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公認会計士が取るべきダブルライセンスは、弁護士?不動産鑑定士?会計士が付加価値を生むには

日本の三大国家資格である「公認会計士」「弁護士」「不動産鑑定士」。公認会計士が付加価値を高めるために次にとるべき資格は何なのでしょうか。弁護士、行政書士などの法律関連の資格、同じ会計分野のUSCPA、さらに専門領域を広げる不動産鑑定士や中小企業診断士など、選択肢は無数にあるように思えます。

どんな資格を取ると、公認会計士としての仕事をどのように広げることになるのかについて、日米の公認会計士、日米の税理士、行政書士の資格を持つ筆者が実務の経験を元に解説します。

1.公認会計士が弁護士などの会計分野以外の資格の複数資格を持つメリット

日本の三大国家資格である「公認会計士」「弁護士」「不動産鑑定士」。これらの資格を複数持つことによる仕事の広がり方や開業のしやすさなどメリットについて解説します。

(1)弁護士とのダブルライセンス

弁護士資格は、いうまでもなく法律系資格の最高峰です。弁護士資格の取得により、弁理士、税理士、行政書士、社会保険労務士、海事補佐人の資格登録をすることができます。弁理士及び税理士の業務は登録することなく、弁護士登録のみで職務を行うことができます。また弁護士本来の職務に付随する場合に限り、司法書士、行政書士、社会保険労務士、海事代理士、海事補佐人の職務を行なうことができます。
上記から、弁護士資格及び公認会計士資格を取得することで、法律、会計及び税務に係わるほぼすべての業務を行うことが可能となります。

弁護士資格及び公認会計士資格を取得している弁護士は、公認会計士として監査法人や税理士法人等に所属していた経験や、公認会計士としての専門知識から、会社法、金融商品取引法及び税務訴訟を得意として開業しているケースが多いといえます。特に税務訴訟に強い弁護士は希少性があるため、弁護士として差別化できます。また、IPOやM&Aに係わる法務では、会計や税務の知識を持ち合わせていたほうがクライアントに、より効果的なアドバイスができます。

(2)行政書士登録するメリット

公認会計士は無試験で税理士及び行政書士の登録が可能です。行政書士登録することで、官公署に提出する書類、その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することが可能となります。

行政書士が作成可能な書類の種類は1万種類を超えるといわれています。許認可に関する書類を中心に作成しますが、開業している公認会計士が行政書士登録後行っている業務は主に会社設立、相続手続等が多いといえます。その理由は、公認会計士が税理士登録し税務業務を行う場合、会社設立を安価に行うことで新設法人の税務顧問を獲得しやすくなるからです。また遺産分割協議書の作成等相続手続を行うことで、相続税申告業務と合わせて業務提供できるため顧客獲得可能性が高まるという理由があります。

(3)不動産鑑定士とのダブルライセンス

不動産鑑定士は、弁護士、公認会計士と並ぶ3大難関資格のうちの一つで、不動産の鑑定評価業務を中心に行います。不動産鑑定士試験は、公認会計士資格保有者が取得を目指す場合、会計学及び合格した試験において受験した科目(公認会計士試験で選択科目である民法、経済学)が免除されるため、他の一般受験生よりも優位性があります。

ただし、不動産鑑定士資格を取得した場合、不動産評価が絡むM&Aのデューディリジェンスやバリュエーション業務、相続税の不動産評価、固定資産減損会計や投資不動産の時価評価等では、他の公認会計士より優位性があるといえます。不動産評価が絡まない業務では、ダブルライセンスの優位性はほとんどありません。また、単発案件が多いため、ダブルライセンス保有のメリットは弁護士資格とのダブルライセンスに比較すると少ないといえるかもしれません。

2.公認会計士が会計・税務分野でダブルライセンスを持つということ

会計分野では最難関である公認会計士の資格ですが、公認会計士と税理士の両資格で登録している士業も少なくありません。また、同じ会計士の資格ではありますが、USCPAを取得することで英語力のある会計士として職域を広げることも可能です。それぞれのメリットについて解説します。

