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女性会計士が産休をとって復帰するまで(監査法人編)

女性会計士が産休をとって復帰するまで(監査法人編)

女性公認会計士が、監査法人に勤務しながら産休・育休を取りふたたび職場に復帰するには、どのような困難が待ち受けているのでしょうか。この記事では、監査法人、税理士事務所、独立開業と働くステージを変えながら、3人の子育てをする女性会計士の体験談をお送りします。

わたしは監査法人に勤務中に2人の子どもを授かり、監査法人退職後に3人目を出産しました。現在は3人の子育てと両立しながら非常勤監査業務・税務業務をしています。
出産、育休から、復職までを体験したわたしの経験を、これから同じような人生のイベントを迎えるであろう女性会計士のために、少しでも参考になればと思い2回に渡って書いていきたいと思います。

1.監査法人 入社〜出産まで

(1)はじめての出産への不安

監査法人時代は主として監査業務に従事していました。2007年12月に入社し、まだまだJ1(一年生)である2008年9月に妊娠していることが判明。当時は小さい悩みから大きな悩みまでたくさんありました。

もちろんうれしい気持ちはもちろんありましたが、当時(約10年前)は子育てをしながら監査法人で働く女性会計士は極めて少なかったこともあり、どのように仕事と付き合っていけばいいか分からず戸惑いの方が大きかったです。

そもそもいつ上司には伝えたらいいのか、つわりの時はどうしたらいいのか、残業しても体は大丈夫なのかなどたくさんの悩みがあっても、これらを話せる仕事仲間がいなかったという辛さがあったのは事実です。

幸い、当時の現場主任は男性でしたが理解ある方だったので、体調のことや食事のことなど気遣ってくれたのはありがたかったです。時には残業で帰宅が22時を過ぎることもあり、土日は体力回復のため、寝て過ごすことも多かったです。

(2)産休

自分では体調的に問題なく、出産まで大丈夫と思っていましたが、2009年3月妊娠7カ月のころ切迫早産で急遽休みに入りました。

切迫早産になると程度はそれぞれですが、安静が条件のため、診断されたその日から仕事へは行けなくなり、『急遽』長期休暇に入ることになります。そのため、引継も何もせず、デスクも散らかったままでした。チームや総務の方にはかなり迷惑をかけてしまいましたが、この方々のご協力のおかげでなんとか乗り切ることができましたので、感謝しきりです。

その後は、安静の甲斐あって2009年6月に無事出産、子どもが約1歳になる2010年5月まで育児休業を取得しました。

今でこそ大手監査法人では復職プログラムも整備されているところがほとんどのため、仕事に復帰するにあたって心配しなくてはならないことは、わたしのころよりは減ってきていると思います。

現在は育休中もメールが見れたり、e-learningで復職プログラムを受講できたりするようで、こういった環境面も整備されてきているようです。わたしが出産した当時はこのような体制はなく、まったく情報が入ってこない状況でしたので、復帰が近づくにつれ、ちゃんと仕事に戻れるのか不安でした。

2.監査法人復帰後

監査法人に復帰したあとも、仕事にもまだ不安があり、さらに育児・家事、保育園生活すべてが初めてであり毎日必死でした。

やはり一人目のときは、育児も仕事との両立も保育園のルールも何もかもが初めてであり、今思い返すと毎日必死でしたし、とにかくバタバタしていました。タイミング悪く育休中に監査法人の部門編成があり、所属部署も変わり環境が大きく変化したのでストレスも大きかったように思います。ここからは、よくありそうな質問を想定し、わたしの経験を書いていこうと思います。

(1)復帰後の勤務体制は?

