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会計士が活躍できる「フォレンジック」の業務内容、仕事の魅力とは?(Big4系アドバイザリーファーム編)

この記事では、会計士がフォレンジック(不正調査)の仕事をするにあたり、その「業務内容」「仕事の魅力、やりがい」「報酬(年収)の相場」「その後のキャリアステップ」などについて紹介しています。
Big4や金融庁証券取引等監視委員会(特別調査課)などで、実際に経験がある会計士に執筆いただきました。
転職やその後のキャリアプランのヒントを得ることができます。

目次

■公認会計士が活躍できるBig4系アドバイザリーファームの「フォレンジック部門」の業務内容

■必要とされる志向性(どんな人に向いているか?)

■「フォレンジック」業務のやりがいやメリットは?

■フォレンジックの採用ニーズ

■公認会計士が「フォレンジック」の業務に転職すると年収はどのくらい?

■フォレンジックの経験を活かしたその後とのキャリアパスは?

■公認会計士が活躍できるBig4系アドバイザリーファームの「フォレンジック部門」の業務内容

会計士の業務におけるフォレンジック(不正調査)とは、企業で発生する会計不正を中心に、不正発生時の対応のみならず、不正の予防、早期の発見などといった業務も及びます。

不正が起こった際の事実関係の調査のみならず、その不正による影響額の算定や発生原因を分析し、再発防止策を策定するなどして、利害関係者に対し詳細な情報開示と説明を行います。

不正は対応を誤れば、企業の信用や社会的評価の失墜による株価の下落のみならず、課徴金などの処分や刑事罰を課せられ上場廃止の危険すらあり、社会に与える影響が大きいため非常に責任の重い仕事です。

(1)粉飾決算の対応

弁護士と協力のもと、担当者から話を聞いたり、書類を分析したりして、原因や誤りの金額を確定し、再発防止策等を決めていくことになります。

仕事はほとんどの場合、弁護士事務所から来ることが多いと言えます。というのも、企業において何かしらの不正が起きた場合、相談する最初の相手は会計士ではなく、弁護士であることが多いからです。

そして、不正のうち粉飾決算など会計に関する部分が出てくると、監査法人や弁護士が個人的に知っている公認会計士に声をかけるというのが多いように思われます。

また、必要に応じて、過年度の財務諸表の数値を遡及修正することになりますが、結局は、監査報告書とも関連する事項でもあるため、具体的な財務諸表の数字の修正は、決算を見ている監査法人に投げてしまうことが多いです。

(2)内部統制の構築支援

不正が起きた原因は、内部統制の欠如に原因があるとされる場合がほとんどなので、不正が起こらない仕組みを作るため、内部統制の構築支援をすることは不正調査の仕事とセットで行われることも多いといえます。

具体的には、第三者調査委員会や特別調査委員会で記載された問題点が解消されるための仕組みづくりをしたり、また、これ以外にも会社の内部統制上の弱点が発見されたりした場合には、これらの問題点を解消するために内部統制を構築していくことになります。

(3)調査報告書の作成

調査報告書の内容は、特に気を使います。調査報告書の内容は、そのままニュースの記事の内容となることが多く、書き方によっては、訴えられるリスクがあるからです。

そのため、監査以上に気を遣うことが多く、調査報告書の内容は、基本的に客観的な証憑や聞き取り調査の内容と一致しているかを常に意識して記載することになります。

(4)その他

普段は、内部統制の構築業務や監査業務をすることが多く、不正調査の仕事が入った時に不正調査の仕事を集中して行うイメージになります。

不正の調査を専門に行うメンバーはそこまで人数が多くなく、不正調査はコアとなるメンバーが中心となって行いますが、人手が足りない場合には、通常の監査部門からも空いているスタッフを駆り出すこともあります。

(5)フォレンジックの仕事の進め方

わたしが、不正調査の仕事を進めるにあたっては、関連する数字を見て、数字の間に矛盾がないのかをみたり、書類と書類を見比べてみて、矛盾するストーリーが見当たらないのかを検討したりします。

矛盾を発見した場合、その矛盾が生じた原因を客観的な資料で見て掘り下げていきます。納得いく資料が見つかれば、そこで調査をストップしますが、資料が出てこなかったり、資料が不十分であったりした場合には、その場所を中心に掘り下げていきます。

よくあるのが財務分析ですが、あまり、本に書かれていないような財務分析を自分で編み出したりします。売上について不正があるかもしれないと思った場合、従業員数に着目する方法があったりします。

例えば、リストラをして従業員数を減らしているのに会社全体の売上高が伸びている場合、一人当たりの売上高が急激に伸びていることになります。そうすると、会社がどのようにして一人当たりの売上を伸ばしていたのか、納得感のある説明を客観的な資料や説明から得る必要があります。

■必要とされる志向性(どんな人に向いているか?)

