目次
■海外進出支援の業務内容
- (1)税務業務(主に国際税務)
- (2)経理財務業務(海外子会社決算とりまとめ、連結決算、内部統制など)
- (1)シンガポール法人の会計税務代行
- (2)シンガポール法人設立等の進出支援
- (3)シンガポール法人の登記業務(カンパニーセクレタリー業務)
- (4)シンガポール法人の人事サポート
「企業の海外進出支援」の仕事の魅力、業務内容は?
企業が海外進出支援をする際、会計士として関わるとするならどのような業務内容になるのでしょうか。この記事では、シンガポールで会計事務所を運営する会計士にお話をうかがいました。
まず一般的に海外進出支援業務とは、「日本企業の海外進出を支援する業務」をいうと思いますが、分類すると下記の切り口があります。
①日本から進出支援業務を行うのか、それとも現地で行うのか
②広く海外を取り扱うのか、それとも国を特定するのか
③実際に自社で直接業務を行うのか、それとも業務を行う現地業者の間に入るのか
④具体的な支援内容(会計、税務、法務、ビザ、戦略、不動産、人材紹介、投資、通訳翻訳、資金調達など)は何か
今回、「会計士による海外進出支援」ですので、日本の公認会計士の方で従事している方が最も多いと思われる①日本から②国を特定せずに海外の③会計税務業務を④自社で直接もしくは現地の業者との間に入って支援するという一般論を前提としつつ、わたしが経営するファームのケース(①現地で②シンガポールに特化して③自社で直接④法務以外の全ての業務を取り扱う)も合わせてご紹介していきたいと思います。
以下、まず海外進出支援業務の一般論からご紹介します。
国際税務でもいわゆるインバウンド(海外企業の日本進出)とアウトバウンド(日本企業の海外進出)とでは取り扱う税務論点が大きく異なりますが、海外進出支援の場合は後者になります。
国際税務というと、海外の国々の現地の税務制度を取り扱うと思われがちですが、基本的には「日本国内税務」のうち海外取引に関する部分、例えばタックスヘイブン対策税制や移転価格税制といった特殊領域のアドバイザリー業務や申告業務を取り扱うのが一般的です。
残念ながら監査の経験を活かす場面は限られていますが、一般的に国際税務は金額が大きくなることも多く、その成果によってはクライアントに多大な貢献ができる刺激的な分野ということもできます。
経理部に英語人材が不在の会社や、はじめての海外進出で海外子会社の経理財務について知見が無い、海外子会社で不正があったので内部統制を改善したい、といった場合にアドバイザリーのニーズがあります。
監査ではクライアントが作成した海外子会社の決算書をチェックする側ですが、海外進出支援業務になるとクライアントと一緒に数字を作る側になります。
英語力次第ではクライアントと一緒に海外子会社に訪問し会計税務や内部統制論点を本社に報告する、といった機会もあるでしょうし、監査法人での経験が存分に活きる業務といえます。
続いて以下、現地で日本企業のシンガポール進出を支援している弊社のケースです。
シンガポール子会社や支店、日本人が現地で起業した現地法人といったクライアントに、会計業務(記帳代行や決算書作成など)や税務業務(法人税やGSTという消費税と同様の間接税など)を提供するものです。
監査と異なり「数字を作る側」となり、監査を受ける立場にもなります。
監査法人経験者の場合、会計ソフトに慣れさえすればすぐに業務にも慣れることができますし、監査法人の要点を掴んで効率的に監査を終わらせることができます。また、会計が苦手な他のスタッフに会計を教えてもらうことも会計士の方には期待するところです。
現地法人を設立し銀行口座開設を行いビザの申請を行う、といった一連のプロジェクトを主導し、実際に手続きを行います。
「会計のみ」を取り扱う監査とは大きく異なり、各種制度に関する知識や銀行担当者との英語のやりとり、全てを効率的に取り計らう段取り力という、まさにコンサル力が求められます。
特に大手日系企業のシンガポールの進出の場合、連結決算の段取りや現地の内部統制をクライアントと一緒に考える、といった場面で監査法人の経験が活きてくるでしょう。
日本でいう司法書士や行政書士のような書類作成や登記業務をシンガポール法人に対して提供するものです。
監査法人でクライアントから開示を受けていた取締役会議事録や株主総会議事録といった書類を作成したり、実際に当局に登記手続きを行います。
一見、監査法人や公認会計士の業務とは全く関連性が無いようにも思えますが、実際の実務は会社法的な論点がとても多く、会社法を踏まえて社内で議論となることもしばしば。会社法の基礎を勉強している公認会計士は理解が早く、心強い戦力といえます。
