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公認会計士試験受験をやめた後の具体的な進路について

ひとつ前の記事(「公認会計士試験から撤退するタイミングの判断について」)では、撤退するタイミングについて触れましたが、ここではその後の進路について、ご紹介したいと思います。

「会計士になる」という目標を達成できなかったことで、気を落としてしまったり、自信を無くしてしまったりしている方もいることでしょう。

長く勉強してきた会計士試験の知識を無駄にしないためにも、具体的にどのような道があるのかを解説します。この記事が、それぞれの方にとって最善の道をみつけられるきっかけになればと思います。

1.監査法人に「監査補助者」として入所する

ここでは、公認会計士試験勉強を諦めた場合の進路について触れていきますが、試験合格者のみが監査法人へ就職しているわけでもありません。まずは、完全に試験勉強を辞めてしまう前に、試験合格者以外が監査法人に就職する方法について解説します。

現在、大手監査法人を中心に「監査補助者」の採用が行われています。ほとんどが短答式試験合格者限定で契約社員(正職員採用もある)として入所し、監査法人で仕事をしながら試験合格を目指します。

最大の利点は、監査法人での実務経験を積みながら勉強ができ、職場環境としても会計士が周りにいるため勉強の励みにもなります。法人によっては、学費を一部負担してもらえる制度を導入したり、試験前は休暇を取得できたり、合格へ向けて法人としてサポートをしてくれるため、制度を利用して早期に試験合格を目指したいところです。ただし、今まで試験勉強に専念していた場合は、業務の時間も入ってくるため時間管理は大切になります。また、これは「試験合格を目指す制度」であるため、必ず合格を手にする以外の選択肢は無いとの意気込みで、入所しなければなりません。

2.監査法人以外に、就職・転職をする

次に、監査法人以外で学習してきた公認会計士試験の勉強の知識を活かしたいと考えた場合に、具体的にどのような進路があるのかをご紹介します。

(1)一般企業

大学や大学院から公認会計士試験勉強をしてきた方で、卒業後数年で断念した場合は、一般企業の第二新卒としての就職活動が可能です。試験勉強で得てきた知識は経理職以外でも活かせますので、けっしてその経験が無駄になることはありません。経理職など、やりたいことにこだわりがある場合は、中途採用として活動していくことが想定されます。現状、売り手市場となっているため、若手ポテンシャル採用を活発にしている企業も多く存在します。

① 『応募書類の書き方』と『面接対策』

ここでポイントとして挙げられるのが、『応募書類の書き方』と『面接対策』です。人事担当者が書類選考したり面接したりする場合、会計士試験の試験制度や学習内容、難易度を理解していない場合もあるため、しっかりと説明する必要があります。

特に、卒業後も勉強に専念していた場合は、社会人経験がないため、何もしていないブランク期間と見られないよう書類の書き方について工夫する必要がありますし、面接でも得意とする分野をアピールしていく必要があります。

会計士試験の学習する分野は多岐に渡っています。財務会計だけではなく、監査論や企業法も学習していたり、租税法まで学習していたりする場合は、むしろ強みとして捉えて欲しいと思います。つまり日商簿記2級程度の知識ではなく、より広く深い知識があるということをアピールしてみてはどうでしょうか。面接官が経理担当者の場合は、試験について知っている場合が多く、担当者が会計士や元受験生だったということもありますので共感が得られることが多いです。

② 入社後の心がまえ

なお、就職はするけど、引き続き勉強と両立していくという前提で採用する企業は少ないです。企業としては採用する以上、長期にわたって勤務して欲しいというのが本音です。勉強をするのは歓迎ですが、試験に合格するための勉強ではなく、得られた知識は企業の中で活かすという方向に切り替えることが必要です。

(2)会計事務所、税理士法人

公認会計士試験を辞めた方のなかには、税務の道に進む人もいます。会計士試験発表後の税理士法人の定期採用で、試験合格者や受験生を募集する事例があります。税務業務が中心となるため、ご自身の目指す方向とマッチしているか検討する必要もありますが、未経験者でも採用に意欲的な法人も比較的多く、経験を積んでいけば活躍の場も広がります。

一般的に法人の規模とクライアントの規模は比例しているので、どんなクライアントにサービスを提供していきたいか考える必要がありそうです。例えば、中小企業の経営者と二人三脚で仕事をしていきたいと考えた場合は、中小の会計事務所、税理士法人にて経験を積んでいく選択肢となります。