(1)公認会計士が税理士登録するメリット

開業している公認会計士の多くは無試験登録可能な税理士登録して税理士業務を行っています。公認会計士が税理士登録をする理由は様々ですが、主要な理由は、以下の通りです。

まず前提として、公認会計士業務は上場企業等の大企業に対する業務が中心なので、色々な人脈の中で紹介を受けて顧客を獲得することが多いです。比較的若く独立開業している公認会計士は、大企業の顧客獲得は困難であり、紹介だけでなくWEB等で顧客獲得しやすい中小企業の税務顧問業務が中心になるため、税理士の登録をすることが理由の一つして挙げられます。

また、公認会計士業務は、会計監査業務以外は単発案件が多く、それだけでは収入が安定しにくいという傾向にあります。一方、中小企業の税務顧問業務は収入が安定しやすいことから、やはり税理士業務もあわせて行っている公認会計士が多いといえます。

公認会計士の税理士登録に必要なのは、書類の提出と面接です。まずは日本公認会計士協会が発行した公認会計士名簿に登録されている旨の「登録証明書」(原本)を提出。税理士登録に必要な実務経験2年は公認会計士登録していれば自動的に満たしているものとされ、勤務時間の積上げ計算書等の提出は不要です。書類を提出したら、所属が予定されている税理士会の面接を受け、あとは税理士登録通知を待つだけです。

公認会計士は税理士登録をすることで、税務代理、税務書類の作成、税務相談が行えます。公認会計士が行う会計業務は税務業務と密接に関連することから、会計業務や会計コンサルティング業務に加え税務業務を同時提供に提供することでより付加価値の高いサービスが提供できます。

(2)公認会計士がUSCPAを取得するメリット

公認会計士でUSCPAを取得する人も多いです。公認会計士がUSCPAを取得することにより一定の英語能力があること、米国会計基準、IFRS、米国税務等の一定の基礎知識があることの証明になります。

近年、主要上場企業のIFRS導入や日本の会計基準の改正はIFRSの影響を受けた改正が多く、会計基準の国際化が進んでいることから、USCPA取得の意義は高まっています。

また、公認会計士で英語のできる人の割合は、就職人気ランキング上位の企業に在籍する人に比べ相対的に低いと思われ、英語が多少できるだけで国際的な案件(IFRS、USGAAP、US-SOX、米国税務、国際税務、外資系企業や外国人が代表の会社の会計監査や税務顧問案件等)に携わりやすくなり、他の公認会計士との差別化が図りやすいです。また、国際的な案件は国内案件と比較して高い報酬が得られるケースが多いといえます。

3.公認会計士の仕事に役立つその他の資格とは

弁護士や税理士、USCPA以外に公認会計士が取得することで仕事に役立つ資格を紹介します。

(1)中小企業診断士

中小企業診断士は、「中小企業支援法」に基づく国家資格であり、「中小企業支援法」には、業務独占資格とする規定はありません。

中小企業診断士は、経済産業省令で中小企業支援事業における経営診断又は助言を担うものとして規定されています。国や地方自治体、商工会議所の実施する中小企業への経営支援を担う公的なコンサルタント業務又は民間のコンサルタント業務いずれかを専門とする中小企業診断士に二極化しています。

公認会計士資格を取得している場合は、中小企業診断士試験の第1次試験では、財務・会計及び合格した試験において受験した場合は経済学・経済政策が免除されます。

上記より、中小企業診断士は特に独占業務を持たないことから、ダブルライセンスのメリットはほとんどないですが、中小企業診断士は経営コンサルタント資格であるため、数値だけのアドバイスだけでなく、より経営的視点を持ったアドバイスができるようになります。

(2)社会保険労務士

社会保険労務士は、主に労働社会保険手続、労務管理の相談指導業務、年金相談業務等を行います。

社会保険労務士の業務内容から、労働社会保険手続や給与計算等は税金と密接に関連しています。また、顧客企業が、税金に次いで気にするのが社会保険料及び社会保険手続です。

そのため、公認会計士が税理士業務を行う場合、顧客から税務顧問業務だけでなく、給与計算及び労働社会保険手続業務等を依頼されるケースも多くあります。その場合、税理士及び社会保険労務士として顧問業務を行うことができるため、顧客の獲得可能性が高まり、相対的に高い報酬を得られる可能性も高まります。

