日本公認会計士協会が運営していた求人情報サイト「Career Navi」が2025年3月に閉鎖され、その後、6月に日本公認会計士協会に登録している会員及び準会員を対象とした求人情報提供サイトを新たに開設されました。多くの非常勤勤務を指向する公認会計士にとって仕事探しの方法の一手段として普及しています。が大きく変わろうとしています。
こうした日本公認会計士協会が主催する求人情報提供サイトれまで「Career Navi」は、独立した公認会計士が手始めに監査法人や会計事務所の求人情報を手軽に探せるプラットフォームとして機能していますした。
しかし、公認会計士にとって日本公認会計士協会が主催する求人情報が存在することを周知されていません。また実際の活用していないゆえに非常勤職員の仕事を伝手を頼ることしかできず、結果、継続的に確保できないという事例を何度か見たことがあります。
閉鎖されることで今後独立した公認会計士が、非常勤の仕事を継続的に確保することがより難しくなる可能性があります。
本記事では、
非常勤公認会計士が長期的に仕事を確保し続けるための具体的な戦略と実践的なコツ
を詳しく解説します。
■ 非常勤公認会計士の仕事環境と市場動向
(1)非常勤公認会計士の役割とは?
非常勤公認会計士は、フルタイムの正社員とは異なり、スポット的な業務やプロジェクト単位での契約で働くケースが多いのが特徴です。
主な業務内容としては、以下のようなものがあります。
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監査法人での監査業務(繁忙期のみの契約を含む)
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企業の内部監査や会計アドバイザリー業務
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IPO準備企業の支援
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税務・会計事務所での業務
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M&Aや財務デューデリジェンスのサポート
特に、監査業務の非常勤の仕事は、独立した公認会計士にとっては身近な職務でしょう。
自身の仕事量の調整弁としての役割
を持っているとみることができます。非常勤の仕事は、フルタイムでの拘束を避けつつ、ライフスタイルに合わせた働き方ができるのが魅力ですが、監査業務の非常勤は常に仕事を確保し続けるための工夫の一つとして重要な手段であり続けてきました。
(2) 非常勤求人の今後の見通し
公認会計士協会が主催する求人情報の周知が徹底していないため、今後も「Career Navi」の閉鎖により、
求人情報の分散化が進み、求職活動がより自発的なものになる
ことが予想されます。
監査法人や会計事務所の人材ニーズは引き続き高いため、適切なアプローチ、適切なキャリアを実践していを取れば安定して仕事を確保できると思います。
■ キャリアナビ閉鎖後の非常勤求人の探し方
(1) 求人サイトを活用する
以下のような代替サイトを活用し、求人情報を収集しましょう。
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日本公認会計士協会が主催する求人サイト
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ジャスネットキャリア
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会計士job
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ビズリーチ
なお、公認会計士協会が主催する求人サイトに求人情報を掲載できる事業者は次のとおりです(事前に事業者の登録申請が必要です。)。
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1. 監査法人
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2. 公認会計士事務所(個人事務所又は共同事務所)
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3.税理士法人
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4.金融商品取引法による監査、会社法による監査又は金融商品取引法に準ずる監査(上場準備のための監査)を受けている会社(上場会社等)、又は上場を目指している会社等
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5.学校法人等の非営利法人
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6. 官公庁
ここで、公認会計士協会のHPには、「求職者を直接雇用する事業者に限り登録が可能です。直接雇用ではない業務委託については掲載できません。」とあるので、非常勤勤務を業務受託を想定している場合、こうした業務受託の形態での非常勤勤務はできない可能性が高いと思います。
(2) 監査法人・会計事務所の公式サイトを直接チェック
監査法人や会計事務所の採用ページには、一般の求人サイトに掲載されていない非常勤募集情報があることがあります。特に
中小監査法人においては、WEBページに「採用募集」や「お問い合わせ欄」がありましたら積極的に連絡を取ってみる
ことがオススメです。
確実に採用担当のパートナーと連絡がつきますので、非常勤勤務を希望する場合は問い合わせを行うべきでしょう。
(3)SNS・オンラインコミュニティ、自身のツテを活用する
LinkedInやX(旧Twitter)などを活用し、最新の求人情報をチェックしましょう。
