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監査業務は激務? 4大監査法人と中小監査法人のワークスタイル分析

監査業務は激務? 4大監査法人と中小監査法人のワークスタイル分析

公認会計士試験合格者のほどんどが最初に就職する監査法人。監査の仕事は、「激務」だという話は小耳に挟んだことのある方も多いかと思います。

この記事では、4大監査法人と中小の監査法人(個人会計事務所)で忙しさやワークスタイルに違いはあるのか、また「会計士としての将来の方向性」を踏まえた上でそれらとどう折り合いをつけるのがよいのかを、4大監査法人とトランザクション・アドバイザリー会社、また個人の会計事務所を経験した公認会計士がご紹介します。

わたしは公認会計士になって約20年になりますが、監査を取り巻く環境の変化をひしひしと感じています。監査に従事する公認会計士にとっての環境の変化は、労働時間の長時間化、精神的負担、利害関係者からの期待と失望など様々です。

これらの環境の変化は、これからますます進んでいくと思われます。そういったなかで、われわれ公認会計士は、何をよりどころに職業的専門家としていくか、ワークスタイル選択の観点からお話させてもらいます。

1.4大監査法人と中小監査法人で忙しさの違いはあるのか

近年より続く、人手不足による売り手市場のため、公認会計士は試験合格後、4大監査法人に入りやすい状況にあります。4大監査法人は、新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、あずさ監査法人、PwCあらた有限責任監査法人の4つで、大手海外会計事務所と提携もしくは傘下に入っておりグローバルに展開しています。監査法人内に勤務する人数も中小監査法人(個人会計士事務所)とは比べ物にならないほどいます。配属された部署が違うと、顔も名前も一致しない同期が存在する位です。

このような法人規模の違いによって、業務の内容や忙しさに違いがあるのかどうかを解説していきます。

(1)4大監査法人と中小監査法人で監査の質に違いはあるのか

上場会社をはじめ有名企業は、4大監査法人を会計監査人とすることが多いといえます。投資家は、名の知れていない中小監査法人(個人会計士事務所)だと、監査の『クオリティー』が低いのではないかと先入観を持っているからです。

実際には、中小監査法人のパートナー(経営者)のほとんどが、4大監査法人の出身者のため、監査の『クオリティー』には大きな差はないと思われます。ただし、4大監査法人は監査システム、監査ツールのIT化が圧倒的に進んでいます。

(2)4大と中小、忙しいのはどっち?

4大監査法人と中小監査法人(個人会計士事務所)、どちらが忙しいかは、一概にはいえません。4大監査法人では内部資料の作成に終始追われ、他方、中小監査法人(個人会計士事務所)は、プロパー職員の人数が限られているため、あれこれとやることが多く忙しいです。繁忙期(4~6月)は、4大監査法人の方がクライアント数やクライアントの規模が大きいため、忙しい傾向が顕著です。

年収、および初任給はやはり、一般的には、4大監査法人のほうが高く、福利厚生も充実しています。残業代に関しては、原価率の管理が厳しく青天井の残業時間をつけられる状況ではないといえます。これは、業務の内容と担当パートナーと主査(現場責任者)の判断によるところが大きいです。

2.監査法人の仕事は、激務?

(1)監査法人は、本当に忙しいのか

監査法人の業務内容は本当に激務なのかについて、考えてみたいと思います。企業などに勤務した経験のないまま公認会計士になった方にとっては、社会人として初めての仕事ですし深夜残業もあるため、激務と捉えられる傾向が強いといえます。

前職に金融機関、保険会社、警察庁をはじめとする国家公務員を経て公認会計士になったわたしの過去の同僚は、監査法人の業務は、彼らの前職業務内容に比べると、全然激務と思わないとよく言っていました。

また最近は4半期決算の影響で、繁忙期と閑散期の波がなくなってきました。また3月決算以外のクライアント(いわゆる期ズレのクライアント)もあるので、年がら年中、レビューや監査をしているため、激務と感じる一つの要因なのかと思います。

(2)20年前と今の監査法人の仕事の違い

この20年間の間に監査法人の仕事がどう変わったのかについては、利害関係者のニーズの変化により仕事が忙しくなっているという側面があります。小職が監査法人に入ったころは、連結財務諸表の監査もなく、4半期開示もなく、税効果や資産除去債務といった見積り要素の強い監査がありませんでした。