給与計算や日本でいう社会保険の計算申告、ビザの申請といった業務をシンガポール法人に対して提供するものです。
こちらも登記業務と同様、本来はクライアントが行う給与計算等を業者として作成を代行します。実際には作業のみならず、ビザが通りやすくするためのアドバイスや経営者からの雇用に関するお悩みといった付随業務も多いです。
シンガポール特有の制度が多いものの、人事制度も含めて会社全体を見る機会の多い監査法人出身者であれば要点を掴むのは早いといえます。
多くの会計士の方と同様、監査法人に就職した当時から3,4年で辞めると決心していました。その後、どこで何をしようかと考えた結果、残念ながらマクロでみるともう日本国内の経済に明るい未来が見えない、という結論に至りました。
これまで日本国内だけでビジネスが完結していたような日本企業も海外に出ていかなければ立ち行かない時代になると考え、英語をゼロから勉強して、自らシンガポールに移住し、現地で独立、会計事務所を立ち上げて今に至ります。
独立した当初はクライアントも全くいない状況から始めました。分からない実務知識も多く、それこそ死に物狂いで仕事をしましたが、今はそれらの実務知識、ノウハウを各スタッフに伝え、各スタッフと一緒に最新実務にアップデートしながら、全員が楽しく心地よく、そしてプロとして成長して仕事を続けられるための仕組みづくりを考え実行することが経営者としてのわたしの仕事です。
まず海外進出支援業務の一般論からお伝えします。
上述の税務業務でいうと、Big4や中堅国際ファームの国際税務部門などが挙げられるかと思いますが、どちらかというと英語力よりも国際税務の知識や経験が問われる世界といえます。
ロジカルシンキングやコミュニケーション能力といった、どの業界、どの業務にも必要な素養は当然ながら、租税条約や日本の税法を読み解く力、それから税務業務を通じてクライアントのキャッシュを最大化したいという(学者肌というよりは)事業欲のある方、といった方が向いていると言えそうです。
一方で上述の経理財務業務については、クライアントの海外子会社管理や連結決算関連業務がメインになりますが、現地の事情が国によって様々なため、日本の常識では考えられないハプニングの連続になります。ですので、小さなことにこだわらない、ハプニングを楽しめる、といった性格の方が向いていると思います。
また、会計ができる人も英語ができる人も日本には多いですが、会計と英語の両方できる人は日本には少なく、「英語のできる会計士」が求められるので、税務業務よりは英語力が強く求められると思います。
次に、シンガポールで現地採用となる弊社のケースです。
弊社では、英語が得意な人には英語が活かせる業務を、そうでない人にはなるべく日本語で完結する業務(ただし読み書きは必要)を差配するので、英語力は高くても低くても大きな問題はないです。
ただ、英語力が低いと担当できる案件が限られてしまいますし、社内で日本語が分からないスタッフもいるのである程度は必要になってきます。少なくとも自分の英語力の低さに危機感をもって努力ができる人、である必要はあります。
「IFRS知識」は、監査必須クライアントの場合にはある程度必要になりますが、実際には監査必須のクライアントはあまり多くないため、日本の会計基準がしっかり理解できていればIFRS知識はそれほど大事ではありません。会計はグローバル言語ですので。
弊社では、経営理念やコアバリューに基づいて会社づくりをしていますので、それらに賛同してもらえる方が一番向いているといえます。
海外進出支援業務の一般論でいうと、まず国際税務業務は専門性を磨けば磨くほどクライアントへのインパクトが大きいです。
移転価格税制をはじめ、税務インパクトが数十億円、数百億円となる案件も多く、税務業務を通じたクライアントへの貢献という意味では群を抜いてやりがいを感じられると思います。できる人も限られるので希少性も高い。
経理・財務業務では、クライアントで解決できない問題を英語を使って解決できると、正直、カッコいいと思います。カッコいい仕事はやりがいを感じるというのがわたしの考えです。
わたし自身のやりがいポイントは「懸念していた手続きがスムーズに成功した時」です。具体的には、クライアントのビザが承認された時、銀行口座開設が無事に成功した時の2つです。
わたし達は過去の経験を徹底的に未来に活かし、常に過去最高のノウハウで手続きを行っている自負があるのですが、それでもやはり監督官庁や銀行側の事情で上手くいかないことがあります。
ビザは個人の人生を大きく変えますし、銀行口座開設がないとそもそもシンガポール事業が立ち上がりません。それらを乗り越えビザが承認された時や銀行口座開設が成功した時は、「よっしゃ!」となります。クライアントもご自宅で「よっしゃ!」と叫んでいる姿が目に浮かびます。
