■数字が苦手な人は不向きか？

受験勉強だけであれば、努力すれば、合格出来る可能性の高い試験制度になっています。その後、各々が、専門分野の知識・経験を獲得し、自己研鑽していくことが必要になりますが、あえて前提条件として申し上げるなら数字の嫌いな人はあまり目指さないほうがよいでしょう。

冗談のような話ですが、目先のお給料や社会的評価に惹かれて、ポテンシャルの高さのみで公認会計士になったのはよいものの、どうにも仕事のモチベーションが沸かないという人が、悲しいかな現実に一定数存在します。

もちろん仕事をしていく内に好きになることもありますが、公認会計士を目指す前に胸に手を当てて考えましょう。

試験勉強を始めてみて簿記、原価計算等にアレルギーを覚えるようなタイプは避けたほうが良いでしょう。ミクロ経済学や統計学など一部数学的なセンスが問われる科目もありますが、数学的なリテラシーはさほど業務を行う上では求められません。リスクマネジメント、デリバティブなど金融工学の知識が必要になる場合もありますので、専門性を持つ視点からは業務の幅は広がることになるでしょう。

■大雑把な人は不向きか？

また、あまりに大雑把な性格の人は逆に業務の幅が限られてくる可能性があります。

ただし、監査の現場においては、あまり細かな数字にこだわることはありません。第一義的に監査意見に求められるのは財務諸表の全体の適否についての意見表明であり、売上高数千億～数兆円の企業の監査において数万円単位の仕訳の処理に目くじらをたてることは通常ありえません。

逆に税務業務を行う場合は、1円単位にこだわる必要があります。性格上、税務業務になじめないという公認会計士の方は一定数います。税務を行う場合は細部に神が宿ると考えてください。

■求められる高度な倫理観

公認会計士に求められるパーソナルとしての主体的条件を一つ挙げるなら「高度な倫理観」ということになるでしょう。世の中を見渡すと、洋の東西を問わず、経営者、政治家など残念ながら、能力と倫理観が一致しないが故に、本人はもとより、世間や周囲を悲劇に巻き込んだ不祥事は後を絶ちません。ばれなければ良いという考え方は、今の時代には通用しません。

監査は当然のこととして、会計プロフェッショナルとして求めされる高度な判断には、いかなる誘惑にも揺るがない倫理観がなくてはならないことを認識してください。

■リスクマネジメント能力も必要

また、いわゆる、リスクを果敢にとって一か八かの勝負に出るタイプは、どちらかというと公認会計士に向きません。公認会計士に求められる素養は、むしろ、第三者的な立場からリスクを冷静・的確に分析し、それをミニマイズする能力です。

程度問題ではありますが、一本どっこのギャンブラー的オーナー経営者的タイプならそもそも資格に頼らないほうが良いかもしれません。