「会計事務所は人の出入りが激しい」と言われて早幾年…
なぜみなさんは、せっかく入った会計事務所を辞めてしまうのでしょうか?
もちろん、会計事務所にかかわらず、どこの企業でも辞める人は常に一定数います。
しかし、今回このコラムをご覧いただいているみなさんは、転職するなら次の職場では長く働きたいとお思いのはず。
今回は、そんなみなさんのために定着率の高い・低い事務所の特徴および、どのようにすれば安心して転職先を選ぶことができるのか、ポイントをお伝えします。
離職率の高い会計事務所、定着率の高い会計事務所はどんなところ?
ジャスネットキャリア編集部
「会計事務所は人の出入りが激しい」と言われて早幾年…
なぜみなさんは、せっかく入った会計事務所を辞めてしまうのでしょうか?
もちろん、会計事務所にかかわらず、どこの企業でも辞める人は常に一定数います。
しかし、今回このコラムをご覧いただいているみなさんは、転職するなら次の職場では長く働きたいとお思いのはず。
今回は、そんなみなさんのために定着率の高い・低い事務所の特徴および、どのようにすれば安心して転職先を選ぶことができるのか、ポイントをお伝えします。
それではまず、離職率の高い事務所の特徴とは何なのか確認していきましょう。
「士業」と呼ばれる職業は古くより、丁稚奉公やたたき上げという文化が根付いていました。
若いうちは下積みとして、雑用やお世話業務が全般。仕事は見て覚える(盗む)。師匠と弟子のような関係が一般的でした。そのため、理不尽なことも多く、その経験を糧に成長を目指したものです。
しかし、時代は令和になり残念ながらそのような文化を持つ会計事務所は「時代遅れ」と言わざるを得ません。ではなぜ、このような文化がまだ残っている事務所があるのでしょうか?
理由は、業界平均年齢の高さにあります。今現在、税理士の平均年齢は65歳程度と言われています。
彼らが税理士を目指していた時代は、同文化が当たり前でした。もちろん、全ての税理士が該当するわけではありませんが今も一部で名残として残っているのです。
規模拡大を目指し、顧客の獲得や積極的なM&Aを行う事務所は全国に存在します。組織を大きくすることは素晴らしいことですが、急激な成長はこれまでのバランスを崩しかねません。
例えば、大幅に顧客を獲得できたとしても、それらに対応するのは職員の方々です。当然一人あたりの業務負荷は増えてしまいます。
この業務負荷の緩和を目的に中途採用を試みるも、どの業界も人手不足であり採用は容易ではありません。このような状況が続けば、いつかは職員の皆さんも疲弊してしまうでしょう。
顧客が増えれば売上も比例して増えます。しかし、それに対応するのは職員であることを忘れてしまっている事務所は、人の流出も避けられないでしょう。
また、中途採用が難しいと判断した際。多くの事務所がインターン生の採用や実務未経験者の採用に裾を広げることでしょう。
たしかに採用ハードルは緩和されますが、彼らが即戦力として活躍できるようになるためには最低でも数年はかかることでしょう。
その為、現職員の負担は緩和されず、加えて新人のフォローと教育という+αの業務が追加されるのです。これでは本末転倒ですね。
次に、組織を拡大した場合。必ずその分管理者(中堅層)クラスの人員確保も必要となります。
中堅不在、若手やスタッフが中心の組織は管理者不足に陥り、「教えてもらえない」「フォローが無い」など、職員流出のトリガーとなってしまいます。
若手スタッフも新しいチャレンジやインプットの環境を失い、不満が募ることでしょう。
次に、「オーナー色の強い」と言われる所以ですが、士業の事務所は個人事務所からスタートすることが一般的です。
ゆえに小規模の事務所の場合、明確な評価制度や組織構成ができているとは限りません。
極論ですが、思いつきや職員には事後報告で新しい提携や取り組みが進むこともあります。また逆に、急な事務所の売却や職員年収のカットといったケースもあります。
いわゆる、「朝令暮改」や「鶴の一声」と表現されることもあり、結果的に職員が振り回されてしまうということに繋がりかねません。
最後に人間関係。これは士業にかぎったことではありませんが、税理士事務所の場合、職員10名以下の小規模事務所が業界の過半数を占めています。
小人数の中で人間関係がうまくいかない場合、非常に肩身も狭くなってします。転勤や部署異動も無いため、退職に至ってしまうケースもあるのです。
税理士資格を取得した場合、社員としてそのまま勤務される方もいらっしゃいますが、自分で事務所を構える方もいます。
一般企業の経理や財務職といったバックオフィスに転職される方もいます。
残業が多い場合、勉強との両立が難しくなり、まずは資格取得に集中される人もいます。
では逆に、定着率の高い事務所とはどのような特徴があるのでしょうか?
