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女性会計士は、ママになっても働ける?子育てとの両立とキャリアアップについて

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公認会計士の女性にとって出産や育児などでライフスタイルが変わった際に、一番働きやすい環境は大手監査法人や税理士法人なのでしょうか、それとも一般企業なのでしょうか、はたまた独立開業という道なのでしょうか。

この記事では大手監査法人に勤務ののち、現在は独立開業して働く会計士に女性が子育てをしながらキャリアアップをするための秘訣をご紹介いただきます。

目次

1.出産後、女性公認会計士の復職について

2.出産後、女性公認会計士のキャリアについて

3.女性公認会計士のキャリアアップについてのヒント

4.最も計画通りにいかないのは妊娠と出産

5.まとめ

1.出産後、女性公認会計士の復職について

(1)公認会計士協会の取り組み

私が監査法人に入所した20数年前、子育てをしながら活躍する先輩の女性公認会計士はほぼ皆無で、出産した女性公認会計士は退職するのが一般的でした。

その後公認会計士協会や監査法人は女性会計士に対する施策を充実させ、2017年末時点の女性公認会計士は全体の14%を占める4,220人にまで増えました(1990年は3%の227人)。

現在公認会計士協会は女性会計士活躍促進協議会という協議会を通じて積極的に女性公認会計士の就業・復職支援等を行っています。

(2)監査法人の取り組み

現在、大手の監査法人はどこも育休・時短勤務の制度を充実させています。また一度離職した女性公認会計士の再雇用にも積極的です。準大手監査法人もライフスタイルに合わせて非常勤での勤務を受け入れる等、柔軟な対応をするところが多いようです。

現在は、離職からの復職が容易でかつ大きなキャリアダウンにつながらないところが監査法人と一般企業の大きな違いといえるでしょう。

2.出産後、女性公認会計士のキャリアについて

公認会計士の業界は永年雇用が前提の業界とは異なり、男性であってもキャリアアップ、キャリアチェンジのための離職・転職が多い業界です。そのためいったん出産等のために離職した後、復職・転職したいという女性であっても男性と変わらないキャリアを望むことが可能です。実際に現場で働いていても男女差を感じる機会はほぼありません。

(1)監査法人での育児と仕事の両立

ただし、出産後育児と監査法人勤務を両立できるのか。という問題になると、いくら監査法人では時短勤務の制度や非常勤勤務の制度が充実しているからといって、締め切りに追われる業務をチームでこなすことが監査法人の仕事である以上、周りの理解を得る努力、限られた時間で結果を残す努力が必要です。

出張を免除してもらう。遠い現場から外してもらう。これらを希望するということは、チームの他の仲間がその仕事を負担するということであり、子育てと両立するには、職場の周りへの感謝の気持ちを常に持つことが大切です。

しかもプロフェッショナルである以上クライアントにとっては育児中かどうかなど全く関係のない話であり、高いパフォーマンスが求められることは言うまでもありません。

(2)一般企業, コンサルティングファームでの育児と仕事の両立

一般事業会社、コンサルティングファームで企業内会計士として雇用される場合、一般の会社員の方々と同じ立場になりますが、仕事との両立の大変さは監査法人とあまり違いはないでしょう。ですが、企業内会計士を採用するような企業は福利厚生が監査法人以上に充実していることも多いので、福利厚生を活用して両立を図れるというのは他にはないメリットです。

(3)税理士法人での育児と仕事の両立

税理士法人の場合、顧問先が監査法人の顧問先とは異なり比較的小規模なケースが多いので、担当クライアント数を絞るなどすれば、時短勤務をしながら両立させることは比較的容易です。

ただし、税務実務未経験の子育て中の公認会計士のポジションは簿財の知識があるだけのスタッフの方と同じであるという気持ちで仕事に取り組む必要があります。

(4)独立開業して育児と両立する

独立開業すれば、完全に時間をコントロールできますから、両立は容易です。

しかしながら監査法人のみの経験で独立開業するというのは非常に厳しい選択です。独立開業後は公認会計士としての知識を活かしつつ税務業務をすることになりますが、監査の知識を活かす機会はほぼありません。税理士の方々との違いはIPOの知識、原価計算の知識、内部統制の知識があることなどです。しかしそれらの知識は税務業務に直接役立つものではありません。その上、顧客は自らの営業努力で獲得する必要があります。

独立開業して子どもとの時間を確保しながら仕事もすることを考えるならば、独立開業までのキャリアパスを計画的に組み立てて十分な知見・人脈・経験を得ておくことが大切です。

3.女性公認会計士のキャリアアップについてのヒント

どの道を進むにせよ、当然のことながら子育てをしながら仕事をこなすということは大変です。

子育ては乳幼児期だけでは終わりません。保育園に入れるべきか幼稚園に入れるべきかで悩み、小学校に入ると子どもが給食を食べたら帰ってきてしまう「小1の壁」にぶち当たります。その後も中学受験をさせるべきかどうかで悩み、反抗期の子どもとどう接するべきかで悩み・・・と、子どもの成長に応じて悩みは形を変えながら次々と襲ってきます。

ワーキングマザーにとっては、これらの悩みの全てが、家庭に割ける時間をどうやって生み出すか、という自分自身の働き方の問題と背中合わせです。

プロフェッショナルとして働く以上、子育て中であることは何一つ仕事を疎かにしてよい理由にはなりません。ですが、公認会計士の場合、様々な職場と、様々な契約形態があるため、やり方ひとつで仕事の質は高く維持したままボリュームを調節することが可能だと思います。

4.最も計画通りにいかないのは妊娠と出産

さらに当然のことですが、最もコントロールできないのは、妊娠と出産です。

私には2人の子どもがいますが、出産までの道のりは平坦ではありませんでした。出張の多い監査法人の業務と妊娠を両立することができず監査法人を退職しましたし、妊娠中長期間入院しなければならなくなり税理士法人も退職しました。でも退職してもその都度自分のキャリアを広げてくれる次の仕事の機会を得ることができました。中には単価の高い仕事もありましたが単価の低い仕事もありました。

途絶えることなく次の仕事の機会に恵まれたのは公認会計士資格と、私に仕事をくださる方々に恵まれたおかげだと思っています。また自分のキャリアが広がったのは、単価の低い仕事でも、勉強させていただくという気持ちで取り組んできたからだと思っています。

5.まとめ

妊娠出産を経ても、次の仕事の機会を得てキャリアを積むことは可能です。また公認会計士の業界には子育てと両立できる仕事の選択肢が、考え方やアンテナの張り方次第で沢山あります。

本稿が読者の女性の皆様が様々なライフイベントを乗り越えて公認会計士として生きていくためのお役に立つことを願っています。

執筆者プロフィール

市川 恭子(いちかわ きょうこ)
公認会計士・税理士 市川税務会計事務所代表

1995年 日本女子大学卒業。公認会計士第二次試験合格。太田昭和監査法人(現新日本有限責任監査法人)入所
1999年 公認会計士第三次試験合格。公認会計士開業登録
2001年 筑波大学大学院経営政策科学研究科経営システム科学専攻修了(MBA)
2003年 資産税特化税理士法人入所。税理士登録
2006年 都市銀行本部にコンサルタントとして常駐
2011年 市川税務会計事務所開業

著書

『事実婚・内縁 同性婚 2人のためのお金と法律』共著(日本法令)2015年
(※amazonの書籍ページに遷移します)

『銀行・証券・保険 リテール営業で今すぐ使える税金の本』共著(中央経済社)2013年
(※amazonの書籍ページに遷移します)

関連サイト

市川税務会計事務所
(※外部サイトに遷移します)

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