このような時代の変化と共に、監査領域の拡大と新しい監査概念の導入で、忙しさは増しているのは事実だとは思います。

ただ、激務だからといって4大監査法人を敬遠するのは長い仕事人生を考えた上では得策でないと思います。この理由については後述します。

3.将来の方向性から考えた4大監査法人と中小監査法人の違い

(1)4大監査法人に入った後のさまざまな道

ゆくゆくは中小監査法人に転職するか、自分で個人事務所を立ち上げるか、コンサルティング会社や証券会社に転職する等、将来の方向性をどう置くかで、4大監査法人に入った後の道筋は変わってきます。

4大監査法人に残って、マネージャーに昇進しパートナーなるか。この場合は、人事評価により昇進が決まるため、どのパートナーについていくのかが重要となります。

4大監査法人を退職して新たな道に進む場合、監査法人外での人脈作りが重要となります。実家が税理士事務所を営んでいる場合は、税理士法人等での修行が必要となります。また、監査しか知らない公認会計士は、金融機関や証券会社にとって魅力ある人材に見えないため、ファイナンシャル・アドバイザリー・サービスといった方面で修行してから独立するのも手です。

(2)中小監査法人で働くことのメリット

中小監査法人で働くことのメリットは、一にも二にもクライアントとの距離が近いため人脈形成がしやすい点にあります。

また、中小監査法人ではクライアント規模も小さいので、税務の知識が大手より求められることになります。税務知識を嫌がおうに求められるため、自然と勉強する環境にはなるかと思います。

資本政策についてもアドバイス求められ、またファイナンスに特化した外部専門家と接する機会が増えることから仕事の幅が広がるのもメリットの一つといえます。

4大などの大手監査法人にいると、やはり目の前にある監査だけに追われることになるため、将来的に独立を考えているなら、中小監査法人の方がそれに必要なスキルを習得しやすい環境にあるといえます。

(3)わたしの場合

ちなみにわたしは、4大監査法人を経て、ファイナンシャル・アドバイザリー・サービスでデューデリジェンスとバリュエーションを学びました。その後、大学ゼミの恩師である川北博事務所(個人の会計事務所)を経て、独立しました。

独立準備段階として、異業種との交流を図りました。特に、医師と弁護士とは積極的に交流を図りました。医師との繋がりを求めたのは、元々、ヘルスケア領域への関心が強かったためです。弁護士との繋がりを求めたのは、事業再生のため必要となるデューデリジェンスとバリュエーションといった前職で得た知識と経験を生かしたかったためです。

また、同業の公認会計士の先輩から、監査のお仕事の紹介や、監査役、上場会社の非常勤取締役のお話もいただきました。

ですので、将来自分で事務所を立ち上げようとしている方々は、『よき』人脈、『よき』先輩、『よき』仲間を自然とつくっていく必要があると思います。

4.まとめ

いままで述べてきたように、監査の仕事はわたしが20年前に公認会計士試験に合格し、監査法人に入所したころに比べ、忙しくなっているというのは現実としてあります。

4大監査法人には、人が多い分、出会いも多く(人脈)、自分を磨くチャンス(経験)も多いのは事実です。中小監査法人を経て、4大監査法人に転職される方もいないわけではありませんが、最初から4大に入った方がその後の選択肢は多いと言えます。

一方で、3.(2)「中小監査法人で働くことのメリット」で述べたように、中小監査法人で働くことのメリットもあります。

これから公認会計士試験を受験される方も読んでいらっしゃるかと思いますが、公認会計士になった方は、まずは自分が将来どのような道に進みたいかをぼんやりとでも思い描いてから、最初の就職先を選んでいただきたいと公認会計士のいち先輩として、切に望みます。

公認会計士の求人
執筆者プロフィール
安田 憲生(やすだ のりお)
  • 公認会計士

中央大学商学部卒業

太田昭和監査法人(現 新日本有限責任監査法人)入所後

アーンストアンドヤング・トランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社に勤務し、財務デュー・ディリジェンス業務に携わる。

現在、公認会計士川北博・德永信事務所、安田憲生公認会計士事務所に勤務。

上場会社の非常勤取締役、IPOを目指す会社の監査役に多数就任。

自身の事務所では医療法人や学校法人、一般社団財団の監査を行っている。

関連サイト
安田憲生公認会計士事務所
著書
社長・税理士・弁護士のための 私的再建の手引き〔第2版〕

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社長・税理士・弁護士のための 民事再生の手引き

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勤務医・開業医が知っておきたい 病院の税務と経営管理

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(以上、税務経理協会より刊行)

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2018.12.13

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