国家難関資格である公認会計士。実際に目指すと決意して勉強を始めても、様々なタイミングで「就職をせずに、会計士浪人をしてまで勉強を続けてよいのだろうか」「会計士試験を撤退したとしても、就職はあるのだろうか」と不安になることも多いと思います。
ここでは実際に公認会計士として働いてきた経験を持つジャスネットのエージェントが、公認会計士を目指す場合に考えられるリスクとその対応について、忌憚のない意見をお伝えいたします。
今、実際に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
2026年10月8日 公認会計士 齊藤 健太郎
国家難関資格である公認会計士。実際に目指すと決意して勉強を始めても、様々なタイミングで「就職をせずに、会計士浪人をしてまで勉強を続けてよいのだろうか」「会計士試験を撤退したとしても、就職はあるのだろうか」と不安になることも多いと思います。
ここでは実際に公認会計士として働いてきた経験を持つジャスネットのエージェントが、公認会計士を目指す場合に考えられるリスクとその対応について、忌憚のない意見をお伝えいたします。
今、実際に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
リスクと挫折のパターンを説明しますが、“挫折”と言っても、決して後ろ向きになる必要はないことをお伝えしておきます。公認会計士試験のために勉強したことは、たとえ合格を諦めて別の道を選んだとしても、無駄にはならないからです。
ここでお話することは、将来自分がどのように働きたいか満足のいく選択をするために、知っておいて損はないのではないか、という経験にもとづく私見になります。
では公認会計士試験合格を開始するにあたってのリスク、諦めるパターンは、どのようなものになるでしょうか。
リスク、挫折パターンは、勉強を開始した時期で大きく3つに分けられると思います。
→就職活動で「新卒ブランド」を捨てるリスク
→就職をせずに勉強を続けると「資金がなくなる」「何年も合格できない」「社会人経験が全くない」というリスク
→働きながら勉強するか、勉強に専念するかの判断、合格までの年数のリスク *これは厳密には会計士浪人ではない
大学3年生の半ばあたりで周囲が就職活動を始めると、自分も公認会計士試験の勉強を続けていいのか、勉強は辞めて就職活動をした方がいいのではないか、と悩む人もいるでしょう。
もし在学中に結果が出ておらず就職する道を選んだとしても、身につけた知識は就職活動でも大きな力になると思います。もちろん短答式試験に合格していれば就職先に監査法人なども選べると思いますし、監査法人でなくとも会計に関する知識の面では、他の人よりも有利なアピールができることでしょう。
「公認会計士」という資格にこだわりがなければ、リスクはゼロ、むしろ資格を得なくとも公認会計士の勉強の内容・知識が就職活動及びその後の活躍に大きな力になるかと思います。
日本独特の習慣かと思いますが、日本企業の採用では「新卒ブランド」というものがあり、新卒でなくてはそもそも就職が難しい企業が存在しているというのも事実です。
具体的には、一部財閥系の上場企業や金融関連の企業などですが、そういった企業に就職を希望する場合は潔く就職活動に舵を切って内定を目指しましょう。
この場合も、資格を得なくとも公認会計士の勉強の内容・知識が就職活動の大きな力になるかと思います。
この段階で諦めず勉強を続ける人は、リトマス紙として次に述べる開始時期2の場合の対応策を参考にしてください。
つまり、勉強を始めて2,3年で短答式、もしくは日商簿記1級に合格しない場合は、撤退して、「新卒ブランド」や「第2新卒ブランド」を活かす方向で舵を切ることは悪いことではないと思います。この場合、就職活動と試験勉強を重ねて行うこともあり得ます。
わたしの場合は就職活動を開始したあとに、社会に求められている知識・技能などを体感し、そのまま内定先に就職することで自分が本当にしたいことができるのか疑問に感じました。そして意を決して、就職はせずに公認会計士を目指すことにしたのです。つまり就職はせずに、会計士浪人という形で勉強を開始したことになります。
開始時期2の場合、やはり無職で勉強を続けるため、「資金がなくなる」「何年も合格できない」「社会人経験が全くない」というリスクがあり、時間の経過とともにリスクが大きくなり、試験合格を諦めるケースが多いのではないでしょうか。
専門学校に通う場合、学費は親からの資金援助がある、自分の貯金から支払う、など様々なケースがあると思います。資金の問題は公認会計士を目指す場合には避けては通れない問題です。親の援助が期待できない場合は、大学時代からアルバイトなどである程度の金額を確保しておくなど、可能なかぎり自分でも備えておきましょう。
資金枯渇のリスクは、親からの資金援助がある場合を除き、常についてまわる問題です。
どのタイミングで試験撤退を決めるかについては様々な意見があると思いますが、わたしは勉強を始めて2,3年で短答式、もしくは日商簿記1級に合格していない場合は諦めた方がいい、と思っています。
