2015年1月13日
転職を考える税理士の間で、一般企業への入社を検討する方が増えていますが、税理士事務所の勤務税理士として働きながら、一般企業の一員として経営にコミットする方法もあります。 それは税理士や会計士が役員となり、取締役と共同して計算書類を作成する会計参与です。
2006年施行の会社法で導入された会計参与ですが、設置企業は未だ多いとは言えないようです。
少し前になりますが、中小企業庁が平成22年に8000社を対象に実施したアンケートでは、会計参与を「既に導入」した企業と
「今後導入する予定」の企業合計が9.8%。「導入は考えていない」が 42.6%。「制度を知らなかった」が 27.0%となっています。
しかし、注目すべきは会計参与を依頼している会計専門家です。「税理士」が 50.4%と最も多く、「税理士法人」が 19.4%。「公認会計士」が 25.2%で、
約70%の税理士が関与していることが分かります。現在は制度の周知は以前よりも進んでいるとも考えられ、
将来性は決して軽視できるものではないでしょう。
会計参与は決算書の信頼を高めるために有用です。
信用保証協会をはじめ、都市銀行、地方銀行、信用金庫等の金融機関では、会計参与設置企業等に対する優遇金利の導入などが進められています。
融資の際だけではなく、公的制度では建設業の公共事業への入札の際、経営事項審査でのポイントが加算されるなどのメリットがあります。
また、制度の周知が進めば、民間企業同士の取引、提携の際の与信でも、高評価を得られることが期待できるでしょう。
新会社法が施行された頃、税理士の間で会計参与への就任をビジネス化し、
複数の会社に役員を派遣するコンサルティングファームのようなビジネスモデルが出てくるのではないか、という予測を立てる方もいました。
今のところ普及は緩やかではあるものの、制度設計自体に税理士の存在が前提となっている会計参与は、
税理士が企業内で活躍するモデルケースを提供していることに間違いはありません。会計参与は外部監査が義務になっていない中小企業の内部統制や、
内部監査の役割を担い、財務指導を通じて経営改善に導くCFO的な要素もあります。
一般企業への入社も含めて活躍の場を探している税理士の方々にとって、会計参与就任に積極的な会計事務所、税理士法人も大きな候補となります。
会計参与就任が、会計専門家としてのキャリアアップを考える上で、大きな可能性を与えてくれるのではないでしょうか。