■公認会計士、組織内会計士の人数は?
この公認会計士・監査審査会では、監査法人で活躍している会計士の紹介以外にも、「事業会社編」「金融機関編」「官公庁編」を設けてそれぞれのフィールドで活躍している公認会計士を紹介しています。
日本における公認会計士の登録者は約35,000名。その内、何人が組織内会計士として働いているか正確には把握されていませんが、日本公認会計士協会の組織内会計士協議会には、2,407名(2023年6月末時点)が会員登録しています。登録した公認会計士の中での正会員の勤務先種別は以下のように発表されています。
当社でも各分野で活躍する公認会計士を独自に紹介してきました。こうした組織内会計士の活躍状況をいくつか紹介しましょう。
■経理・財務パーソン
公認会計士は、監査法人だけではなく、上場企業の経理部門・財務部門・経営企画部門に在籍し、活躍しています。
経理部門では財務諸表作成の基礎となる日常の経理業務、月次決算、四半期決算、決算短信、有価証券報告書の作成、監査法人対応を行います。
また、財務部門や経営企画部門では、予算編成や予算統制、資金調達のための中期事業計画の立案・作成、管理会計の手法を用いた分析などを行います。
■CFO(最高財務責任者)
上場準備中のベンチャー企業などのCFOとして、らつ腕を振るう公認会計士もいます。
株式上場を成功させ、株式連動報酬などで創業者利益を得ることや会社の成長とともに自分のステータスもあげていくことは、公認会計士の仕事の醍醐味の一つと言えるでしょう。
■内部監査
金融機関や規模の大きなベンチャー企業の内部監査室でインターナルオーディター(内部監査人)としてキャリアを積まれる方もいます。
金融機関の内部監査部門は、法律で内部監査の実施が義務付けられ、企業最後のディフェンスラインして、とても強い権限があります。規模の大きなベンチャー企業の内部監査室は、社内業務の保証だけではなく、社内コンサルタントとしての機能も見込まれ非常にやりがいがあります。
■官公庁・非営利法人
金融庁や会計検査院、経済産業省、農林水産省、警察庁などで審査、検査や捜査、あるいは各種報告書のとりまとめなどに携わる方、FASF(財務会計基準機構)で会計基準の作成側に回る方もいます。
この他、地方自治体や非営利法人に勤務し、自治体内での公会計の制度設計をされる方もいます。
■国会議員
国会議員になっている公認会計士もいます。
公認会計士政治連盟のホームページを確認すると政治家になった公認会計士の方を招いて活動している様子を確認することができます。
■教育・研究者
大学教授で公認会計士資格を保有している方は多数います。また、大学や専門学校で簿記や原価計算の講師を行っている方なども含まれるかと思います。
■企業経営者
公認会計士の資格そのものを活かしたり、資格を持つことのアドバンテージを活用して企業を上場させる方などもいますし、上場をしなくても会社を運営している方もいます。
例えば、ブリッジコンサル、ストライク、TAC(故人)の経営者などは、公認会計士の方で、自らの資格を武器にキャリアを磨き、株式公開を成し遂げています。
■社外役員(社外監査役、社外取締役など)
公認会計士は、会計監査の専門家として数多くの上場企業の公認会計士監査の経験を有しています。また、CFO、内部監査など企業内部の組織内会計士として活躍してきた会計士も数多くいます。
こうした経験を有する公認会計士は、上場企業の社外役員として会計監査の独自の知見が求められ、また独立の第三者としての観点からの意見も期待されることから、適任のポストの一つと言えるかと思います。
東京証券取引所の「東証上場会社コーポレート・ガバナンス白書2023」によれば社外取締役として公認会計士を選任している企業は1,151人(10.6%)です。他の会社の出身者6,396人(59%)、弁護士1,745人(16.1%)に次いで多く、社外監査役として公認会計士を選任している企業は20.4%で、同じく、他の会社の出身者45.3%%、弁護士21.7%に次いで多く就任しています。
■まとめ
公認会計士は、会計監査の専門家として名乗り、周囲からもそのように扱われますが、監査だけではなく、さまざまな分野で活躍する機会が開かれています。
すなわち、経営をしていれば会計は必須であり、また一定規模以上の会社・自治体はその影響力の大きさ故、会計監査が必須となります。このため公認会計士は、会計監査のプロフェッショナルとして数多くの分野で需要があります。
さらに、会計監査の知識、経験を基に税務、コンサルティング業務を行う機会もあり、こうして獲得したスキルをもって更なる飛躍の機会が訪れます。そうした機会に恵まれる公認会計士は大変魅力的な職業といえるのではないでしょうか。