2014年7月25日
日税連の平成25年度の登録事務事績によると、同年度末の税理士登録者は、前年度比776人増の7万4501人。
そして、注目すべき数字が女性税理士の数です。
女性税理士は、平成24年度にはじめて1万人を突破して1万39人となりましたが、平成25年度は1万312人とさらに増加しています。
現在税理士のうち女性は約14%ですが、今回増加した776人の税理士のうち、273人が女性。
増加数だけをみると、35%が女性ということになり、税理士全体で女性の割合が増えている現状が見て取れます。
女性の存在感が高まることで、税理士を雇用する事務所においても、女性税理士をどのように活用するか、ということが喫緊の課題となってくるでしょう。
「女性の積極的な登用」という言葉を聞いて、思い出すことはないでしょうか。これはいわゆる「アベノミクス」の重要施策でもあります。
安倍政権は、「女性が輝く日本」をキャッチフレーズに、2020年に25歳~44歳の女性就業率を73%にする(2012年時点68%)こと、
指導的地位に占める女性の割合を30%程度にすることなどを目標に掲げています。
今後、女性の採用、継続雇用を後押しする施策の実施が期待されるところです。
女性の採用に積極的な会計事務所は増えています。
たとえば、都内の男性所長をトップとするある中型会計事務所で、資格者、科目合格等の非資格者含め、
20人程度の職員がほぼすべて女性、という事例を目にしたこともあります。
所長にお話をお伺いすると「同じ給与で募集すると女性の方がよい人材が来る」とアッサリ。
一部には、そういった傾向もあるのかもしれませんね。
いずれにしても、戦略的に女性を積極採用する会計事務所が存在することは覚えておくべきでしょう。
そして、税理士の採用においても、社会全体の女性の活躍が大きく影響します。
税理士の顧客となる会社経営者には、圧倒的に男性が多く、経営者と税理士が「あうんの呼吸」でやりとりするために、男性が重用される現実がありました。
女性経営者が増えれば、女性税理士の需要は増えると考えられ、会計事務所の人事戦略も変化するでしょう。
前出の、女性を積極採用する会計事務所の所長に、
良い女性税理士を採用するコツをお聞きしたところ「フレキシブルな勤務体制を整備すること」だとおっしゃっていました。
女性の就職では、出産や育児等、時間の制約がネックとなることが多いのが現実です。
フルタイム・残業ありの働き方ができない女性の能力を引き出す体制を整備することが、事務所の収益につながるとの確信を持っているようでした。
生産性の高い組織をつくるには、労働力を適正に配置する必要があります。
付加価値の高い得意分野があれば、むしろ時間的制約がテコとなり、収益性の高い組織が生み出される可能性もあります。
女性税理士の転職は、専門職としての新しい働き方が起こりつつあるということを意識しながら、時間的制約がある場合も気後れすることなく、
自分の状況をはっきりと説明した上で、堂々と強みをアピールする必要がありそうです。