監査法人で働いているうちは仕事の受注やその報酬単価について考える必要はありませんが、独立して以降は、仕事の受注、報酬単価の決定から事務所としての差別化、ブランディングまで、すべて自分で考えていかなくてはなりません。
このコンテンツでは、大手監査法人を経て現在は独立開業している会計士が、失敗しないための考え方と準備の方法を解説します。
公認会計士が独立して事務所経営に失敗しないための開業準備ノウハウ
(仕事の受注方法と報酬単価の決定について)
監査法人で働いているうちは仕事の受注やその報酬単価について考える必要はありませんが、独立して以降は、仕事の受注、報酬単価の決定から事務所としての差別化、ブランディングまで、すべて自分で考えていかなくてはなりません。
このコンテンツでは、大手監査法人を経て現在は独立開業している会計士が、失敗しないための考え方と準備の方法を解説します。
公認会計士が監査法人から独立する場合、上場企業中心の会計監査業務を獲得するのは難しいため、「税務業務+会計コンサルティング業務」を中心に業務を行う場合が多いです。
そのため、独立の前段階で会計コンサルティング業務や税務業務を習得する必要が生じます。会計コンサルティング会社、ファイナンシャルアドバイザー会社、税理士法人、個人会計事務所等に転職し一定期間勤務してから独立すると、独立後に実務で困ることは少ないと思います。
独立すると自分で仕事を獲得していくことが一番重要になります。それには独立前から様々なネットワークの構築が肝要です。下記が必要であることを頭に入れて、自ら積極的に行動することが重要です。
この章では、実際に独立後の会計士がどうやって仕事の案件を受注していくかをご紹介していきます。ここで上記1①~④にあげたネットワークが生きてくることとなります。
独立当初は、独力で税務案件や会計コンサルティング案件の受注をし、生計を立てるのは難しいため、監査法人のアルバイト(監査業務)をしながら自分で獲得した税務案件や会計コンサルティング案件を増やし、年収を安定させていくことが重要になります。
監査法人のアルバイトは、下記の方法で受注が可能になります。
税務案件の受注方法は、下記の通り多様にあります。
会計コンサルティング、会計監査業務、社外役員、CFO等の公認会計士業務の受注方法についても、下記の通り多様にあります。
ジャスネットコミュニケーションズ株式会社でも、独立した公認会計士に会計コンサルティング案件の紹介を行っていますので、こちらに登録して案件を獲得するのもいいでしょう。
単価の決め方については、公認会計士等の士業サービスのほとんどが人件費であることを踏まえることが必要です。
つまり、いかに1時間当たりの報酬を増加させることができるかが年収を増加させるために必要です。
例えば、1時間当たり2万円で案件が獲得できれば、1日14万円~16万円程度、月21、22日働けば月300万円以上稼げ、年収で3,600万円以上稼げます。1時間当たり1万円であればその半分として1,800万円以上稼げます。
独立する公認会計士の多くは、独立するからには、監査法人のパートナーになり立てとなる年収1,500万円程度以上は最低稼ぎたいでしょうから、1時間1万円以上の単価で案件を獲得する必要があります。または固定報酬で案件を獲得する場合は、作業効率化して1時間1万円以上の案件となるように作業工程を見直し改善することが重要となります。
一般的には、税務報酬は年間売上等により固定化した報酬とし、会計コンサルティング等の公認会計士業務は時間当たり単価を念頭に想定された時間を乗じて報酬を算定し、同業界の相場と比較した上で、クライアントに提示することが多いでしょう。
固定化となる税務報酬の決め方についての注意点があります。固定化するにしても、時間当たり単価がどれくらいになるかを想定したプランを作成することが前提となります。クラウド会計等を利用して入力作業を効率化する等、作業効率化を意識して時間当たり単価を最低1時間1万円以上獲得することを念頭に、報酬プランを設計しましょう。
監査法人時代と同等かそれ以上に稼ぐためには、監査法人のパートナーなり立ての1,500万円程度以上の年収を想定して、それに向けて単価、クライアント数、作業量、働く時間を設定することが必要になります。
ここでは、いくつかのモデルケースを元に検討をしてみましょう。
1人ですべての作業を行う1人所長型の場合、1クライアント平均が30万円程度の報酬ならクライアント数50件以上が必要。
1時間当たり1万円で1日7万円から8万円獲得できるなら年間200日程度の労働が必要。逆にいえば、年間365日のうち約55%稼働すればよい。
case1、case2ともに、年収1,500万円程度を稼ぐのに働く時間については、監査法人勤務時よりも仕事量の負荷が少なく達成が可能であることが想像つくかと思います。
このことから会計士の独立開業は、自身で仕事を獲得する能力があるなら、監査法人等勤務時代より仕事量の負荷が少なく、同水準以上の年収が比較的容易に獲得できる可能性があることがわかります。
現在、公認会計士の会員数は約3万人、税理士の会員数は約7万人います。
そのため、公認会計士資格を保有している、税理士資格を保有しているだけで独立して仕事の依頼が来るわけではありません。
大量のライバルの公認会計士、税理士に比べて自分の事務所のなにかが特色として抜き出ていなければ、多数のクライアントを獲得することができません。
すなわち、各公認会計士、税理士は、他との差別化、ブランディングが必要となってくるということです。
差別化については下記のいずれかを行う必要があります。
事務所のブランディングについては下記のいずれかを行う必要があります。
わたしの場合は、USCPAや米国税理士を取得により、外国人、外資系企業の会計税務サービス、海外IPO支援等国際業務が強いことを差別化のひとつにしました。webページや名刺、ブログ、出版等でアピールし、その分野に興味あるファンを増加させたことで、外国人や外資系企業、海外上場を目指す企業の顧問等の案件を獲得しています。
また、freeeやMFクラウド会計等のクラウド会計が得意なことをwebページでアピールすることで、最低限の税務サービスを安価で手間なく依頼したい顧客からも案件を獲得しています。
以上から、独立して顧客数を増やし、それとともに年収を増加させるためには、営業努力、事務所のブランディング、独立前の事前準備と情報収集が大切なことがわかります。
上記のことを頭に入れずに何となく独立して監査法人のアルバイト中心で生計を立てている方や、独立して自身の顧客獲得がうまくいかず監査法人や企業等組織に戻る方など、独立開業に失敗する公認会計士も少なからずいます。
この記事に書いたことを念頭に置いて自ら行動すれば、監査法人時代より仕事量が減ったにも係わらず、年収アップを実現できる可能性は高いでしょう。これから独立を考えている監査法人で働く会計士の方に参考になれば幸いです。
福留 聡事務所は、新宿区の日米税理士事務所兼日米公認会計士事務所で、日本で最初の日米公認会計士兼日米税理士事務所であり、豊富な実務経験と出版経験を要する日米公認会計士・日米税理士が国内案件から海外案件、個人事業主から上場企業、外資系企業までお客様の多様なニーズにお応え致します。また、Skypeを用いて全国対応、海外対応している数少ない国際会計税務事務所です。
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