新規登録 求人検索
新規登録

【コーポレート・ガバナンス 頻出用語解説 ④】
社内規程の作り方とは? ~コーポレートガバナンス体制の維持・強化のために

コーポレートガバナンス体制の維持・強化のために、社内規程の明確化と充実が必要不可欠であることを「コーポレートガバナンスとは?」において説明しました。

例えば、組織を構成する従業員を円滑に動かすためには、人事制度や賃金制度、職務権限などを定めた規則が必要です。また社内規程は、定めることができる範囲に制限はなく、企業に関わるあらゆる事項について規則を定めることができます。

さらに、規則だけでなく、企業理念や経営理念などを定めることも可能です。こうした社内規程ですが、会社が属する業界に向けた業法用の規程は存在するもののガバナンスのための規程は存在しない、なんとなく取締役会を運営している、上場準備を始めたいが規程を誰が作るのかわからない、など社内規程についての悩みも企業によって様々です。

今回は、こうした社内規程について説明していきたいと思います。

■ 社内規程とは

(1)用語の定義

社内規程とは、会社が独自に定める社内ルールです。就業規則などのように、法律上作成が義務付けられているものもあります。

法律上作成が義務付けられていないものでも、企業の状況や必要に応じて、企業が継続的な活動を安定して行うために社内における規則をまとめたものを指します。そのため、法律の範囲内で会社が自由に内容を定めることが可能です。

よくある質問:規程と規定の違いについて

規程と規定はどっちなのかという質問をよく受けます。規定とは個々の条文を指す単語であり、個々の規定をまとめたものが規程となります。このため、企業における規程を全てまとめたものが社内規程であるものと理解しております。

(2)目的

社内規程を作成する目的は、【① 会社運営を適正に行う】【② 法令違反を予防する】という2点にあるかと思います。

こうして目的別に規程を見たとき、規程は以下のように分類できます。

図
① 法的に必須

法律上作成が義務付けられているものについては、作成をしないことは法律違反に当たるわけですから、会社としては社内規程を作成するしかありません。

② 規程遵守で法的に安心

会社の運営が法令違反となってしまうことを予防するため規程が置かれます。取締役会規程は、会社法に則った運営を行うために内規として設け、当規程に従うことで法令違反をなることを事前に防止することとなります。

③ 規程遵守で効率的経営

社内規程を作成し、運営に活用することで、業務の平準化・業務の効率化の実現が期待できます。

作成された社内規程を活用することで経験やノウハウがなくても業務の品質・結果に一定の質を備え、一定の仕様に沿った成果物を生み出すことができます。このことで、個々の社員が独自に調べたり考えたりする時間、手間が削減でき、業務の効率化につながります。

(3)上場を意識した規程運用

会社が上場する際には、社内規程一式は、直接取引所に提出され、取引所審査の対象となります。TPM(TOKYO PRO Market)を志向する場合でも、J-advicerが受取、審査対象としています。

社内規程としてどのようにあるべきかという点では、コーポレートガバナンスの項目で説明しておりますので、そちらをご参照ください。

■ 社内規程の種類

社内規程は、会社や行政機関などの組織内の業務を円滑に進めるために定められた決まりごとやルールなので、こうした内規について、法律上の根拠や定義はありません。

しかしながら、社内の決まりごとやルールを明文化し、会社を適切に運営していくにあたっては、規程を一定の基準で分類・整理し、社内で管理していく必要があります。

社内規程については、おおよそ下記のような規程を置くことになります。

図

社内規程の分類には様々な方法がありますが、基本規程・組織関連規程・人事関連規程・総務関連規程・業務関連規程と分類してみました。

基本規程:
企業運営に関する規程であり、定款、企業の経営方針、監査などについて定めた規程となります。

組織関連規程:
組織図・倫理規程・職務権限規程等企業の組織や職権などの方針を定めた組織に関する規程です。

人事関連規程:
就業・給与・退職金、退職年金規程など従業員の人事、給与などの方針を定めた規程になります。

総務関連規程:
文書管理、個人情報管理、反社対応など業務やその他社内での意思統一が必要な事柄の方針を定めた規程になります。

業務関連規程:
経理や予算管理など業務に関する方針を定めた規程です。

■ 社内規程を整備する方法

社内規程導入段階では、「取締役会をまだ置いていないのに規程は導入できるのか」、「規程は取締役会を置いてからでないと設置できないのでは」など、規程の導入段階においては、様々な悩みがあるかと思います。

(1)規程作成手順

社内規程は誰が作成するのか、どういう手順を踏んで整えていくのかについては、以下の手順を踏んでいくのが望ましいかと思います。

  1. ① 社内規程の作成責任者を選出する
  2. ② 社内規程に必要な情報を集め、草案を作成する
  3. ③ 現行ルールの確認
  4. ④ 社内規程の草案の内容について関係各所や専門家に確認を取る
  5. ⑤ 作成した社内規程を社員に周知する
図

(2)規程導入の順序

取締役会を設置し、法的に必須な規程を置いているということを前提とすると、どのような手順にて導入を進めていくかは会社の状況により様々です。

私見ですが、まずは、規程管理規程を置き、規程の制定、改定のルールを決めるとともに「社内規程の種類」であげたような別表を活用して規程の管理を行います

徐々に制定すべき規程の範囲拡大、既に制定した規程の改訂をしながら、規程体系を整えていき、最終的に職務権限規程の整理でいったん完了としていきます(上場を目指す場合は、その後株式取扱規程の制定・改訂などもあります)。

規程をテンプレートに従って、すべて制定してから、会社の運営に沿って調整していくという行い方もありますが、そのような対応を含めて、上記(1)①~⑤を踏まえた上で、会社の状況によって判断することになるのではないかと思います。

10問の質問に回答するだけで、
性格タイプやキャリア志向が明らかに!

診断をはじめる(無料)

新着記事一覧

6つのキャリアフィールドfield