2016年2月22日
マイナンバー法が施行され、国民一人一人に番号の付与が行われました。同制度について、会社は従業員の個人番号を取り扱う事業者としての実務対応に追われていますが、個人番号に比べ話題になることが少ない、法人番号も重要です。税理士も大きく関係する法人番号に関する知識を整理しておきましょう。
法人番号は、会社などに割り振られる13桁の番号。平成27年10月と11月に都道府県単位で発送を完了し、「国税庁法人番号公表サイト」等で公表されています。
サイトでは、株式会社や持分会社、非営利法人、税理士法人等の法人を番号や商号、所在地等で検索できます。法人情報の画面では、番号と商号、所在地が表示。また、これらについて番号指定後の変更履歴もわかります。制度開始から年月を経るにつれて、サイトの情報量は多くなっていくことになるでしょう。
法人の情報を公開する制度としては、登記による公示があります。番号公表サイトの情報量は登記簿には及びませんが、法人の実在性はほぼ確実に確認することができます。所在地や商号の変更履歴も会社の状況を知るためのヒントになるはずです。
マイナンバー制度への対策というと、従業員やその家族の個人番号の管理、個人情報漏えい防止が話題に上ることが多いようです。その点で、法人番号と個人番号との最も大きな違いは、法人番号が原則として全て公表され、誰でも自由に利用できることです。
自社の法人番号を外部に提供することも多くなっています。たとえば、名刺やホームページ、広告に自社の番号を記載する企業はすでに多数あります。取引先等から番号を聞かれた際、自社の番号を教えること自体に特段の危険はないため、従業員が戸惑うことがないよう指導しておきたいところです。
マイナンバーは社会保障・税関連の制度です。税理士は申告納税の際の番号記載などの実務を覚えなくてはならないのは当然ですが、顧問先に番号制度について積極的に情報提供することも求められます。
法人番号に関しては、情報漏えい防止のような守りの対策ではなく、会社業務の効率化等、会社経営にプラスとする視点こそ必要といえます。国税庁は、法人番号特有のメリットとして「民間による利活用を促進することにより、番号を活用した新たな価値の創出が期待される」ことを挙げています。取引先等の法人番号を利用した入出金管理システムの導入等の業務効率化策、新規取引先の簡易調査、営業先の選定などマーケティングの方策としてなど、法人番号を便利に使うためのアドバイスも、税理士が行うことができるのではないでしょうか。