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Accountant's magazine vol.42

-アカウンタンツマガジン-
2017年06月01日発行

会計プロフェッションによるコラム「Accountant's Opinion」

第20回「国家を含むあらゆる組織・事業体に、内部統制報告制度を導入すべき」

青山学院大学大学院
会計プロフェッション研究科教授・博士八田 進二

国会議員には珍しく、会計に造詣の深いある代議士に、「先生、日本にも“会計社会”が根付くよう、頑張ってください」と話をしたことがある。答えは、「おっしゃりたいことはわかります。でも、そういうことを有権者に訴えても、票にはならないんですよ」というものだった。我が国が“会計後進国”であることを、今さらながら痛感させられた実話である。

だが、“後進国”に住まうことでどんなリスクに直面しているのかは、認識すべきではないか。国の借金ともいえる日本の政府債務残高は、1300兆円を優に超えている。にもかかわらず、ここ数年の国家予算は、歳入50兆円に対して歳出100兆円という水準で推移しているのだ。大借金を抱えながら、さらに収入の倍の支出を続けていれば、確実に自己破産になる。健全な“会計社会”とは、少なくともそうしたバカげたことを許さない世の中のことなのだ。いずれにせよ、こんな滅茶苦茶が罷り通るのは、国や政府の中枢に会計の重要性を認識している者がほとんどいないからにほかならない。

ところで、本来お手本にすべき企業会計は、近年その領域や役割を拡大させている。例えば、大学の商学部や経済学部で教える会計といえば、簿記、財務会計、管理会計、それに監査、税務会計といった科目だ。実際の経済活動、企業活動に照らせば、これらの科目の内容はすでに終了した営みの顛末・結果の報告、すなわち“事後的対応”である。

これに対して、このところ非常に重視されるのが、リスク管理、内部統制、コーポレート・ガバナンスといった、いわば“事前的対応”だ。簿記は、経済的事実を認識し、測定し、記録する行為である。ところが、企業側が組織的に不正を働いた、つまり認識の段階で嘘をついていたら、後の数字も虚偽となる。最終的な結果をどんなに引っくり返しても、事実を見抜くことは難しい。だから、今述べた事前的な対応によって、健全なディスクロージャーを担保しようというのである。

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Profile

青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科 教授・博士 八田 進二

青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・博士八田 進二

慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(プロフェッショナル会計学・青山学院大学)。2005年より現職。現在、金融庁企業会計審議会委員、金融庁「会計監査の在り方に関する懇談会」及び「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」のメンバーを兼務し、職業倫理、内部統制、ガバナンスなどの研究分野で活躍。

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