■ 公認会計士試験合格後に「就職できない」は本当にあるのか?
(1)監査法人に内定をもらえない人の実例
「公認会計士試験に合格すれば監査法人に就職できる」と思われていますが、実は就職ができない「冬の時代」も存在しています。これは、公認会計士試験の合格者を増加させすぎた場合や景気が不透明の中、監査法人内での人員に余剰が生じ、就職市場が一部で飽和している場合などがあるためです。
こうした状況もあるため、公認会計士試験合格後に多くの人が就職することになる監査法人に就職するまでの一般的な流れを知っておくことは有用です。
最も一般的なのは、大手監査法人(PWC Japan有限責任監査法人、新日本監査法人、有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人)が、共同で「公認会計士試験 受験生 各位」宛にリクルート4法人協定を提出しているのでこちらの資料をもとに採用までの流れを把握しておくとよいでしょう。
リクルート4法人協定 2026年度の採用活動に関するお知らせ
https://www.shinnihon.or.jp/recruit/pdf/2026kyotei.pdf
上記の内容は、各大手監査法人のホームページから確認することができるかと思います(今回は新日本監査法人のリンクを拝借しました)。 監査法人から受験者宛にメッセージを送ることなどめったにない(おそらく1年に1度しかない)ことですので、必ず目を通しておくことが必要です 。
ざっと見てみると共通スケジュールとして試験が8月下旬の試験が終了してから、合格発表の11月下旬までの接触禁止。ただし、9月4日~9月10日までの法人イベントを開催(合格発表後はイベントの実施がない)。11月下旬から12月頭までの個別相談期間、12月上旬の面接期間を経て後に12月中旬に入社承諾となり、翌年1月頭か、2月頭に監査法人に入所という流れになる感じでしょうか。
この流れを見たときのポイントは、9月4日~9月10日までに開催される法人主催の採用イベントの参加が大事ということだと思います。しかもわざわざ合格発表後はイベントの実施がないと明記しています。
つまり、合格発表後はイベントを行う予定はないというのは、逆に言うと、この法人イベントの参加の段階で志望度が問われる、ということができそうです。
今の監査法人が売り手市場か、買い手市場かはわからないですが、確実に言えることは、監査法人に就職したいのであれば、まず受験生は監査法人との接触する機会を積極的に持つべきと言えます。
監査法人に内定をもらえない人の実例パターンを巷では、
留年経験があり、年齢が高い
面接でのアピールが弱い
監査法人のカルチャーに合わないと判断された
短答式合格後に複数回論文に失敗した既卒組
などなど、いろいろと言われています。そのことを否定するつもりはないのですが、 実は監査法人に内定もらえない組で最も多いパターンは、監査法人の個別イベントに参加しなかった、ということが最も多いと思います。
(2)「合格=内定」ではない
公認会計士試験に合格すれば、内定をもらえるわけではありません。
監査法人に就職するために最も大事なことは、監査法人側が発したメッセージを読み取り、その内容に沿って着実に行動を起こすことです 。
監査法人にはそれぞれ特徴がありますが、ネットの情報を取捨選択することができるので、その特徴から監査法人の雰囲気は十分に読み取れるかと思います。
OB、OG訪問はできればそれに越したことはないですが、接触禁止期間においては、以下のようなメッセージがあります。
「各法人のマイページやHPに多数リクルート関連の動画やWeb冊子を掲載しています。この期間にご活用ください。」
「エントリーシートは設問を事前に公開する目的で10/1(木)以降入力可能な状態とする予定です。期限は合格発表後ですので、各法人からのアナウンスをよくご確認ください。期限前にご提出いただいた場合でも、期限までの何度でも修正可能です。」
こうしたメッセージに従った行動を行うのがベストかと思います。
差別化を図りたいのであれば、やはり監査法人の個別イベントに参加するということに尽きるかと思います 。
OB、OGに訪問しても大企業の一員に過ぎないので、まず社内で影響力はありません。大手監査法人は、同じ大手内でも知らない人同士が大多数ですし、行う仕事は全体のごく一部に限られるので、HPやリクルート関連の動画を見ることが一番だと思います。
■ 監査法人に落ちた後、どうなる?実際のキャリアパターン
上記のようなことを説明しましたが、それでも監査法人を落ちた場合の話をしたいと思います。また、この内容は、公認会計士試験合格後、そもそも監査法人を選択しない場合の試験合格者の選択肢ということもできます。
(1)就職浪人という選択
1年ほど空白期間を取り、翌年再度監査法人へチャレンジするケースもあります。実際そのような人を知っています。ただし、空白期間中の行動内容が問われます。
(2)会計事務所・中小監査法人への進路
地方監査法人や中堅事務所は、合格者の受け皿となっています。実務経験を積めば、大手への転職も可能です。会計事務所・中小監査法人はリクルート協定には関係ないので特に拘りがなければ就職活動するのはありです。