4.まとめ

上記から公認会計士が持つダブルライセンス資格としては、弁護士、USCPAを特におすすめします。また、公認会計士が無試験で登録できる資格では、税理士は資格登録するのが望ましく、行政書士も使い方によっては資格登録するメリットはあります。
社会保険労務士は、税理士登録する場合にはダブルライセンス資格としておすすめになります。

中小企業診断士は、資格としての独占業務を持たないため、保有していること自体は意味がなく、経営コンサルタントとしての実務経験を通じて経営的視点でアドバイスできるようになることが重要となります。

著者プロフィール
福留 聡(ふくどめ さとし)
  • 公認会計士・税理士・ワシントン州米国公認会計士・米国税理士・行政書士
  • 福留 聡事務所

福留 聡事務所は、新宿区の日米税理士事務所兼日米公認会計士事務所で、日本で最初の日米公認会計士兼日米税理士事務所であり、豊富な実務経験と出版経験を要する日米公認会計士・日米税理士が国内案件から海外案件、個人事業主から上場企業、外資系企業までお客様の多様なニーズにお応え致します。また、Skypeを用いて全国対応、海外対応している数少ない国際会計税務事務所です。

著書
『公認会計士・税理士・米国公認会計士・米国税理士 資格取得・就職・転職・開業ガイドブック』(税務経理協会)2014

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関連サイト
「福留聡税理士事務所/福留聡国際会計アドバイザリー株式会社」

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公認会計士の資格と仕事と転職のすべてがわかるノウハウ集

目次

  1. 公認会計士とは?
    1. 公認会計士の基礎知識
      1. 公認会計士とはどんな資格?仕事内容は?
      2. 公認会計士の仕事はつまらない?やりがいはあるの?
      3. 公認会計士に向いている性格、向いていない性格
  2. 公認会計士資格取得に向けて
    1. 公認会計士試験 勉強法
      1. 入口は広いが、出口は狭い?公認会計士試験とは
      2. 公認会計士試験合格のための予備校(専門学校)の選び方
      3. 公認会計士試験に受かりやすい大学とは?
      4. 遅すぎる?社会人で公認会計士を目指しても大丈夫?
    2. 公認会計士試験合格後
      1. 公認会計士試験論文式合格後、会計士登録までに必要な3つのこと
      2. CPEってなに?継続的専門研修制度について
      3. 公認会計士が取るべきダブルライセンスは、弁護士?不動産鑑定士?
  3. 公認会計士の働き方と仕事内容とは?
    1. 監査法人
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      5. 監査業務は激務?4大監査法人と中小監査法人(個人会計事務所)、公認会計士のワークスタイル分析
      6. 監査法人の離職率は、高い?監査法人や辞めたあとに広がる進路について
    2. 企業
      1. 監査法人を選ばない道 組織内会計士の働き方って?
      2. 一般企業で公認会計士にまかされる仕事って何?
    3. 独立開業
      1. 監査法人からの独立!開業して変わることと変わらないこと
  4. 公認会計士のスキルアップ
    1. 公認会計士に英語が必要か?
      1. 実はグローバル?監査法人での英語の活用法
  5. 公認会計士の転職動向
  6. 公認会計士の活躍するフィールドと職種別転職動向
    1. 職種別の転職動向
      1. 経理・財務の転職動向
      2. 会計監査の転職動向
      3. M&A・企業再生の転職動向
      4. 税務・会計コンサルタントの転職動向
      5. 財務・会計コンサルタントの転職動向
    2. 働く場所別の転職動向
      1. 監査法人の転職動向
      2. 税理士法人・会計事務所の転職動向
      3. 会計コンサルティングファームの転職動向
      4. 事業会社の転職動向
  7. 公認会計士 監査法人からのキャリアチャート
  8. 公認会計士の転職における心構え
    1. 求人の選び方
    2. 公認会計士の履歴書・職務経歴書の書き方のポイント
    3. 公認会計士のための面接対策
  9. まとめ

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