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Accountant's magazine vol.66

-アカウンタンツマガジン-
2022年07月01日発行

会計プロフェッションによるコラム「Accountant's Opinion」

「今、監査法人の設立要件自体から見直すような議論が求められている」

大原大学院大学 会計研究科 教授
青山学院大学 名誉教授 博士(プロフェッショナル会計学)八田 進二

2022年通常国会に提出、審議されていた公認会計士法の改正案が、5月11日に可決、成立した。同法の改正は、07年以来15年ぶりのことだ。

今回の法改正は、直接的には金融庁の「金融審議会公認会計士制度部会」の報告(22年1月4日)がベースになっているが、それに先立って同「会計監査の在り方に関する懇談会」で議論が進められ、21年11月12日に論点整理「会計監査の更なる信頼性確保に向けて」が公表された。私はその“在り方懇”の座長を務め、報告書の作成にも中心的にかかわった。

法改正に際しての金融庁の主たる問題意識は“上場会社の監査における信頼性確保”にあった。監査対象の拡大に伴い、法定監査の対象となる企業・団体の数は増加している。とはいえ、やはり不特定多数の利害関係者に影響を及ぼし、海外の投資家も多くいる上場企業や大会社の財務報告の信頼性を保証する会計監査の重要性は、他とは比較にならない。その信頼が揺らげば、日本の資本市場が適切に機能を果たすことも困難になるだろう。論点整理では、上場会社の監査を行う監査法人に対しては、それ以外の法人に比して、より高い規律を求めている海外の状況も踏まえ、「体制、リソース、情報提供等の観点から、我が国においても同様に、より高い規律付けを検討すべきである」と提言した。

今回具体化されたのが、上場会社監査についての「法律上の登録制」の導入である。従来、日本公認会計士協会が自主規制としての「上場会社監査事務所登録制度」を運用してきた。私自身、米国での対応を参考に、この制度の導入を提唱した一人であったが、“準則主義”の弱点は否めなかった。つまり、実質的な審査などはなく、一定の基準を満たせば登録できる。業務改善命令をはじめ金融庁による監査法人に対する処分は毎年行われている一方、16年度以降、この制度の登録取り消しはわずか2件に過ぎず、機能しているとは言い難い現状があった。

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大原大学院大学 会計研究科 教授 青山学院大学 名誉教授  博士(プロフェッショナル会計学) 八田 進二

大原大学院大学 会計研究科 教授青山学院大学 名誉教授 博士(プロフェッショナル会計学)八田 進二

慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得。博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)。青山学院大学経営学部教授、同大学院会計プロフェッション研究科教授を経て、名誉教授に。 2018年4月、大原大学院大学会計研究科教授。日本監査研究学会会長、日本内部統制研究学会会長、金融庁企業会計審議会委員等を歴任し、職業倫理、内部統制、ガバナンスなどの研究分野で活躍。

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