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一般企業で公認会計士に任される仕事って何?

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監査法人にいる公認会計士の中で、「転職」を検討している人も多いかと思います。
そんな公認会計士の転職先として、多いのが「一般事業会社」です。
一般事業会社と一口に言っても、売上規模や上場区分、業務内容、人数などいろいろな種類があります。
そもそも、一般事業会社で公認会計士はどのような役割を求められるのでしょうか?
公認会計士は具体的にどのような仕事を任されるのでしょうか?
今回は、大手監査法人の出身で、現在はベンチャー企業の経営企画室室長として働く公認会計士が、一般事業会社での公認会計士の仕事についてご紹介します。

目次

1.監査法人にいる会計士の転職先について

2.事業会社で公認会計士が働くメリットとデメリット

3.事業会社に転職する際に気を付けるポイント

4.まとめ

1.監査法人にいる会計士の転職先について

(1)公認会計士の転職先で一番多いのは事業会社。その理由とは?

会計士が監査法人から転職する場合、コンサルティングファーム、投資銀行、税理士事務所など多岐にわたりますが、なんといっても一番多いのは一般事業会社です。一般事業会社の中でもいくつかに分類され、テクニカルに複雑な会計論点を扱いたい場合は大手上場企業、1人で会社全体の数値を俯瞰したい場合はIPO準備企業、IFRSや英語を使った仕事をしたい場合は外資系企業といった具合です。

ポジションについては、監査法人時代はシニアであっても、コンサルティングファームでは最初から高いパフォーマンスを発揮しにくいため、アソシエイトからスタートするケースが多いようです。

反面、一般事業会社の経理や内部監査部門に転職する場合は、監査業務の経験が直接活かせるため、同等のポジションで移れる可能性が高いです。ただし、監査法人は一般事業会社と比較すると若くしてマネージャー職に就くため、年功序列色の強い会社ではランクが下がることもあります。逆にインチャージ(主査)経験者は、マネジメント経験ありとみなされ、事業会社では管理職の求人にも十分チャレンジ可能です。

(2)事業会社での具体的な業務

最も考えられるのは、高度な会計知識を生かした決算業務、開示業務でしょうか。また、内部統制監査の経験を背景に、内部監査業務の求人も多くあります。さらに直接的には監査業務に直結しませんが、経営企画業務(中期経営計画・予算の策定、予実管理、M&Aに関する業務やIFRSの導入など)も考えられます。

(3)事業会社で公認会計士が求められる役割について

①ハイレベルな会計知識

やはり幅広い会計知識を持っているというのは大きな強みです。根底に流れる理論から深く理解しているため、会計基準にない、新しい会計事象のあるべき処理を考える場面においては最も力を発揮できます。

また、上場会社の場合は監査法人対応を担当するケースがあり、専門的な議論をする場で特に重用されます。

②①を背景とした即戦力

幅広く体系的な知識を身に着けており、また、難関試験を突破しているため、その会社特有の知識をインプットすれば、その会社で期待される業務に素早く追いつくことができると期待されています。

③将来的な管理職候補 / すぐの管理職候補

監査法人では早ければ2年目でインチャージ業務を担当し、監査意見の形成に一定程度の責任を持ち、ロワー・マネジメントとしてのトレーニングを受け始めます。そのため、将来もしくはすぐに管理職候補としての活躍が期待されます。

2.事業会社で公認会計士が働くメリットとデメリット

(1)メリット

①ワーク・ライフ・バランス

おそらく、これを主目的として一般事業会社を目指す方が多いのではないでしょうか。クライアントワークである監査法人は、どうしても急な案件で残業や休日出勤が発生しがちですが、一般事業会社の業務は安定的です。特に大手企業は長期的就業を前提としており、また、様々な働き方を認めるだけの体力があるため、自分の私生活や体力にあったスタイルを選べます。外資系企業やベンチャー企業は、監査法人同様に人の入れ替わりサイクルが早い傾向にありますが、出退社の時間を柔軟に設定していたり、私服での勤務が認められるなど、やはり働きやすさは監査法人よりも改善されるといえます。

ただし、近年は監査法人も働き方改革を推進しており、こちらのメリットは小さくなってくるかもしれません。

② 福利厚生の充実

これも上記のワーク・ライフ・バランスに関連しているのですが、社員に長い期間安心して働いてもらうために、各種手当や保養施設などの福利厚生を充実させている会社が多くあります。健康に配慮された食事が安価で提供される社員食堂や、税務上のメリットを享受できる借り上げ社宅、認可外保育園の差額保育料の補助など、金銭その他の面でありがたい制度がありますので、会社選びの際の1つの基準となります。