また海外進出支援というより海外に住むことのメリットかもしれませんが、海外に住むと、「日本の良いところ&悪いところ」が明確に感じられるようになります。
これまでは日本なんてどうしようも無い国だ!と悲観的に感じていたとしても、日本を離れてみると良いところが多く目につくようになります。母国を好きになるということは人生においてとても大きいです。
他にも、日本で会計業務に携わっていても会うことができないような有名人や起業家の方とお話する機会に恵まれたりすることもあります。
まずは海外進出支援業務の一般論から申し上げます。
監査法人出身の会計士が海外進出支援業務に飛び込む場合、国際税務であっても経理財務であっても、会計知識は監査法人ほどには必要なく、求められるスキルは正直、英語かと思います。
身も蓋もない話ではありますが、英語ができる会計士がそもそも少ないので、英語ができる会計士はそれだけで重宝されるでしょう。
あとは給与面の折り合いがつけば、採用可能性については問題ないことが多いかと思います。
次に弊社の場合、スキル面でいえばハードスキル(知識など)は、監査法人で勤務されていた公認会計士であればすでに十分で、ソフトスキル(性格やコミュニケーション能力)の方が重要です。
AかBか?という質問にしっかりAかBか答えられる方、ざっくりした事象に対して論点を分解・整理できる方、周りと協力して仕事ができる方、分からないことは周りに聞き、自分が分かるところは積極的に教えるといったチームワーク、報告なのか連絡なのか相談なのか明確にして結論から話せる方、提案はしても愚痴は言わない方といった素養です。
英語力は上述の通り、英語力に応じて案件の差配を組みますので、できるに越したことはありませんが採用時点でできなくても大きな問題はありません。
会計士が海外進出支援業務に転職する場合、一般論としては上述の通り、英語力が大きなポイントかと思います。
弊社の場合、表面的に対策されてしまうとよくないので回答しにくいですが、一番大事なのはビザの要件に合致するかという点です。
現地の法規制の影響で具体的には書けませんが、会計事務所(監査法人を含む)でのキャリア3年~6年の方が一番マッチするといえます。
ビザ要件さえクリアすれば、あとは上述の通りプロとしてのソフトスキル、それからシンガポールで長く(少なくとも3年程度は)働ける生活環境にあるか、わたし達の文化に合うか、人と仲良くできるか、その方を採用したら社内が良い雰囲気になりそうか、といった点を総合的に考慮して採用を決めています。
会計士に限りませんが、採用する側の状況を考えることがポイントかなと思います。
まず、「どれだけ入念に採用試験や面接をしても、実際に仕事をしてみないとパフォーマンスの良し悪しは分からない」というのが現実ですので、採用側としてはなるべくリスク(=人件費)を抑えて採用したいものです。
ですので、まずは採用時の門が開きやすくなるよう、希望年収は大きく落としつつ、「パフォーマンスが高いと評価された場合の昇給や賞与の見込み」をしかるべき責任者の方からしっかり聞き出しておくとよいと思います。
実際、優秀な方へ大幅な昇給や賞与支給するのは採用側もやぶさかではありませんので通るはずですし、採用側としても良いアレンジになるかと思います。特に未経験領域へのチャレンジでは有効かと思います。
また、採用プロセスは会社側のみならず、候補者側も会社を品定めする機会です。弊社でもおそらく全ての採用候補者に「入社した後で、こんなはずじゃなかった!とならないように、気になることは今のうちに何でも聞いてくださいね」とお伝えしていますが、気になる点は入社前にしっかり確認するという点が重要かと思います。
あとは噓をつかないこと、といった最低限さえ守っていただければ、ありのままのご自身で臨むのが中長期的に双方にとってよいと思います。
監査法人から国際税務に転職するのであれば、未経験領域になるので大きく年収を落とさざるを得ないでしょう。
ただ、例えば「20%減」というパーセントで考えるのはちょっと違うかなと思います(年収1,000万円の人が20%減の800万円まで下げれば採用されるのか、といえばそうではありません)。
あくまで未経験者なので、一般的には絶対額で年収500-600万円程度からスタート、というのが現実路線ではないでしょうか。キャリアが活きる経理財務支援であれば今の年収そのままスライド、もしくは微増ということも十分あり得ると思います。
弊社のケースでは、例えば監査法人出身の会計士の方が弊社に転職される場合、(為替やキャリアにもよりますが)年収で700万円~900万円ぐらいになるのが通常です。
