AIによって公認会計士や税理士の仕事が奪われるといった話題を耳にすることを多くなった昨今、会計士の総人数が増えているのか減っているのか、気になっている方も多いことかと思います。
増えているのか減っているのか。その状況によっては公認会計士試験を受験してみようと思う方、もしくは辞めようと思う方もそれぞれいらっしゃるかと思います。受かったあとに就職の口があるのかどうかも気になるところかと思います。
まずは直近の傾向がどのような状況にあるのか、このコンテンツで確認してみましょう。
【会計業界動向2024】公認会計士の総人数は増えてる?減ってる?
ジャスネットキャリア編集部
AIによって公認会計士や税理士の仕事が奪われるといった話題を耳にすることを多くなった昨今、会計士の総人数が増えているのか減っているのか、気になっている方も多いことかと思います。
増えているのか減っているのか。その状況によっては公認会計士試験を受験してみようと思う方、もしくは辞めようと思う方もそれぞれいらっしゃるかと思います。受かったあとに就職の口があるのかどうかも気になるところかと思います。
まずは直近の傾向がどのような状況にあるのか、このコンテンツで確認してみましょう。
「毎年1,000名近くの方が公認会計士になっています」
こんな言葉を聞いたことはありませんか。
「毎年1,000人?そんなに多いの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、事実としてここ数年1,000名以上の方が公認会計士試験 論文式試験に合格し、いわゆる「公認会計士試験 論文式試験合格者」となっています(2023年の論文式試験合格者は1,544名)。
本来の意味で公認会計士資格を取得するためには、下記の記事でも触れたように規定の実務経験を積み、修了考査に合格する必要があります。
つまりはこの修了考査に合格するまでは「公認会計士試験 論文式試験合格者」であり、「公認会計士」ではないといえます。主な監査法人の在籍人数は後述しますが、各法人のwebサイトを確認すると、「公認会計士」と「試験合格者」は別々に集計されています。
一般的には「公認会計士=(イコール)公認会計士試験 論文式試験合格者」と思われているため、冒頭の「毎年1,000名以上が…」というフレーズになっているのでしょう。
はたして「毎年1,000人合格」という数字は多いのでしょうか?少ないのでしょうか?
難関資格としてよく比較される「医師」、「弁護士(司法試験)」と比較してみましょう。
受験者数 | 10,293人 |
---|---|
合格者数 | 9,432人 |
合格率 | 91.6% |
受験者数 | 3,928人 |
---|---|
合格者数 | 1,781人 |
合格率 | 45.3% |
過去10年の論文式試験合格者数と合格率の推移についてみてみましょう。受験者数はこの10年で増加傾向にあり、論文式試験の合格者数もそれに伴い増加しています(表1参照)。
2014年と2023年で比べると合格率はまったく同じ36.8%となっています。今後も受験者は増え合格率は横ばいと考えると、合格者数は微増傾向にあると考えられます。受験を考えている方がこれをどう捉えるかは様々かと思いますが、会計士業界からすると明るいニュースといえるでしょう。
正式に公認会計士を名乗るために必要な修了考査を受験する人、合格する人の数は2019年度以降増えています(表2参照)。
表2のデータを見てみると2018年度の修了考査の受験者数は1,495人、合格者数は838人となっており、過去10年で最も少なくなっています。20年度から21年度にかけての上がり幅が大きいのが見てとれます。
今後どうなっていくのかは何ともわかりませんが、表データから読み取れる傾向としては増加のトレンドにあるといえます。
この2つの表から読み取れるのは下記の2つです。
一昔前であれば、修了考査は論文式合格者にとっては、「受けて当然」「受かって当然」というものでした。
ただ、先日の日経新聞の記事にもあったように近年、論文式合格者の「監査法人離れ」、「キャリア選択の多様化」が進む傾向があるようです。つまり一般事業会社への転職を検討する方が増えるなど、論文式試験に受かったものの公認会計士資格を必ずしも必要としない人が増えてきているようです。修了考査の受験者数が2022年度で減っていることが、この傾向の証左なのかは今後の注視が必要でしょう。
転職エージェントとして多くの公認会計士と関わる機会がありますが、肌感としてその流れはここ数年で加速してきているように思えます。「公認会計士論文式合格、監査法人で3~5年勤務」というパスポートをもとに、また違った道にトライされるというイメージです(なかにはベンチャー企業のCFOを目指す方もいらっしゃいます)。
公認会計士の事業会社での働き方、また仕事内容については下記の記事をご覧ください。
結局のところ、会計士が増えているのか、減っているのか。日本公認会計士協会の会員数(準会員、論文式合格者も含む)を確認すると、1950年以降、現在にいたるまで増加傾向にあります。2010年の30,092名に対し、2023年7月の段階では35,145名となっています。
では、その会計士や論文式合格者はどのような場所で働いていて、それぞれにどのくらいの人数がいるのでしょうか。会計士の働く場所といえば、監査法人、一般企業、個人の会計事務所などが、その選択肢として思いつくでしょう。
下記は2023年の、主な監査法人で働く公認会計士(論文式試験合格者含む)の人数となります(各法人のWEBサイトより引用。あくまでも調査時点の数字なので変動します)。
監査法人名 | 公認会計士人数 (試験合格者含む) |
---|---|
有限責任監査法人トーマツ | 4,298人 |
EY新日本有限責任監査法人 | 4,182人 |
有限責任あずさ監査法人 | 4,030人 |
PwC Japan有限責任監査法人 | 1,704人 |
太陽有限責任監査法人 | 550人 |
PwC京都監査法人 | 127人 |
東陽監査法人 | 257人 |
仰星監査法人 | 333人 |
三優監査法人 | 164人 |
明治アーク監査法人 | 100人 |
ひびき監査法人 | 208人 |
計15,903人 |
すでに述べた通り2023年の会計士(試験合格者含む)の総人数は35,145人であり、そのうち上記の11法人に15,903名がいることがわかります。割合としては全体の45.2%となり、さらにBIG4で働いている人(14,214人)に限定するとこの割合は40.4%となります。
また総数の35,145人から上記11法人で働かれている方の人数(15,903人)を引き、さらに組織内会計士協会に所属する会計士2,298人(2022年6月時点)を引いたのが小規模な監査法人、個人の会計事務所、その他で働いている人数だと、ざっくりですが推察できます。
このコンテンツにより、公認会計士の総人数は増えているということはお伝えできました。
一方で、「論文式試験に合格する人は、微増傾向にある」「修了考査の受験者、合格者ともに近年減少傾向にある」といった近年の傾向もお伝えすることができました。
公認会計士の就職市場感としては、下記のコンテンツをご確認いただきたいのですが、余程の景気の変動がない限りは、当面、売り手市場が続くことが予想されます。
転職エージェントの肌感から言わせていただくと、会計士の数の増加以上に会計士を求める監査法人や企業の数は増え続け、世の中としては「会計士の不足感がある」という印象があります。今後も、さらに会計士の活躍の場は広がっていると感じます。
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