③ 企業の会計に内側から関われる

監査法人やコンサルティングファームはあくまで外部の人間としてクライアントに関与します(もちろん、外部であることに価値があるのですが)。一方、一般事業会社の経理は、自分のこととしてより興味をもって数値をみることができます。またベンチャー企業のように小規模な会社は、営業や開発、マーケティング部門といった様々な人の話が聞きやすいため、会社に対する深い理解をもって仕事ができるのが魅力です。

(2)デメリット

①年収ダウン

監査法人は年齢に対して年収が高額な傾向にあるため、外資系コンサルティングファームなどに転職する場合を除いて、年収が下がる可能性はあります。ただし、上述のとおり、その分ワーク・ライフ・バランスは確保しやすくなりますし、福利厚生のメリットもあります。

②転勤の可能性

全国各地の子会社に転勤するケースや、先進国だけでなくアジア・アフリカの発展途上国に行くことも考えられます。また、メーカーの場合はジョブ・ローテーションの一環で工場経理として、地方や海外に赴任するのは比較的一般的なことかと思います。この点、監査法人では転勤は原則なく、海外赴任は希望しなければいいので、同じ場所でずっと働くという意味では良い環境といえます。

③部署異動の可能性

ジョブ・ローテーションと、そのときの社内の需給により、たとえば経理部門から営業部門といった異動の可能性はあります。ただし、有資格者をまったく関係のない部門に異動させるのは職務上のミス・マッチが容易に想像されますので、希望に沿わない異動のリスクは高くないでしょう。

④ 手を動かして経理業務をしければならない

特に経理部門の場合は、伝票一枚一枚の承認作業など、管理職でも自ら作業する場面は多く、定型的かつ地味な仕事は増えます。それでいて管理部門は減点方式の評価のため、監査上は許容していたような些細なミスも無くすように神経を尖らせる必要があります。

3.事業会社に転職する際に気を付けるポイント

(1)本当に事業会社でいいのか?

当たり前のことですが、事業会社への転職はいいことばかりではないです。上に挙げたメリット・デメリットは誰にでも当てはまるわけではありません。ワーク・ライフ・バランスを気にせずバリバリ働きたいという人や、自分で手を動かして作業するのが大好きという人はいるはずです。ご自身の嗜好や人生計画に照らし合わせて、事業会社以外への転職や監査法人に残るという選択肢も検討するべきでしょう。

(2)組織内に公認会計士はいるか?採用実績はあるか?

面接の際に確認しましょう。社内に会計士がいない企業は、会計士は数値が絡む仕事なら何でも詳しいと考えがちで、専門外の領域においても活躍を期待されることがあります(いわゆる期待ギャップ)。そのため、会計士の採用実績がない会社に転職する場合は少し慎重になる必要がありますが、逆に考えると同じスキルをもつライバルがいないということになり、活躍のチャンスは広いともいえます。

(3)求められる役割は何か?

一口に事業会社の管理部門といってもその役割は会社によって様々です。決算を少しでも早く正確に締めることを重視する守りの経理もあれば、会計や税務の視点から意見を発信し、事業のスキームにある程度影響を与える「攻めの経理」もありえます。

4.まとめ

難関試験を突破した公認会計士のキャリアには、幅広い選択肢があります。わたしは監査法人を退職後、組織内会計士としてベンチャー企業で働いており、やはり自分で興味のある事業を選んでいますので、やりがいをもって毎日働いています。繁忙期は忙しくもなりますが、私服勤務で出張もほとんどないため体力的な負担はかなり軽減されました。もちろん、すべて解決するというわけにはいきませんが、現在の仕事に違和感を覚えてしまった方は、組織内会計士という働き方を検討してみてはいかがでしょうか。

執筆者プロフィール

都外川 雅門(ととかわ まさと)
公認会計士 エネチェンジ株式会社経営企画室 室長

1988年東京都生まれ。2009年公認会計士試験合格。2011年早稲田大学商学部卒業。
大学卒業後、富士通株式会社でIFRS導入プロジェクトに従事。その後、有限責任あずさ監査法人で上場クライアントを中心に、日本・米国会計基準での監査、IFRSの導入支援に関与。現在はエネチェンジ株式会社で、内部管理体制の構築から、英国子会社の経理業務、取締役会事務局の仕事まで、ベンチャー企業らしく幅広く担当している。

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