また、監査法人時代の同僚つながりから非常勤の求人を受けることがあります。独立後はこうした伝手が活かされることは多々あるので、普段から対人関係は丁寧にしておくに限ります。
(4) 人材紹介会社を利用する
専門のエージェントを活用することで、非公開求人や企業ニーズに合った案件を紹介してもらえます。
■ ずっと非常勤で働き続けるための3つのコツ
非常勤として長く安定して働くためには、
単に求人に応募するだけでなく、仕事を継続的に確保できるような仕組みを作ることが重要
です。
(1)人脈を広げて仕事を獲得する
非常勤公認会計士として仕事を安定して得るためには、
人脈の構築と維持が不可欠
です。常に一方向で仕事が存在しているわけではないので、複数方面にアンテナを張っておき、機会があれば士業交流会の場に参加するようにしておくことが必要です。
① 監査法人・会計事務所の関係者とつながる
非常勤として過去に勤務した監査法人や会計事務所の上司・同僚との関係を維持することで、新たな案件を紹介してもらえることがあります。
また、過去に勤務したことがなくても、非常勤の仕事を行うことで次の仕事につながっていくこともあります。
② 業界イベントや勉強会に参加する
会計士協会のセミナー、業界のネットワーキングイベントに積極的に参加し、新しい人脈を築くことも有効です。
業界イベントや勉強会の参加に当たってはSNSや公認会計士協会の参加型研修への参加などの機会を探っていくとよいと思われます。
③ SNSやオンラインコミュニティを活用する
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LinkedInで「会計士」「監査」「非常勤」などのキーワードで検索し、つながりを増やす
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X(旧Twitter)で会計士関連の情報を発信し、業界内での認知度を上げる
(2)専門性を磨き、選ばれる会計士になる
非常勤の仕事を継続的に得るには、「この分野ならこの人」と認識される独自の強みを持つことはポイントとなります。
① 市場ニーズの高い分野に注力する
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IPO準備企業向けの会計支援
(IPO企業の需要は年々増加)
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M&Aや財務デューデリジェンスの経験
(PEファンド・投資銀行向けの案件が増加)
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最新の会計基準(IFRS、US GAAP)に精通
(グローバル企業との契約が可能に)
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税務専門家としてのスキルを磨いておく
② 資格やスキルをアップデートする
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CISA(公認情報システム監査人)
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USCPA(米国公認会計士)
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ファイナンス関連の資格(CFA、簿記1級など)
「非常勤だから勉強しなくていい」という考えはNGです。競合の相手は皆、自分と同じ「公認会計士」であることを念頭に、スキルを磨くことで、より良い条件の仕事、付加価値のある仕事を継続的に獲得できます。
(3) スケジュール管理と契約の工夫をする
非常勤で安定した収入を確保するには、契約の重複やギャップ期間を管理することが必要です。
① 複数のクライアントと契約する
1社だけに依存すると、契約終了時に収入が途絶えるリスクがあるため、
複数のクライアントと契約を並行して進める
ようにしなければなりません。
非常勤での契約は、雇用契約か業務委託契約になるのが基本かと思います。業務委託契約でありながら、一部には拘束が厳しい監査法人などがありますが、お互いにリスクとリターンのバランスを欠くこととなりますので、一定の距離感を保ちつつ、話し合いができる委託先を増やしていくことが必要です。
② 繁忙期・閑散期のバランスを取る
監査法人の繁忙期(1月~5月)にフル稼働し、閑散期(6月~12月)は
コンサルティング業務や企業研修株価算定作業の仕事を増やすなどを行う
ことで年間を通じた収入の安定化を図ります。
③ 長期契約を意識する
1回限りの単発案件ではなく、
半年~1年の長期契約案件
を増やすことで、仕事の安定性を高めることができます。
■ まとめ|非常勤会計士として長く働き続けるために
「Career Navi」閉鎖後は、非常勤会計士として独立する、すでに独立している公認会計士は安定して仕事を確保し続けるために、
積極的な求職活動と長期的なキャリア戦略が不可欠
です。
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仕事につながる有効な人脈を広げ、紹介案件を増やす
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案件獲得のために専門性を高め、選ばれる会計士になる
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契約の工夫とスケジュール管理で収入を安定させる
以上のポイントを意識して、非常勤会計士としてのキャリアを築いていきましょう!
【監修:公認会計士 齊藤健太郎】
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