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実はグローバル?監査法人での英語の活用法

これからますますボーダーレス化が進んでくれば、英語の必要性というのは間違いなく上昇していくと思われます。日本の公認会計士にとって、それはどれくらいの影響がるのでしょうか。

例えば、グローバル企業の監査を一人前にこなす会計士であれば、当然、そこそこの英語力は必要になることは想像がつきます。いっぽう、独立して地域の中小企業をクライアントに頑張っている会計士であれば、英語ができる必要はないでしょう。

ここでは、会計士が英語力を持つことメリットから、実際に実務で必要なレベル、転職や独立に必要な英語力のレベルまでを解説します。

1.会計士に英語が必要なのは、どのような場面か?

(1)監査法人の国際部で必要な英語力はどのレベルか

一般的に監査法人でのジュニア時代は、例外はあるものの、そこまで高い英語力は要求されないかと思います。

監査法人に入所して国際部に配属された場合、往査先はグローバルに展開する日本企業というパターンか、外資系の会社の日本支社というパターンがほとんどかと思います。こうした往査先では、たいてい日本人がカウンターパーソンになるケースが多いと思いますので、いきなり英語オンリーの世界に入るという感じではないでしょう。

わたしのジュニア時代に英語が必要になった場面は、英語でのメールのやり取りと英語で書かれた帳票類や監査インストラクションなどの理解くらいで、そこまでの英語力は要求されなかった記憶があります。

監査法人入所後国際部に配属されましたが、今でこそ900点台のTOEICのスコアは当時540点で、英語力としては決して高くはありませんでした。(その後、どのようにして海外に派遣されるまでの英語力を上げたかは後述します。)

ただ、年次が上がってシニア、マネージャー、パートナーとなっていくにつれ、高いレベルでの英語でのコミュニケーションスキルが求められるようになっていく印象はあります。

クライアントとのコミュニケーションについていえば、たとえ場所が日本であっても、外国人の方が経営層やマネージャー層でお仕事をされていらっしゃることも多々あります。

また、マネージャーやパートナーになってくると、海外の事業所に出向く機会も増えてくるでしょう。そのような場合、コミュニケーションは当然英語になってきますし、読み書きというよりは会話や会話の中でのアドリブ力が求められるようになってくる傾向があります。

また、監査法人の内部においても、監査チームによっては、パートナーやマネージャーが必ずしも日本人とは限らず、日本に駐在している外国人の上司にレポーティングする場合もあります。また、グローバルで展開する企業の監査の場合、監査チームが国をまたがって編成されるので、出張や電話会議により日本のチームの監査の結果がどうだったのか、適切に海外にレポーティングする能力が要求されてくるようになります。

このように、年次が上がるにつれて、かなり高いレベルでの英語コミュニケーション力が求められるようになってくると思います。

(2)国内企業の監査を担当する場合でも英語力は必要?

国内企業が担当の場合に、英語ができることがアドバンテージになるかどうか聞かれたならば「なる」と答えます。

特に、ここ最近はIFRSを導入する企業が急速に増えてきている状況の中で、条文の原文にあたって理解できる力は大きなプラスになると思います。また、国内の企業を担当していても、その会社がM&Aで海外の会社を買収する、または逆に海外の企業の傘下に入るようなケースでは、環境がガラリと変わることもあり得ます。そのような場合に「わたしは英語ができません」という理由で貴重な経験をするチャンスを逃してしまうことは、キャリア形成という意味においても非常に勿体ないと思います。

また、Big 4では、国内の企業を担当していたとしても、優秀であれば、年次が上がっていくにつれ、将来の幹部候補としてグローバルの様々なプログラムに参加できる機会が設けられていることも少なくありません。そうしたプログラムにおいては、英語ができた方が得るものが大きいでしょうし、各国から集まる仲間との有意義なネットワーキングも可能になるのではないかと思います。

目先の状況だけを見て必要性を判断するのではなく、中長期的な視野にたって英語力を身につけるモチベーションをもっていただければと思います

2.英語力の磨き方

監査法人では、語学学校や海外短期留学などの資金サポートなど、英語力を上げる機会がいろいろと用意されていますのでぜひ利用していただきたいのですが、それよりも一番手っ取り早く英語を上達させたいのであれば、英語を話さざるを得ない状況に自分を追い込むことが最大の近道だと思います。