一言でいえば、監査をしていて、企業経理部側の誤りをよく発見する人が不正調査に向いていると思います。

あとは、推理小説が好きな人や、誤りを発見するのに適した監査手法を自分の中で持っている人も不正調査に向いているのではないかと思います。また、地道な作業も多いので、忍耐強い性格であるとさらによいでしょう。

逆に、普段から「効率よく監査を終わらそう」という意識の方は(監査を行う場合にはとても重要な能力なのですが)、不正調査の場合には向いていない可能性があります。

また、不正の手がかりや証拠を引き出すことも重要なので、人との会話が苦手な人はそもそも向いていないと思います。

■「フォレンジック」業務のやりがいやメリットは?

不正調査は、世の中から注目されていることが多く、不正調査の結果が世の中に与えるインパクトが大きいため、世の中の「役に立っている」ということや「必要とされている」というのを肌で感じることができます。したがって、仕事の結果が評価されやすいというのが、やりがいにつながっていると思います。

■フォレンジックの採用ニーズ

(1)求められるスキル、人材

公認不正検査士の資格は、あると依頼者に対して能力が十分であると説明しやすいので、持っていると便利だと思います。ただ、なくても公認不正検査士の試験は問題集を購入して解けば合格できるレベルですので、就職してから後でゆっくり取ればよいと思います。

あと、最近は、海外子会社の不正も増えているため、英語ができると海外とのやり取りで重宝されると思います。

(2)採用されるポイント

監査法人の場合、不正調査を行う部署からの求人は定期的に出ているようです。

不正調査を行ったことがあり、不正調査が自分に向いている点をうまく説明できると採用されやすいでしょう。

もっとも、一般の会計士は監査を業務の中心としているため、不正調査の経験はほとんどないと思います。その場合は、自分が監査の過程で発見した不正や誤謬について、エピソードを交えて話してみるのもよいでしょう。

(3)転職で気を付けるポイントや難易度

監査法人に転職する場合、不正調査がいつもあるわけではないので、不正調査に強みがあるという特徴を押し出した法人に就職をしないと不正調査以外の仕事も行うことになってしまいます。そのため本気で取り組みたい方は、この辺りの見極めが必要です。

また、不正調査の仕事は突然入ってくることが多く、いったん取り掛かるとものすごく忙しくなったりするので、長期に休暇の予定を入れておくと潰れる可能性が出てきます。

そのため、計画的に休みを取得し旅行に行こうと考えている場合も、直前に仕事が入り行けなくなることがあることを、家族に理解を求めておく必要があります。

■公認会計士が「フォレンジック」の業務に転職すると年収はどのくらい?

転職サービスからよくメールが届きますが、それを見ると、監査法人で働く一般的な会計士の年収に対して、若干プラスアルファされるというイメージが強いようです。

■フォレンジックの経験を活かしたその後とのキャリアパスは?

独立した個人の会計士の場合、不正調査の案件があっても不正調査に対応するだけの人数を十分に確保することは難しかったりするので、不正調査の仕事は、大手監査法人に仕事が集中することが多いといえます。よって将来独立を前提にするのであれば、この経験はあまり役には立たないかもしれません。

ただ、仲のよい会計士を誘って、調査をするための人数を確保できるのなら、不正調査は時間当たりの単価が高くなる傾向があるため、仕事としては魅力的かもしれません。

あと、私の場合、金融庁証券取引等監視委員会の今の開示検査課の前身の部署に2年と特別調査課という犯則調査を行う部署に3年間おり、普通の人ではなかなかできないような経験をいろいろとしてきました。そこでの経験について、経営者の方はとても興味を示されることが多く、経営者とコミュニケーションを図るという意味では、話のきっかけとしてはものすごくインパクトがあるようです。

わたし個人の例をお話ししましたが、会計士としてもある程度、特殊なキャリアをお持ちですと、経営者との関係が結びやすいことが多いでしょう。

わたしの経験が、少しでもみなさんのキャリア構築に活かされれば嬉しいです。

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