パフォーマンスの高い人の昇給幅は大きいので、日本の公認会計士の方であれば数年で1,000万円を超えるのも珍しくありません。
一般論として、国際税務でいえばBig4税理士法人など、国際税務専門家の中での昇進を目指すこともありでしょう。その場合、数十億円数百億円規模のダイナミックな案件の責任者を担うことになります。
中堅規模の税理士法人もしくは独立して中小企業の国際税務を担う、ということも魅力的です。国際税務を武器に経営者と一緒に海外事業の税務リスクを下げつつ海外進出を支援し、税引き後利益の最大化を目指した「攻めの国際税務」を展開することもよいでしょう。
国際的な大企業では国際税務専門チームがあることもありますので、そういった道もあるでしょうし、数年で国際税務の基礎を経験して海外事業を進めるスタートアップに参画するというチャレンジも素晴らしいです。また、外資系企業の日本の経理財務部に転職というキャリアも考えられます。
実際には「その後のキャリア」を必ずしも描いていなくても、転職先で良い出会いがあってその後のキャリアを左右することも多いといえます。
弊社のようにシンガポール限定であれば、まず英語力が(シンガポールは英語学習に最適な国ではありませんが)強化されるはずなので、欧米諸国への転職のきっかけにもなるでしょう。
それから、現地でBig4などの大手に転職して大手企業クライアントへのサービス提供にシフトしていくのもアリでしょう。大手会計事務所は日本よりも海外の方が経営陣とスタッフ陣との収入格差が大きいので、現地の会計事務所でのし上がるのも夢があってよいです。
弊社内のキャリアとしては、まずはスタッフとして最高職のプロフェッショナルコンサルタントを目指していただいて、素養があればマネージャー、人生のベクトルが同じだったり、生活環境が合って、当事者意識があるのであれば経営陣に加わっていただくことも歓迎します。
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管理会計ラボ株式会社 梅澤 真由美
公認会計士 新開 智之
公認会計士・税理士 赤塚 孝江
監査法人アヴァンティア 橋本 剛
太陽有限責任監査法人 石原 鉄也
太陽有限責任監査法人 石原 鉄也
アヴァンセコンサルティング株式会社 代表取締役 野村 昌弘
公認会計士 新開 智之
公認会計士 高橋 善也
公認会計士 野村 宜弘
公認会計士 福留 聡
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公認会計士 江黒 崇史
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公認会計士 村井 直志
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公認会計士 冨田 建
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公認会計士 江黒 崇史
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公認会計士 重見 亘彦
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公認会計士 小林 正和
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公認会計士 西濱 絢
公認会計士 西濱 絢
公認会計士 福留 聡
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公認会計士 福留 聡
公認会計士 石動 龍
公認会計士 江黒 崇史
税理士 小島 孝子
公認会計士 松本 佑哉
公認会計士 江黒 崇史
公認会計士 江黒 崇史
公認会計士 福留 聡
公認会計士 伊藤 英佑
公認会計士 福留 聡
公認会計士 山本 真美子
公認会計士 岩波 竜太郎
公認会計士 M.N
公認会計士 冨田 建
公認会計士 都外川 雅門
公認会計士 横山 敬子
公認会計士 福留 聡
公認会計士 安田 憲生
公認会計士 江黒 崇史
公認会計士 江黒 崇史
公認会計士 江黒 崇史
公認会計士 福留 聡
公認会計士 中島 英明
公認会計士 R.H
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公認会計士 白土 英成
公認会計士 三宅博人
公認会計士
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