会計事務所では、税務知識の習得、中小監査法人では多くの仕事を任されやすいというメリットはあるかと思います。
(3)一般事業会社の経理・財務職
上場企業の経理部門では、採用担当者が知っていればという条件付きですが、「公認会計士合格者」を高く評価する場合もあります。以下のスキル・資質が評価されます。
① 簿記・原価計算の知識が豊富
② 財務諸表分析力に期待
③ 内部統制の知識に期待
④ 法規遵守意識は高そう
⑤ 上記①~④を実務で発揮してくれる資質
特にスタートアップ企業などでは「会計のわかる人材」が常に不足しています。若手CFO候補や管理部門の中核候補として重宝されますが、他方で会社はすぐに退職されてしまうというリスクも会社は警戒しているのでこの辺りを認識した上での入念な準備が必要となります。
(4)金融機関やコンサルティング会社への就職
公認会計士試験を通じて身につけた知識は、金融機関やコンサルティング会社において遺憾なく発揮されることが多々あります。
証券会社の主幹事業務であれば、会社法や原価計算の知識は必須です。M&Aやコンサルティングの場においても財務、会計、会社法、経営に関する知識を駆使して業務を行うことがあります。
ジャスネットコミュニケーションズでは、各分野で活躍している公認会計士の仕事紹介を行っているので一読しておくとよいでしょう。
会計士試験撤退からの大逆転 project「sien」
■ 公認会計士試験合格者が就職できる場所は意外と多い
年齢が若いほど、特に学生合格であるほど間違いなく有利です。「新卒ブランド+公認会計士試験合格」というブランドを得ることが最も有利な選択肢となることは間違いありません。
もっとも就職市場では、監査法人以外の需要の広がりがあるのは確かなので、監査法人にこだわる必要はありません。最近では以下の業界で高い需要があるようです。
① コンサルティング
② M&Aアドバイザリー :戦略系・会計系・IT系のコンサル会社では、論理的思考と数字に強い人材として高評価を得ています。
③ 金融業界(銀行・証券・証券取引所) :監査法人以上に高年収が見込めるフィールド。財務諸表の読解や企業分析に強い人材は当然重宝されます。
こうしたキャリアの積み方については、以下のリンクを参考にしてください。
公認会計士のキャリア|転職先17種類を徹底解説!【業務内容・やりがい・独立可能性・年収 比較】
https://career.jusnet.co.jp/cpa/cpa_114_01.php
■ 監査法人に落ちたが成功した会計士たち
表題の言い方が適切かどうかはわからないというのが正直なところです。
公認会計士試験に合格し、ある程度実務経験を積むことさえできれば、監査法人を除く実社会では、合格後監査法人に就職したか否かで不利になるようなことはまずないからです。
強いて言えば、公認会計士資格保持者間での争いで有利不利になるということでしょう。大手監査法人に就職するということは一見すると勝ち組に見えますが、ただ多くの人が進んでいる道に進んだだけ、という見方もできるので、個人の安心材料にはなりますが、スキルの差別化は図れません 。
監査法人に就職せずに一般事業会社に行った人が、公認会計士資格がなくてもやっていけると自覚して修了考査を放棄したなんて人も実際には存在しているので、こうした現実もあるということは頭の片隅にとどめておいてもよいかもしれません。
差別化を図るためにどのような公認会計士になるべきなのかということは、地道に個別事例を探っていくのが最も手っ取り早いかと思います。
■ 就職できなかったときに考えるべき「メンタルケア」
(1)焦らないことが第一
周りの試験合格者が監査法人に就職しているのに自分だけは…ということはあるかと思います。しかし焦らずに、公認会計士の資格を活かす一般事業会社などに就職する道を考えてみるのはよいでしょう。いずれチャンスは訪れますので、その時まで雌伏の時と割り切って対応することが必要です。
(2)他人と比較しない
今は、ネット時代ですので、公認会計士にもいろいろなキャリアの人がいます。そのような人々の事例、声を一つ一つ拾って、各人がどのようにキャリアを築いていったかの事例を拾っていきましょう。
■ 合格後のキャリア戦略を立てよう
公認会計士に合格した人は、以下の点に留意しましょう。
① 「監査法人に入ること」だけがゴールではない
② 会計士資格は「思考と信頼の証明」
③ 活かし方次第で、一生使えるキャリア資産になる
公認会計士試験に合格しても、「就職できない」ことは実際に起こり得ます。しかしそれは「終わり」ではなく、次の選択肢の始まりでもあります。
監査法人以外にも多くの道が広がっており、自分の強みや志向性に合ったキャリアを見つけることが可能ですので、何が自分にとって向いているのか目の前の状況を捌きながら前に進んでいってください。
会計士試験撤退からの大逆転 project「sien」
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