2014年9月8日
就職・転職の場面で、あらゆる業種で求められる「コミュニケーション能力」。まず会話が思い浮かびますが、もうひとつ基本的なコミュニケーションとして、文章があります。
税理士は様々な場面で文章を書く機会があり、文章力は意外と重要なスキルになります。
会計事務所の多くは、顧客にむけて税制改正のポイントや、経営分析の方法、資金繰りに関する情報などを定期的に提供しています。
また、顧客へ文章を提供する機会は、ITの発達により、ホームページ、ブログやSNS、メルマガ等、格段に増えました。税理士は知識を提供する仕事であり、顧客に情報提供することで継続的な関係性を保つマーケティング手法との親和性が高い業種なのです。
これらの文章は頻繁に更新、配信されることで効果を発揮します。そのため大量のコンテンツが必要となり、所長だけでは手が回らず執筆を勤務税理士が担当するケースも多くなります。
その他にも、税理士には税務業界紙や雑誌記事の執筆依頼もあります。これについても、所長税理士名義の記事でも、
実は勤務税理士が書いているなんてことも非常に多いのが実情。勤務税理士は、執筆だけでなく、編集者とのやり取り、ゲラのチェックなど、記事が出来上がるまでの過程をひと通り行わなければなりません。
専門家向けに書く論文のような文章と、一般向けに書く文章では求められるものが異なります。もちろん税法上正しいことを書かなくてはならないのは共通していますが、対象となる読者によって用語や文体などを変える必要があります。
たとえば、法人税務で当たり前に使う「損金」という言葉でさえ、一般にはそれほどなじみがありません。税法上の厳密な用語でなくても「○○は経費で落とせる」といった噛み砕いた表現を適宜使ったほうが、キャッチーで読みやすい文章になります。
そのほか、「所得控除」と「税額控除」の違いのように、税理士同士であれば注釈の必要がなくても、一般の人は知っているようで知らない用語は多いものです。身近な例を使ったケーススタディなどにも、センスが必要です。書き手には、知識だけではなく読む人の立場に立って書くスキルが求められるのです。
勤務税理士の文章力は、あるに越したことはないものの、短い採用試験ではわかりにくいもの。求人広告においても、条件として提示していないことが多いと思われます。そのため、文章力のアピールは、求職者から積極的に行う必要があります。
勤務時に執筆した雑誌記事、顧客レポート、ネット上のコンテンツのURLを経歴として提示することで、「そういえば、うちにも似たような業務があるな」と、事務所の隠れた需要を顕在化させることも期待できるでしょう。