復帰後はフルタイムで働きました。仕事の分量としては、定時で十分終わる分量であり、直行直帰が基本だったため事務所作業や帳票整理などは免除していただいていました。また、後述しますが子供要因での休みや早退もあり得るため、仕事の分量に対して通常より多めの時間(バッファー)を取っていただいていました。

そうはいっても、事務所に寄る時間はなく、いつも時間に追われている感じでした。両立は大変ではありましたが、当時のわたしにははっきりした目標があったため乗り切れたように思います。なお、時間外勤務・休日出勤なし、平日9時~17時勤務というスタイルで働いていたので、仕事と育児を両立しての生活パターンは以下のようになります。

  • 7時半 子どもを保育園に連れて行き、現場へ直行
  • 17時 現場切り上げ、事務所に寄ることなく、保育園へお迎え
  • 18時半 帰宅

食事の用意、洗濯、保育園の準備、寝かしつけと休む時間はなかったです。母である以上、仕事が終わったら、今日一日終わりとはなりません。仕事終わってからがまた勝負…みたいな感じでしょうか。よく帰りの電車でうとうとして、自宅最寄駅に着くと自分のなかで「スイッチ」を入れ替えていました。

確かに毎日大変でしたが、慣れてくると、この生活が当たり前になって、居心地よく感じるようにもなってきました。当時はまだ修了考査に合格していなかったので「絶対に同期と一緒に合格したい」という目標があったのがよかったのかもしれません。当時はとにかく同期に置いて行かれたくないという気持ちだったので頑張れたのだと思います。

(2)子ども要因での帰宅の際の、周りの反応は?

保育園からの急な呼び出しや、自分だけ早く現場を切り上げることに対する周りの反応についてです。

生活パターンには慣れても、どうしても慣れないことがあります。それは、小さい子を保育園という集団生活の場に預けている以上避けられない、子どもの急な体調不良です。これは、今でこそ慌てはしませんが慣れることはありません。

また、繁忙期でも17時には現場を切り上げなければならないので、やはりこの時期は周囲の視線は気になります。「帰ってはいけない」と言われることはありませんが、「終わらない場合は子どもを寝かせてからでも休みの日でもいいので終わらせてね」という無言のプレシャーのようなものは感じました。みんな余裕がないですし、これは当然といえば当然なのかもしれません。この時期は体力的にも精神的にもきつい時期です。

そして繁忙期といえば4月なので子どもたちも新学年・新クラスという新しい環境での生活になるので、体調を崩しやすくなります。本当にこの時期は両親の手も借りて、監査メンバーの協力も借りてなんとか乗り切るというところです。

子どもを育てながら仕事をする中で、自分一人だけ早く帰ることも、保育園からお呼び出しがあり途中で帰ることも、当然あります。確かに周囲の視線は気になりますが、普段から仕事に対して集中して真剣に取り組み、監査メンバーと仕事やプライベートの話などをして、意識的にコミュニケーションを多めにとっていれば、子供要因での帰宅のときも周りに伝えやすくなりますし、周りの方も認め、助けてくれます

このようなことを意識して普段から仕事に取り組んでいれば、周りの反応に対してそんなに心配することはなく、早く帰るときも途中で帰るときも嫌な顔はされることはないでしょう。

(3)育児と仕事の両立のコツは?

わたしなりの乗り切るコツとしては、まずは早く要領をつかみ、優先順位を正しくつけるとこと、仕事を家庭に持ち込まないことでしょうか。

仕事にしても保育園にしても家事・育児にしてもそうです。第一子のときはすべてが初めてであり、要領をつかむまでに時間がかかります。要領がつかめると、優先順位も正しく付けられるようになるので、ずいぶん効率的に行動できるようになります。そして、仕事を家庭に持ち込まない。仕事のときは仕事の顔、保育園への送迎時は疲れていても笑顔の母の顔、家に帰れば完全に母の顔とスイッチを入れ替えることですね。

こんな感じで出産後も復帰して監査法人での勤務を続けるわけですが、復帰後3年ほどたった2012年6月第二子妊娠が判明、またしても2013年1月に切迫早産と診断され、急遽長期休暇を取得することになりました。『急遽』だったので、きちんと引継ぎもできておらず、休暇入ってすぐにtodoリストを作成し、監査メンバーに共有したり、電話でやり取りしてなんとか引継ぎをしました。

第二子の妊娠~育休中は、既に修了考査にも合格し、無事「公認会計士」になり、昇格した段階でした。ちょうどこのころIPO支援業務に興味があり、もう少し深く携わりたいなという思いがありましたが、いろんな制約・できない理由を自分のなかで並べてしまい、その分野に注力することはありませんでした。さらには大手企業の不正で監査を取り巻く環境も大きく変わり、目標を見失っている時期でもありました。

