公認会計士に向いている性格、向いていない性格

公認会計士を目指すにあたり、「自分の性格は向いているのか?」と不安に思われる方も多くいらっしゃると思います。
ここでは、公認会計士の資格の勉強をする上での適性と、職業としての適性という観点で、多くの公認会計士合格者を指導してきたカリスマ講師の国見健介先生に解説していただきます。また、タイプ別に公認会計士の仕事内容とそれぞれの仕事に向いている性格についても分析。合格後のキャリアプランにも役立ちます。
1.公認会計士“試験”と、公認会計士の“仕事”に向いているということ
資格の勉強をする上での適性と、仕事として適性があるかどうかというのは、同じようで少し異なります。性格だけではなく、環境も含めて、公認会計士に向いている人はどんな人なのかを解説します。
(1)公認会計士試験の勉強をする上で向いている人
公認会計士試験は、難関試験といわれますが、実務的な科目なため、一つひとつの論点が難解というよりは、学習範囲が膨大なことが原因といえます。そのため、最も求められている能力は、継続する力だと感じます。自己管理をしっかり行い、学習を計画通りに進めていくためには2年から3年程度の学習期間継続することが欠かせません。
また、思考力も重要です。物事のロジックを理解する力が求められます。ただ、この思考力は公認会計士の学習をしながら身につけていけば問題ありませんので、公認会計士になりたいという強い想いをもって、必ず継続するという覚悟がある方に向いているといえます。
ただ、そういう意味では、数字に強い、論理的思考力が高い理系の人に向いているともいえます。公認会計士は合格者の大部分は文系学部出身の方ですので、もう少し理系の方で会計士を目指す方多くなると、人材の多様性という意味でも大きなメリットがあると思います。
よく聞かれる質問としては、「数学の知識はどの程度使いますか」というものもあります。結論から伝えますと、公認会計士の試験には数学的要素はほとんどいりません。しかし、会計学、租税法などでビジネスの数値を扱いますので、数字は嫌いでないよという方のほうが向いているといえます。
2.公認会計士の仕事に求められる適性とは?タイプ別 公認会計士の仕事の適性
一言で「公認会計士の仕事」といっても、業務内容は多岐にわたります。職業としての公認会計士に求められる基本的な適性に加えて、どのような志向性を持っているかによって仕事を選ぶ参考にしてみてください。
(1)監査法人
公認会計士の独占業務である監査業務は、ルールのある中で、財務諸表への準拠性を判断する業務です。そのため、高度な専門知識と決められたルールにのっとり、正確に業務をこなせる方に向いているといえます。
(2)独立開業
独立開業した場合には、顧客を自分で獲得しなければいけないので、営業力が欠かせません。また、人を雇って組織を作っていくことになるため、マネジメント能力も不可欠です。営業力とマネジメント能力に加え、クライアントに価値を提供する専門知識も必要といえます。また、クライアントや仲間としっかりとコミュニケーションを取っていくことが求められます。
監査法人に勤めているよりも求められる力は多いですが、一国一城の主として活躍できる可能性は無限大ですので、ぜひチャレンジしてほしいと思います。
(3)経営コンサルタント
経営コンサルタントとして活躍するためには、分析力、創造力、論理的思考力、課題解決力、プレゼン力などの能力が求められます。また、一般的にはハードワークですので、体力も重要だと思います。
毎回創造的な業務で価値を提供することに魅力を感じる方には、お勧めのキャリアといえます。
(4)大企業の経理・財務
大企業の安定性と専門的な知識を活かして仕事をすることを求める方にはお勧めのキャリアといえます。大勢のチームで業務を行うため、協調性や既存のルールを守っていく力が求められると思います。
(5)ベンチャー企業CFO
ベンチャー企業のCFOとして活躍するためには、マネジメントに求められる資質が欠かせません。リーダーシップ能力、戦略立案力、課題解決力、先見性など多くの力が求められます。自らがビジョン向かって、リーダーとして活躍したい方には、お勧めのキャリアだと思います。
(6)金融機関
金融機関は、どのような金融機関に属するのかによって大きく求められる能力が変わります。日系の銀行や証券であれば、大企業の経理財務と似た力が求められますし、ファンドや外資系金融機関であれば、経営コンサルタントやCFOと似たような力が求められることが多いと思います。
3.まとめ
公認会計士は、キャリアの選択の幅が非常に広いので、ご自身の特性や志向に合わせたキャリアを選択しやすいという特徴があります。実際に公認会計士として働いている人たちの性格は当然ながら千差万別。自分の性格や強みを生かしたキャリアを選択していくことが大切です。
その幅広いキャリアの中でも、ビジネスの数値を扱うということは共通していますので、数字に強いというのは、共通する大切な力といえます。
ぜひ、ご自身に最も合うキャリアを選んでください。


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