新規登録 求人検索
新規登録

監査法人を退職する前に知っておきたい「5つ」のこと(後編/これからのキャリアを描く)

写真1

監査法人で色々な経験を積んできたけど、そろそろ次のステップに進んでもいいかな・・・
そんな風に考えている方も多いと思います。監査法人で経験したからこそ見えてきた自分の進みたい道が見え始めたのではないでしょうか?この記事では、そんな皆さんに向けて、監査法人からの転職前に知っていただきたいことを厳選してお伝えします!

目次

3.あなたの「これから」を描いてみよう

4.それでも転職を選ぶなら。監査法人との関係は保ちながら卒業しよう

5.お世話になったクライアントにも礼儀を尽くしておこう

6.わたしのキャリアプラン

7.まとめ

3.あなたの「これから」を描いてみよう

(1)未来の姿を書き出してみる

前編でご紹介した方法で、これまでのキャリアを振り返ってみたら、次にこの先のキャリアプランや自分のライフストーリーを描いてみましょう。これも紙に書き出すことをお勧めします。過去のキャリアの棚卸しでは、例としてのフォーマットをご用意しましたが、これからのことなので、ここでは自由に書き出しましょう。「マインドマップ」の手法を使ってみるとよいでしょう。

「これから」については変に自分のプライドなどを意識してかっこいいことを書く必要はありません。自分の思いの丈を書き出して自分に素直になることがよいと思います。例えば「安定した企業で長く働きたい」「忙し過ぎない職場が良い」「お金を稼ぎたい」などがあってもよいでしょう。

これからの姿を描きながら、「本当に転職が自分にとって最適なことなのか」、「現在の職場でも達成できる自分の想いはないのか」、「転職にはまだまだ準備不足なことはないか」考えてみるとよいでしょう。

例えば、転職したい理由が「これまで忙しすぎたので残業の少ない職場で働きたい」、であれば今の監査法人内でも働ける方法が無いか検討してみるのもよいでしょう。グローバルな仕事がしたい、コンサルティング業務がしたい、税務業務がしたいという場合でも監査法人グループ内で異動をすることで、その目的がかなうこともあるでしょう。

(2)その夢は「監査法人では達成できない夢」なのか

繰り返しになりますが、監査法人は大変恵まれた職場です。一度、監査法人を卒業したにもかかわらず、また戻ってくる人が多いことがそれを証明しています。

もちろん監査法人以外でないと達成できない夢や目的が見つかったのであれば、その道を選び、監査法人を卒業するべきです。ですが「周りが転職し始めたから」「●年目になったからそろそろ」「転職した方がかっこよさそう」など、人の意見や周りの動向に流された安易な転職はお勧めしません

人間、どうしても他人の芝生は青くみえるもの。でも他人は他人、自分は自分です。

一度きりの自分の人生ですから、自分のなりたい姿を描き、自分のストーリーを描くことに誇りを持ちましょう。他人と比較せず、あなた自身のキャリアを輝かせてみましょう。

4.それでも転職を選ぶなら。監査法人との関係は保ちながら卒業しよう

(1)監査法人のスマートな辞め方

それでも監査法人を退職するならば、早めに上司やパートナーに相談しましょう。ご存知の通り監査法人は監査チームで業務を動かしています。あなた自身も複数のクライアントにアサインされているでしょうから、あなたの存在が欠けるだけで多くの監査チームに影響があります。ですので、転職を決めたなら早めに上司に相談をして、できる限り周りに迷惑をかけないようにしましょう。

また、今の監査法人を辞めるからといって仕事に消極的になったり、よそよそしい態度をとったりしてはいけません。まだまだあなたのキャリアは長いです。長いキャリアにおいてはどこでどのようなご縁に巡りあうかわかりません。それに最近では、採用において元の職場に照会をすることがよくあります。あなたの仕事ぶりが、どこでどのように誰に伝わるか分かりません。あなたの仕事は必ず誰かが見ているので、転職するからといって浮ついた態度をとってはなりません。今の職場はあなたを育ててくれた感謝すべき職場です。最後までプロフェッショナルとして仕事を完遂すると共に、学べることや吸収できることはすべて自分のものにしていきましょう。