自分がCFOや内部監査室を取り仕切る立場となり、採用側として、未経験者でも人材が欲しいという時がありましたが、日商簿記1級を持っている未経験者ならとりあえず会ってみようかなと思っていましたが、そのような人はついぞ現れませんでした。
もちろんそのような考えを持っている採用者がいるとは限りませんが、自分が考える程度のことは、複数名は考えているはずと思うので、私見を挟んでみました。
言い換えれば、少なくとも就職せずに会計士浪人している場合のリスクヘッジとして、なんらかの資格、または結果を残しておくことは、会計士浪人の無職の場合はなおさら重要だということです。
なんらかの成果・結果を残せない人は、撤退して社会人経験を積んでいくことのほうが重要だと思います。
社会人経験がない状態で、試験合格を諦めたとしても、20代であれば一般企業の経理部、証券系の企業などで就職も可能ですし、それまでの勉強を無駄にすることもありません。
そのためには上記で述べたように、リスクヘッジとしてなんらかの別の資格に合格していることが必須になります。
就職浪人して専門学校に通う場合、自分に合ったところを見つけることも非常に重要になります。わたしはある専門学校に4年間通っていましたが全く合格できず、思い切って専門学校を変えたところ1年で試験に合格できたという経緯があります。
昔はネットも何もない時代で、収集する情報に限界があり、専門学校のテキストや内容にこんなにも差異があるものだと他の専門学校に移ってから驚きました。
今は、口コミや画像検索である程度は辿れる時代ですので、そのような状況については限定的になったかもしれません。
正直なところ、2年間通って結果が出ない場合は、別の専門学校を検討するくらいでもいいのではないでしょうか。そのくらい専門学校は、自分にとって分かりやすいテキストかどうか、本試験の傾向に沿っているかなどの相性や傾向に差異があると思います。
また、大学卒業後にどこかの企業に就職し、働きながら公認会計士試験の勉強をする方もいると思いますが、その場合は開始時期3の対応策を参考にしてください。
ある程度、社会人として働いてから公認会計士を目指す人もいると思います。その場合、最初に悩むのが働きながら勉強するか、勉強に専念するか、ということでしょう。
結論からいいますと、わたしは勉強に専念した方がいいと思います。その場合は、何年間と期限を決めて集中することをおすすめします。
なぜならば、「社会人経験」という略歴があることから、開始時期2の場合の「社会人経験が全くない」というリスクは、既に解放されているからです。ただ、このように専念する場合は、開始時期2の「資金がなくなる」というリスクが常に存在することになります。
資格取得に専念するにしても、社会人経験が半年だけとか、勉強の専念期間が長すぎて社会人としての無職期間が長すぎると「社会人経験が全くない」とみなされてしまうことになります。ここでも、開始時期2の場合の対応策は取っておくことが必要です。
社会人の場合、家族の協力や勉強に対する集中力など、学生とは違い様々な制約が出てきます。仕事と両立した場合は、休みの日はすべて勉強に充てるなどの体力・モチベーションの維持も大変です。その代わり、社会人経験で培った経験と資金力がありますので、一度仕事を辞めても問題がない状態にしてから、背水の陣で勉強に臨んだ方が、結果もついてくるのではないでしょうか。
そうすることで、合格までの年数がわからずに結果、断念するというリスクも減らすことができます。
当然リスクヘッジとして、日商簿記1級程度は取って、なんらかの形にしておく、取れない様なら撤退するという他資格のリトマス紙的な活用の仕方は併用すべきかと思います。
いかがでしたでしょうか。わたしは公認会計士試験に合格したあと、すぐに監査法人に就職せず、一般事業会社に就職してその後監査法人に入り、一般事業会社という道を採り、今に至っております。
人生の節目で「公認会計士」という資格にどれだけ救われたか、自身の思い描く経験が得られた、ということは数えきれないほどです。
他方で自分が一般事業会社の内部監査室やCFOとして採用する立場になると、公認会計士資格がなく、社会人経験がなくとも履歴書が送られてきたら、「一度会ってみよう」、「考えようかな」と思うペルソナは、実感として存在しています。これは、求人取り扱い会社にも何度か伝えたこともあります。
また、せっかく公認会計士試験に合格したとしても、監査法人にすぐに就職することは、最初に一般事業会社を経験した立場から見るとメリットだけではなく、デメリットもあります。この話は別の機会に行いたいと思います。
公認会計士試験は大変な難関のため、必ずしも結果に結びつくとは限りません。しかし勉強したことは、あなたの人生において決して無駄にはなりません。公認会計士試験を撤退した後も、学んだ知識を活かして転職する道があります。
公認会計士試験から撤退すると決めた方へ。試験撤退からの大逆転をサポート
人生の選択肢を増やすために、どんな道を選ぶとしても諦めずに頑張ってください。
齊藤 健太郎(さいとう けんたろう)
ジャスネットコミュニケーションズ株式会社 エグゼクティブエージェント
公認会計士・税理士/齊藤公認会計士事務所
横浜国立大学経済学部卒業
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