中小・新興企業にとって、大きな目標の一つである株式上場。その際、経営者そして投資家の大きな関心として、株式の公開価格がいくらになるのかということがあります。上場時の株価の決定については、その方法について理解しておく必要があります。そこでおさらいしたいのが、IPO時の公開価格の決定方法である「入札方式」と「ブックビルディング方式」です。
IPOの株価決定「入札方式」「ブックビルディング方式」とは?
目次
1.入札方式のメリットとデメリット
2.ブックビルディング方式で需給バランスを反映
3.IPOに関わる会計士に必須の知識
1.入札方式のメリットとデメリット
新規上場会社が、新規公開株式を投資家へ売り出す場合には、まず株式の公募価格を決めなくてはなりません。その方法の一つに「入札方式」があります。これは、文字通り、投資家が一定期間に希望価格を入札し、その結果に基づき公募価格が設定されるというものです。
入札方式は、投資家の目が確実に反映されるという意味で、分かりやすい方式といえます。また、資金調達をする企業にとっても、有利な条件で引き受けをしてもらえることがメリットですが、その一方、公募価格が高騰しやすく、上場後に急激に株価が下がるなどの不安定さがあることが、デメリットして指摘されています。
2.ブックビルディング方式で需給バランスを反映
そのデメリットに対応するのが、もう一つの方式である「ブックビルディング方式」です。これは、株式を引き受ける投資家による需要の状況を見ながら公募価格を決定するもの。具体的には、まず、大口の機関投資家からの意見をもとに、仮条件の価格帯を決めて一般投資家に通知。そして、投資家は仮条件の範囲内で価格や引受数などを提出。その需給状況をもとに公開価格を設定します。
メリットとしては、入札のような価格の極端な高騰が起こりにくく、需要と供給のバランスがとれた価格の決定ができること。その結果、上場直後に売却するといった投機的な動きを比較的抑えることができるとも考えられます。現在、国際的な投資も多くなり、投機目的のものも含め、投資家が多様化していることから、ブックビルディング方式による公開価格決定を行うことが多くなっています。
3.IPOに関わる会計士に必須の知識
公開価格決定方式は、企業の上場、株式公開に立ち会うことの多い公認会計士にとって、非常に重要な知識となります。IPO支援、コンサルティングを行う会計士はもちろんのこと、企業内で資金調達の方策、資本政策を立案する会計士にも必須といえます。また、昨今問題になっている上場後の株価の下落については、監査との関連で語られることも多いことから、監査を行う会計士も公開株価決定までの過程を理解しておく必要があるでしょう。
IPOの流れと基礎的な事項を下記でご紹介していますので、ご一読ください。
- 執筆者プロフィール
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福留 聡(ふくどめ さとし)
公認会計士・税理士・ワシントン州米国公認会計士・米国税理士・行政書士 福留 聡事務所福留 聡事務所は、新宿区の日米税理士事務所兼日米公認会計士事務所で、日本で最初の日米公認会計士兼日米税理士事務所であり、豊富な実務経験と出版経験を要する日米公認会計士・日米税理士が国内案件から海外案件、個人事業主から上場企業、外資系企業までお客様の多様なニーズにお応え致します。また、Skypeを用いて全国対応、海外対応している数少ない国際会計税務事務所です。
- 著書
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『公認会計士・税理士・米国公認会計士・米国税理士 資格取得・就職・転職・開業ガイドブック』(税務経理協会)2014
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(※amazonの書籍ページに遷移します)『7つのステップでわかる 税効果会計実務 完全ガイドブック』(税務経理協会)2016
(※amazonの書籍ページに遷移します)『7つのステップでわかる 税効果会計実務入門』(税務経理協会)2014
(※amazonの書籍ページに遷移します)『経理業務を標準化する ワークシート活用ガイド』(中央経済社)2013
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福留聡税理士事務所/福留聡国際会計アドバイザリー株式会社
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