(2)退職後の前職との関係構築について

そして退職後でもいつでも監査法人に連絡が取れる関係を築いておきましょう。どの企業に転職したとしても、前のメンバーと連絡が取れ、助け合い、支え合える関係を築くことは大変大事なことです。監査法人を退職するとなると「もう辞めるのだから前の職場のことは一切関係ない」と思うかもしれませんが、意外と困ったことが発生し「○○さんに相談できたら、、」「○○さん、このこと詳しかったよな・・・」と思うことがあります。

また前の職場のメンバーから「こんなことで転職先の会社のお役にたてると思うけどどうかな?」「このような話があるので、転職先の会社の方を紹介してもらえないかな?」などと依頼を受けることも十分あり得ることです。

何が起こるのか分からないのが人生です。いつでも前の職場に連絡が取れる関係、連絡が届く関係で卒業しましょう。

なおこっそり転職活動をして、「転職活動の結果、来月から来てほしいと言われたので、今月で辞めさせてください」という方を見たことがあります。これまで育ててくれた職場に対してそれはあまりに失礼です。今の職場に迷惑をかけないよう自分の業務の整理や引き継ぎ時間など数カ月ほどの余裕をみて、次の職場へ向かいましょう。中には上司に転職を伝えたところ上司から慰留され「監査法人を辞めるのを止めます」という方もいるようです。

5.お世話になったクライアントにも礼儀を尽くしておこう

監査法人を転職する際には、監査法人内だけではなくお世話になったクライアントにもきちんと挨拶をしておきましょう。

クライアントの立場からすると監査の現場に来ていた主要な公認会計士が監査チームを去ることはさみしいものです。間違ってもこっそり退社するのではなく、お世話になったクライアントにはきちんと監査法人を卒業すること、これから挑戦する分野のこと、などをお伝えすることがよいでしょう。

監査チームとして自社の決算を監査してくれたあなたが夢を目指して監査法人を卒業するのであればきっと応援してくれるでしょう。転職先の社名や業界を話せば「その会社には知り合いがいるよ。一言いっておいてあげるよ」「その会社とは取引があるので、これからもよろしく」など前向きにとらえてくれることも多いです。さらには「何かあったら次はうちにおいでよ」と言ってくれるクライアントもあるかもしれません。

わたしも独立後に、元クライアントの方から相談をもらったり、人のご縁をいただいたり、わたしの方からビジネスについて相談にのってもらったり、食事に行ったりと、以前監査でお世話になったクライアントとは濃い関係が続いています。

職場である監査法人同様、クライアントもあなたを育ててくれた恩人です。ぜひ長いお付き合いを心がけてみてください。

6.わたしのキャリアプラン

(1)大手監査法人からベンチャー企業の立ち上げ

わたしの場合は二次試験合格後、大手監査法人に入社しました。ただ4年ほどで辞めて友人とベンチャー企業を始めました。

当時は新興市場のIPOが非常に盛り上がっており、自分も「IPOってかっこいい。友人と会社をやればいきなり自分も取締役CFOだ!」と勢いに任せて監査法人を卒業してしまいました。深く考えることもなく本当に勢いでした。

(2)小規模な会計コンサルティング会社へ

ただ友人と会社をやると盛り上がるのが早い分、意見の食い違いも早く、1年もたたないうちに去ることになりました。

次に選んだのは小規模な会計コンサルティング会社でした。友人と会社を経営する際は転職活動も無かったので、この時が自分にとっての最初の転職活動でした。この際、紙に「自分のやりたいこと」、「なりたい姿」、「やりたくないこと」、「苦手なこと」を書き出し、最終的に「やはり自分は独立したい。自分の名前で、自分の力で仕事をしてクライアントに喜んでもらいたい」と思い、独立するために公認会計士として色々な経験ができる会社を探して転職をしました。

そのコンサルティング会社は会計コンサルティングと税理士法人があったうえに監査法人も併設されており、監査・税務・コンサルという3分野の経験が積めるという独立に向けて最適の職場でした。

社員も数名の会社で、クライアントも小規模なクライアントが多く、多くの経験が積めました。また公認会計士として現場の業務に加えていわゆる営業の経験も積めたり、セミナーの企画や出版の経験をしたりもできました。