悩みながらも第二子が約1歳の2014年4月に復帰しましたが、二人の育児と監査業務との両立は体力的にも精神的にも辛くなり、子どもとの時間をもう少し確保したいこともあり2014年8月に退職を決意、2014年10月に退職することになります。

わたしは退職という選択をしましたが、現在は子育てに関する制度も充実してきており、在宅勤務の導入を視野に入れている監査法人もあると聞きます。当時と違って、現在は小さなお子さんを抱えながら監査法人で勤務している女性会計士もたくさんいらっしゃるので、監査法人勤務と子育ては十分両立できると思います。

(4)監査法人時代にやっておけばよかったと思うこと

わたしは監査法人に約7年勤務しましたが、その間ずっと監査法人の王道である監査業務のみを経験してきました。何か強みを持つという意味では公会計・FAS・IPO業務などに携わり、これらを数年でも経験してから、退職した方が独立後の道が拓けると実感しています。

わたしの場合、監査法人退職時は、「独立したい!」という思いで退職したわけではなく、まさか自分が独立するとは思ってもいませんでした。将来独立を少しでも考えられているのであれば、『強み』を見つけ、人脈もつくり、退職することをおすすめします。子育てと仕事で忙しく、なかなか将来のことを考えて行動することは難しいと思いますが可能であれば、ぜひトライしてみてください。

3.これから監査法人で働きながら出産を考えている女性に伝えたいこと

(1)出産を取り巻く環境は改善している

わたしも一時期IPO分野に興味があり、やりたい気持ちがあったので、その時に少しでもトライしておけばよかったなという思いがあります。ただその時期と2人目妊娠の時期が重なったので、現実的には厳しかったかな…その後は2人の育児の大変さに毎日を過ごすだけで精一杯で自分が何をやりたいのか考える余裕もなく、退職に至りました。

第一子を妊娠・出産した10年前はママ会計士自体がとても少なく、ようやく育児関係の社内制度が整備された段階であり、制度利用者はほとんどいませんでした。当時まだまだ若手であったので、あまり自分の希望を言う勇気はなく、肩身が狭い思いもしました。でも第二子妊娠・出産のころには制度利用者も増え、取り巻く環境が大きく好転。周囲の人の視線も変わってきたのを感じました

(2)現在の監査法人の取り組み

ここで、現在の監査法人の取り組みについて、有限責任あずさ監査法人の例をご紹介します。

「育児、介護休業制度」「病児保育サポート制度」「介護休業者等貸付制度」のほか数々の制度を整えています。このような制度はあっても使えないものでは意味がありませんが、あずさ監査法人では実際に活用する人が多いと聞きます。

代表的な「育児、介護休業制度」を見てみると、育児については「子が3歳に達するまで休業可能。(法定は1歳半まで)」となっており、働く女性の立場に立った制度であるように思います。

KPMGジャパン『出産・育児・介護と両立支援』

これはほんの一例で、他の監査法人でも様々な取り組みをしているようです。

わたしが妊娠・出産した時期はちょうど過渡期だったのでしょう。第一子と第二子妊娠のわずか3年ほどで大きく環境は変わり、同じように育児と仕事を両立する同世代の女性会計士が増えました

今はもっと若手のママ会計士も増えてきていると思いますし、産休・育休が取得しにくい、復職後の時間短縮勤務で働きにくいといったことはないと思います。

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執筆者プロフィール
西濱 絢(にしはま あや)
  • 公認会計士

2007年公認会計士試験合格、2007年12月有限責任監査法人トーマツ(名古屋事務所)入所。約7年間勤務し、2014年10月退職。2014年11月~2016年9月の約2年間は税理士事務所にて勤務。その後は中小監査法人にて非常勤で監査業務に携わる一方、2016年9月『女性起業家をお金と経営の両面からサポート』を目指し独立・開業、女性支援事業の一つとして、NPO法人ウィメンズナレッジ理事も務める。

関連サイト
西濱絢公認会計士・税理士事務所

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