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Accountant's magazine vol.20

-アカウンタンツマガジン-
2013年10月01日発行

公認会計士「研修出向制度」の未来は?

「受け入れ企業、監査法人双方に、新たな気づきと刺激が生まれた。この制度をなくすのが究極の目標」

日本CFO協会 専務理事・専務局長
株式会社CFO本部 代表取締役社長谷口 宏

2010年から日本CFO協会と新日本有限責任監査法人がスタートさせた、事業会社への公認会計士「研修出向制度」の第1期出向者が、このほど3年間の任期を終えた。新たな制度は意図した成果が挙げられたのか、同協会の専務理事・事務局長の谷口宏氏に話を聞いた。

3年前はリーマンショックの影響で企業業績は大きく悪化し、監査のマーケットも縮小して、会計士が“余る”環境にありました。一方で企業の側は、IFRSをはじめとする新しい会計基準への対応などを余儀なくされているにもかかわらず、経理・財務に関する高いスキルを持った人材の不足が否めなかった。このミスマッチを埋められないかというのが、本制度を始めることになったきっかけです。監査法人としては、将来よりよいパートナーとして活躍してもらうために、企業活動の現場を知ってもらいたい、という考えもありました。

とはいえ前例のない取り組みで、文字どおり手探りのスタート。一部には「体のいい会計士のリストラでは?」という誤解もあったりして、果たして3年後に制度がどうなっているのか、不安があったのも事実です。

しかし結論を言えば、受け入れ企業からは想像以上の評価をいただき、出向した人たちも実り多き経験を積むことができました。当初の目的は、とりあえず達したといっていいでしょう。

新日本監査法人からは「第1期生」として37人が出向し、任期を終えて7月に法人に戻りました。ただ「本人の希望により出向先に残ることを妨げない」という制度の趣旨に沿って、任期終了後、そのまま企業に“転籍”した人も何人かいました。

有能な人材が戻らないのは監査法人にとって痛手かもしれませんが、そうしたケースはスタート時から織り込み済み。むしろ「出身の会計士が産業界で一定比率活躍し、将来CFOなどの任を担うといった事例はウエルカム」というお話でした。

ちなみに監査法人では、「一般企業への『研修出向制度』を積極的に取り入れており、出向者には様々な可能性がある」というアピールが、優秀でやる気のある人を採用するうえで、かなり訴求力を持つそうです。

いずれにせよ、改めて感じるのは、会計士の活躍の場は想像以上に広いということ。

先ほども述べたように、制度をスタートさせた当時、会計士に対する企業側のニーズが高かったのは、IFRS対応でした。しかし内外情勢の変化もあって、各企業のIFRSプロジェクトは縮小される傾向が強まりました。その結果、出向2年目くらいから通常のライン業務などに携わることが増えたのですが、そこで受け入れ企業の側が「会計士はいろんなことができる」ことに気づいたのです。

例えば海外子会社を含めた経理規定や原価管理の見直し業務とか、会計士が未経験で不得意だといわれる国際税務など税務関係のチームに加わった人も、けっこういました。そうやって決算や監査関連だけでない、幅広い仕事の場を与えられても、きっちり仕事ができる。本人たちも「大いに刺激ややりがいを感じた」というケースが数多く生まれています。

面白かったのは、「監査法人にいれば当たり前のスキル」が評価された、という話。会計監査というのは一つのプロジェクトなので、それぞれのプロセスを踏まえて先々のことまできっちりスケジュールを定めたうえで、問題解決を図っていきます。会計士はそうやって仕事を進めるよう、たたき込まれている。だから、例えば上司に進捗具合を尋ねられた時、「この計画の、この段階です」と明確に答えることができます。実はそれは、一般企業では、必ずしも「当たり前」ではなかったりするわけです。そんな気づきもまた、彼らにとってはいい刺激になっているようです。

刺激を受けたのは出向者の側だけではありません。受け入れた職場からは、「会計士の知識や仕事の進め方に大いに触発され、特に若手メンバーの意識の底上げが図られた」という声が多く寄せられています。

この「研修出向制度」のいいところは、単独でどこかに行くのと違って、いろんな企業の事例を共有できるという点にもあります。

出向者には、企業会計などに関する講座(定期研修)が受けられるほか、1年目に、「蓼科会議」と称する1泊2日の全体合宿が用意されています。そうした場で、他の出向者と情報交換することで、より世界が広がると同時に、自らの立ち位置をもう一度しっかり確認することができるのです。

おかげさまで、3年間で制度の認知度は高まり、受け入れてくれる企業も業界大手からベンチャーまで、ずいぶん裾野が広がりました。新日本監査法人からはこの7月、「第4期生」39名が新たに手を挙げ、出向者数は延べ120名弱になりました。ただし、制度に対する本当の評価は、今回監査法人に戻った人たちが、これからどんな活躍をしてくれるかにかかっている、と私は思っています。「さすがに現場を知っている人の監査は、ひと味違うね」と企業にも言ってもらえるよう、大いに頑張ってもらいたいですね。

我々の究極の目標は、公認会計士が監査の殻に閉じこもるのではなく、欧米並みに企業の経理部門も含めたいろんな分野に進出し、活躍すること。そんな環境が実現すれば、もしかしたらこの制度は歴史的使命を終えるのかもしれません。

その日が来るまで、制度のさらなるブラッシュアップや、研修も含め出向者が企業の中でよりパフォーマンスを上げられるためのサポートに、今後も力を入れていきたいと考えています。

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Profile

日本CFO協会 専務理事・専務局長 株式会社CFO本部 代表取締役社長 谷口 宏

日本CFO協会 専務理事・専務局長株式会社CFO本部 代表取締役社長谷口 宏

1989年、東京大学経済学部卒業。住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、人事、採用、教育の企画運営、企業金融分野を担当。2000年、日本CFO協会を創設し、専務理事に就任。国際財務幹部協会連盟(IAFEI)会長も務めている。

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