(3)そして独立

このように非常に恵まれた環境でしたが、子供ができたことをきっかけに「あれっ、自分は独立したかったのでは。将来、子供に自分の仕事を何て伝えればいいのだろう」と思い独立に至りました。

ですので、

①試験合格後、多くの人と同様に大手監査法人

②ベンチャーに憧れ、ベンチャー企業へ

③独立のため、多様な経験を積む目的で小さな会計事務所へ

④独立

というのがわたしのキャリアプランです。今振り返ると最初の監査法人ではもっともっと経験を積んでおけばよかったな、本当に思っています。

7.まとめ

現在は、公認会計士にとって空前の売り手市場で、転職がしやすい時代です。転職が容易な分、短期で転職を繰り返す会計士を見かけることも多くなってきました。

しっかりとした目的をもった転職はよいと思いますが、安易な気持ちで転職をしてしまい、何かあるとすぐ転職を繰り返してしまう人は気付かぬうちに職務経歴が増え見栄えとしてあまり褒められるものではないこともあるようです。

安易に転職するのではなく、まずは転職する準備として以下の5つのポイントは抑えてみてはいかがでしょうか。

  • ①自分のなりたい姿をイメージする
  • ②これまでのキャリアを棚卸する
  • ③これからのキャリアストーリーを描く
  • ④転職を決めたのなら監査法人内で礼儀を尽くす
  • ⑤クライアントにも礼儀を尽くす

キャリアは一人ひとり異なって当然です。周りに振り回されずに、自分の人生、自分でハンドルを握って、自分らしいストーリー描いてみましょう。わたしのこの記事が、行く末に悩んでいる公認会計士の参考になってくれれば、いち先輩として嬉しく思います。

執筆者プロフィール

江黒 崇史(えぐろ たかふみ)
公認会計士 江黒公認会計事務所代表/株式会社E-FAS 代表取締役

1999年3月早稲田大学商学部卒業。
2001年公認会計士二次試験合格。
2001年10月から2004年まで監査法人トーマツにおいて製造業、小売業、IT企業を中心に多くの会計監査に従事。
2005年にITベンチャー企業の取締役CFOとして、資本政策、株式公開業務、決算業務、人事業務に従事するとともに、株式上場業務を担当。
2005年より株式会社アーケイディア・グループに入社。会計コンサル業務を中心にグループである税理士法人アーケイディア、清和監査法人の業務も担当。
2014年7月に江黒公認会計士事務所を設立し会計コンサルティング、IPOコンサルティング、M&Aアドバイザリー業務の遂行に努める。
2015年2月に株式会社E-FASを設立、代表取締役に就任しIPOコンサルティングやM&Aアドバイザリー業務に従事している。
またテラ株式会社、株式会社タウ、他複数社の社外役員を務める。

関連サイト

アドレナリン会計士江黒崇史のブログ
(※外部サイトに遷移します)

現場で働く会計士の声

現場で働く会計士の声 一覧

10問の質問に回答するだけで、
性格タイプやキャリア志向が明らかに!

診断をはじめる(無料)

新着記事一覧

執筆者一覧を見る

特集記事

公認会計士の資格に関するカテゴリーごとにまとめたページです。

会計人の人生観・仕事観を紹介「Accountant's Magazine」最新号

「Accountant's Magazine」は、著名な会計プロフェッションにスポットをあて、その人生観・仕事観を紹介。会計・経理分野に従事する人と仕事の将来像を提示する、読者と共に考えるヒューマンドキュメント誌です。今なら新規登録していただくと、「Accountant's Magazine」(WEB版)の全記事を無料で閲覧することができます。

新規登録をしてWEBマガジンを読む(無料)

公認会計士に会える

PARTNERS
学生インターン募集

10問の質問に回答するだけで、
性格タイプやキャリア志向が明らかに!

診断をはじめる(無料)

公認会計士、会計士補・試験合格者向け新着求人

公認会計士の求人一覧

公認会計士の転職成功事例

公認会計士の転職成功事例一覧

公認会計士 転職Q&A

公認会計士の転職Q&A

10問の質問に回答するだけで、
性格タイプやキャリア志向が明らかに!

診断をはじめる(無料)

マンガでわかる 会計士の転職

関連コンテンツ