヤリティや協調性 が求められます。安定性と専門的な知識を活かして仕事をすることを求める方にはお勧めのキャリアといえます。
定型的な日常業務を迅速かつ正確にかなす几帳面さや、財務会計のみならず管理会計に関する知識の習熟や分析的能力も必要です。
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■CFO(最高税務責任者)
KPMGジャパンが実施しているCFOサーベイ2024によれば、 「事業の選択と集中の判断に関するCFOの役割の重要性が増している」 とされています。
つまりCFOに最も期待されているのは、「事業の選択と集中」(60%)。全社視点でのリソース配分の最適化を行い、企業価値向上の実現のために「変革」を推進する役割が期待されているようです。
その他、既存事業の成長に向けた積極的な関与‐事業部門の背中を押す役割(53%)、ステークホルダー対応‐外部と内部をつなぐコミュニケーターとしての役割(48%)、コスト削減や効率性向上(42%)となっています。
これらCFOの役割期待の上位に位置づけられるものは、自身が有しているスキルや知識を駆使して、企業の全体最適化を図るためのリーダーシップの発揮と管理部門外への情報発信力の向上が求められているということです。
これらは、まさに公認会計士が普段から求められている役割の内容と一致した内容ということができるでしょう。監査の立場、ビジネスの現場を問わず公認会計士に求められるのが、専門家としての知見を活かしつつ現場をけん引する姿ということができます。
こうしたあるべきCFO像を下記に紹介しています。
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■独立開業
独立開業した場合には、顧客を自分で獲得しなければいけないので、
営業力
が欠かせません。また、人を雇って組織を作っていくことになるため、マネジメント能力やコミュニケーション能力も不可欠です。自己管理能力も求められます。
独立するとしてもどの分野で独立するかは様々ですので、監査法人の内外を問わず「公認会計士として」でどのようなキャリアを積むかにかかっています。
税務を基幹業務とする場合には繊細さに加え、関連する法令や基準をタイムリーに学習する姿勢、分野にもよりますが、B2Bであれば監査法人との関係構築、B2Cであれば新規顧客の獲得のための人脈の構築も必要です。
その他IPO専門を基幹業務とする場合は、主幹事証券会社やベンチャー企業との関係の維持、IFRSを基幹とするならば、中小監査法人との関係の維持など、ニーズのある所に仕事はあるので、こうした嗅覚を備えておくことは必要でしょう。
受け身では成功はおぼつきません。
時代の風やクライアントのニーズを的確に読む、感受性
も求められるでしょう。
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ジャスネットキャリア編集部
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