また、会計事務所や税理士法人を選ぶ場合に、規模だけで選ばないこともポイントです。法人の中には、たとえば資産税に特化しているなど専門的に業務を行っている法人があります。また仕事の内容も、記帳代行業務から担当する場合や、いわゆる巡回業務を中心に担当することもありますので、単純にWEBページで読み取れる情報だけで判断することなく、転職エージェントを利用し、各法人の担当者から情報収集するのが望ましいといえます。

(3)コンサルティング会社

コンサルティング会社といっても様々存在しており、大まかに下記が代表的なものとなります。


財務・会計コンサル・・・
M&Aアドバイザリーやバリューエション、財務を中心としたデューデリジェンス業務、事業再生コンサルティングなどが主な業務。近年では、M&A関連の業務に関してはクロスボーダー案件が多く、英語力が必要となる傾向。また国内では事業承継に絡んでM&Aも行われている。


税務・会計コンサル・・・
申告書作成から組織再編や事業承継など税務に関わること全般でサービスを展開。最近では特化型の事務所も増加しており、事業承継や相続に関しては増加している。


国際税務コンサル・・・
昨今、国内企業でもグローバル化が進んでおり、両国間での課税の有無や二重課税など、海外との税務問題が生じます。このような2国間以上の税務問題を扱う分野が「国際税務」であり、自国の税法及び相手国の税法ならびに租税条約等を勘案して対処する。


内部統制コンサル・・・
クライアントに適した内部監査制度・監査役監査制度の検討を行う。そのうえで、上場審査に適合する監査担当者の選定や、監査活動および調書・報告書等の整備に関る助言、ひな形等の提供並びに導入・運用に際してのサポートを行う。


戦略系コンサル・・・
一般的に米国や欧州を本拠地にワールドワイドな展開をしているファームが多い。基本的に大企業をクライアントとし、経営者相手に綿密な分析をベースにした提案をプレゼン・導入といった流れ。最近ではクライアントの中に入り込んで戦略の実行面までサポートするハンズオン型も多い。戦略・組織・財務・IT等の個別分野を越えての対応が多い。


ビジネス系コンサル・・・
主に中小企業向けとして顧客の企業・事業戦略立案~IT戦略立案・システム化構想策定といったいわゆる上流フェーズから、システムインテグレーションやその後のシステムアウトソーシング、さらにはビジネスそのもののアウトソーシングまで幅広く展開。ただ近年ではファームごとに事業領域・特色などを打ち出し独自色を強めている。


参考記事:ジャスネットキャリア 監査法人からのキャリアチャート

会計士試験の受験経験者が、各コンサルティング会社を目指すためには、経験を求める会社も多いため就職が困難な場合も多いですが、会計士試験の勉強で得た知識が備わっている強みを活かして就職できる可能性はあります。強い関心があるコンサルティング会社には積極的にチャレンジしてみる価値はあると思います。

3.まとめ

公認会計士の合格を目指して取り組んできた試験勉強を、継続していくだけでも立派なことですが、やはり合格と不合格では現実の選択肢は変わってきます。公認会計士試験勉強から撤退するという大きな決断をした際には、当然、試験勉強で得てきた知識を活かしていきたいという想いは残ると思うので、そのあたりも踏まえて進路を決めていただきたいと思います。

試験勉強で得た忍耐強さ、向上心、知識は、必ず仕事上で活きてきます。公認会計士試験に合格することが人生のゴールではありません。その先の長い人生で、会計士試験勉強をしてきたことを後悔することなく今後の道を進み、それぞれの道で活躍して欲しいと願っています。



著者プロフィール
石黒 健次(いしぐろ けんじ)

大学卒業後、大手商社系列の旅行会社で法人・個人旅行を担当。その後、経理・会計分野に特化する転職エージェントとして10年以上の経験を持つ。

大手専門学校の会計系講座担当の経験があり、公認会計士試験受験生の就職相談や面接対策などで全国を渡り歩き、監査法人の定期採用にも詳しい。無理に転職を勧めるのではなく、転職しない選択肢も含めて最適な道に導けるよう心掛けている。