いくつか例をご紹介します。
先述した離職率の高い事務所とは真逆で、組織のインフラが整った環境となります。
部課制(事業部制)や人事考課、社内イントラなど整備された環境であれば、連携やコミュニケーションも円滑になり、職員のストレス緩和にも繋がります。
小規模でも導入を進めている事務所はありますが、おおよそ20名を超えるような規模の事務所は社労士監修のもと、人事考課制度を導入している場合が多いです。
例えば、税理士試験科目を合格するごとに手当の支給や担当数に応じた賃金アップなど、評価を明確にすることでモチベーションアップにも繋がることがあります。
逆に基準が明確な分、資格取得や担当数を増やさないと賃金が上がらないというようなこともあります。
給与だけでなく、福利厚生や手当なども整備されていることが大切です。同業他社と比較しても適切な給与額、成果や業績に応じたボーナスやインセンティブ制度などで、職員は自らの努力と成果を直接的に感じることができ、モチベーションが高まります。
仕事とプライベートのバランスを大切にする文化があることも、職員の定着率を高める要因として挙げられます。有給休暇の取得促進、フレックスタイム制度やリモートワークの導入などが当たり前になっているかどうかで、働きやすさは大きく違うでしょう。
2020年からの新型ウイルスの流行により、税理士業界でも「出社をしない」というスタイルが拡がっていきました。
ピークを過ぎた現在ではもとの形に戻りつつありますが、現在でも一部の事務所ではリモートワークを継続中。
主に若手所長の事務所や事務所数の多い都内では現在も推奨している傾向にあります。
顧問先が固定化している場合、大きな規模拡大の可能性は低いですが、ある程度顧客との関係性もできているため、毎年ルーチンとして業務を遂行している場合があります。
それゆえ、繁忙期の残業時間もすでに削減できており、結果として職員のワークライフバランス確保にも繋がっている事務所があります。
上記は、主に「地域密着」というテーマを掲げる事務所に多い傾向があります。
成長やスキルアップの機会が与えられ、職員が自己実現やキャリアアップを感じられる環境があることも重要です。
税理士資格取得のための試験前休暇や、資格取得にかかる費用の補助、また会計業界の最新動向や専門知識の向上を図るための研修があることも定着率の高い事務所に見られる傾向です。
これまで離職率と定着率。それぞれ特徴を述べてきましたが、それでも一人で目利きをすることは容易ではないでしょう。
専門特化型の転職エージェントであれば、会計事務所のwebサイトやインターネットに無いような情報、所長のお人柄なども把握しています。相談や利用は無料ですので、ぜひご活用を検討下さい。
いかがでしたでしょうか?
税理士事務所をはじめとする士業事務所への転職の場合は、収入や規模、稼働時間や通勤など「定量的」な部分も大事ですが、どうしても所長の考え方や相性など「定性面」のマッチングが大きなポイントとなってしまいがちです。
それに加え、今回ご紹介した「定着率の高い事務所の特徴とは?着率の高い事」に挙げた項目を参考に、皆様にあった事務所を見つけてみてください。
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