(1)法人内の外国人と会話の機会をもつ

例えば、運良く普段働いている監査チーム内に外国人の方がいらっしゃるのであれば、その方となるべく会話の機会を持つことが上達の近道です。必ずしも仕事でなくても構いません。ランチやディナーに一緒に行くといったことで、とにかく英語を聞いたり話したりする場数を踏むことが大切です。わたしの場合も、最初は理解できなくて苦痛でしたが、そうしたコミュニケーションの積み重ねで徐々に聞き取れるようになり、話せるようになっていき、最終的には海外勤務まで経験することができるレベルにまで英語力をあげることができました。コミュニケーションによりお互いがより理解でき、仕事にもいい影響が及ぶという副産物もあります。

(2)海外勤務のチャンスには手をあげる

また、海外勤務の機会に手をあげられる環境にあるのであれば、ぜひ手をあげてみてください。海外勤務を通じて向上できる英語力は日本にいるときの比ではありません。わたし自身も振り返ってみて、海外勤務時代に一番英語力が向上したと感じています。ここで身につけた英語力は一生モノになります。

3.就職や転職で優位になる場合の英語力は、どのレベルのものか。また独立する場合は、どうなのか。

転職先の企業で求められる英語力にもよりますが、とりわけ高い年俸やタイトルで外資系企業に転職するのであれば、ビジネスに支障のない高い英語コミュニケーション力が期待されると思います。また、独立する場合でも、例えば海外の会社のM&Aや国際税務といった業務を手掛けていく場合には、同様の高い英語コミュニケーション力が期待されると思います。

ここで言う「高い英語コミュニケーション力」についてもう少し具体的に話しましょう。通常、転職の際に求められる人材や独立して仕事をもらえる人材というのは、会計士としてある程度の実務経験を積んだ即戦力ではないかと思います。

したがって、転職や独立により求められる英語コミュニケーション力というのは、即戦力としての英語力のレベルではないかと思うのです。1.(1)とも重複しますが、単なる読み書きのスキルというよりは会話スキルや会話の中でのアドリブ力が中心になります。TOEICの点数でいえば、私の独断と偏見ですが、できれば850点以上は欲しいところでしょうか。

とはいえ、850点取っていざ現場に出ても、特に海外との電話会議などでは実際にはほとんど理解できない方も実際には多いのではないかと思います。ですので、何点以下だからできない、何点とったからできるというよりは、むしろ仕事でもプライベートでも場数を踏むことでレベルアップを図っていく姿勢は要求されるのではないかと思います。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。英語力を身につけるのは一朝一夕でできることではなく、日々の少しずつの努力の積み重ねによるものだと思いますが、間違えなくいえるのは、厳しい状況に追い込まれれば追い込まれるほど英語力は上達するということです。

英語力があれば、監査法人の中にいても、外に出ても、より多くの素晴らしいチャンスに出会える可能性が増えるので、ぜひ、中長期的な視野をもって、成長した5年後、10年後の自分を想像しながら取り組んでみてください。



著者プロフィール
岩波 竜太郎(いわなみ りゅうたろう)
  • 公認会計士・税理士

岩波公認会計士事務所代表、アイプラスアドバイザリー株式会社代表取締役社長。

大手監査法人時代にはシニアマネージャーとして、国内外の大手金融機関を中心とした会計監査業務・内部統制監査およびプロセス構築に関するアドバイザリー業務を担当。2007年から2008年にかけてはニューヨークでの海外事務所勤務も経験。

監査法人退所後は、ベンチャー企業にて執行役員・管理本部長として、財務・経理に加え人事・労務・法務・総務も含めた管理業務全般を幅広く経験。2015年5月に独立開業し、これまでの幅広い経験を活かしたCFOアウトソース業務・会計アドバイザリー業務を中心に活躍。

株式会社Orchestra Holdings(東証マザーズ・6533)社外監査役。

著書
「業種別会計シリーズ 証券業」(新日本有限責任監査法人編 第一法規、共著)

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岩波公認会計士事務所 / アイプラスアドバイザリー株式会社

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