関連サイト
転職事例「”公認会計士試験浪人”のブランクをものともせず会社を選べる立場に」

転職事例「公認会計士の夢に早期に区切りをつけ、上場企業の経理職へ」

公認会計士の資格と仕事と転職のすべてがわかるノウハウ集

目次

  1. 公認会計士とは?
    1. 公認会計士の基礎知識
      1. 公認会計士とはどんな資格?仕事内容は?
      2. 公認会計士の仕事はつまらない?やりがいはあるの?
      3. 公認会計士に向いている性格、向いていない性格
  2. 公認会計士資格取得に向けて
    1. 公認会計士試験 勉強法
      1. 入口は広いが、出口は狭い?公認会計士試験とは
      2. 公認会計士試験合格のための予備校(専門学校)の選び方
      3. 公認会計士試験に受かりやすい大学とは?
      4. 遅すぎる?社会人で公認会計士を目指しても大丈夫?
    2. 公認会計士試験合格後
      1. 公認会計士試験論文式合格後、会計士登録までに必要な3つのこと
      2. CPEってなに?継続的専門研修制度について
      3. 公認会計士が取るべきダブルライセンスは、弁護士?不動産鑑定士?会計士が付加価値を生むには
    3. 会計士試験からの撤退
      1. 公認会計士試験受験から撤退するタイミングの判断について
      2. 公認会計士試験受験をやめた後の具体的な進路について
  3. 公認会計士の働き方と仕事内容とは?
    1. 監査法人
      1. 監査って何?監査法人の役割と具体的な業務内容について
      2. 大手と中小を徹底比較! もう迷わない監査法人の選び方(前編)
      3. 大手と中小を徹底比較! もう迷わない監査法人の選び方(後編)
      4. 監査法人に就職の売手市場は、いつまで続くのか
      5. 監査法人で「デキる新人」として評価されるためにやるべき10のこと(近日公開予定)
      6. 監査業務は激務?4大監査法人と中小監査法人(個人会計事務所)、公認会計士のワークスタイル分析
      7. 監査法人の離職率は、高い?監査法人や辞めたあとに広がる進路について
    2. 企業
      1. 監査法人を選ばない道 組織内会計士の働き方って?
      2. 一般企業で公認会計士にまかされる仕事って何?
    3. 独立開業
      1. ほんとに独立開業して大丈夫!?公認会計士が開業前に知っておくべきポイント解説
    4. 女性の働き方
      1. 会計士の女性は、ママになっても働ける?
        ~女性公認会計士は子育てと両立しながらキャリアアップできるのか~
  4. 公認会計士のスキルアップ
    1. 公認会計士に英語が必要か?
      1. 実はグローバル?監査法人での英語の活用法
    2. 公認会計士に中国語が必要か?
      1. 公認会計士に中国語は必要?中国語を活かせる仕事は?【会計士と中国語】
  5. 会計士の転職
    1. 会計士の年収(監査法人)
      1. 公認会計士と税理士、業務の違いと年収比較
      2. 会計士業界年収動向 2018【監査法人編】
    2. 会計士の年収(企業)
      1. 転職先の業界別、年収比較2018(近日公開予定)
    3. 会計士の年収(独立)
      1. 公認会計士の独立開業って儲かるの?収入源と年収のホントのトコ
      2. 公認会計士が独立して事務所経営に失敗しないための開業準備ノウハウ(仕事の受注方法と報酬単価の決定について)
  6. 転職ノウハウ
    1. 会計士の転職
      1. 転職しようかな…と思ったら。監査法人を辞める前に知っておきたい「5つ」のこと(前編/キャリアの振り返り)
      2. 転職しようかな…と思ったら。監査法人を辞める前に知っておきたい「5つ」のこと(後編/これからのキャリアを描く)
      3. MBAにUSCPA…転職に必要なプラスアルファの資格は?(近日公開予定)
      4. ワークライフバランス?年収アップ?公認会計士が知っておくべき人生戦略とは
      5. 教えます!監査法人採用のポイントとは?(近日公開予定)
      6. 監査法人からベンチャーCFOへの転身 その転職の成功の秘訣とは?(近日公開予定)
  7. 公認会計士の活躍するフィールドと職種別転職動向
    1. 職種別の転職動向
      1. 経理・財務の転職動向
      2. 会計監査の転職動向
      3. M&A・企業再生の転職動向
      4. 税務・会計コンサルタントの転職動向
      5. 財務・会計コンサルタントの転職動向
    2. 働く場所別の転職動向
      1. 監査法人の転職動向
      2. 税理士法人・会計事務所の転職動向
      3. 会計コンサルティングファームの転職動向
      4. 事業会社の転職動向
  8. 公認会計士 監査法人からのキャリアチャート
  9. 公認会計士の転職における心構え
    1. 求人の選び方
    2. 公認会計士の履歴書・職務経歴書の書き方のポイント
    3. 公認会計士のための面接対策
  10. トレンド・ニュース
    1. 【会計士業界同行2018】会計士って増えてる?減ってる?(近日公開予定)
    2. AIが会計士と税理士の仕事を奪う?!~IT先進国エストニアに行ってみて考えた 会計業界の未来~
    3. 監査法人5年目までの公認会計士がぜったい読んでおきたい7冊の本
    4. 【会計士業界同行2018】会計士の就職事情について 監査法人から一般企業まで(近日公開予定)
  11. まとめ

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八田 進二

 

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