2015年7月28日
現在、税理士業界で最も発展が見込まれる業務は相続業務でしょう。相続税の基礎控除引き下げにより、納税義務者は大幅に増える見通しです。納税義務者がどれくらい増えるのか、ということについては地域の違いもあるものと思われます。
そこで、従来の制度において、関西の相続税業務にはどれくらいの市場規模があるのか、ということについて調べてみましょう。
国税庁が昨年12月に公表した、「平成25年分の相続税の申告の状況について」によると、日本全国で、平成25年中に亡くなった被相続人数は約 127 万人、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約5万4千人で、課税割合は 4.3%となっています。
相続財産の課税価格は 11 兆 6,253 億円で、課税された税額は1兆 5,367 億円。
被相続人1人当たりの課税価格は2億 1,362 万円、被相続人1人当たりの税額は 2,824 万円となっています。
次に、関西地区を管轄する大阪国税局の相続税申告状況を見ていきます。
同局管内の、25年中の被相続人数は約20万1千人、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約9千3百人で、課税割合は4.6%となっています。
そして、相続財産の課税価格は2兆1,921億円で、課税された税額は3,720億円、被相続人1人当たりで、課税価格2億3,536万円、税額3,994万円となっています。
大阪国税局管内の相続財産は、1人当たりの課税価格や税額等の項目で、全国平均よりも高い数字を示しています。
そして、課税ベースの観点から重要な数字が、従来の制度でどれくらいの割合で相続税が課税されるか、という課税割合です。全国税局・国税事務所と比較してみましょう。
札幌国税局 1.8%
仙台国税局 1.8%
関東信越国税局 3.8%
東京国税局 7.4%
金沢国税局 3.3%
名古屋国税局 5.9%
大阪国税局 4.6%
広島国税局 3.1%
高松国税局 3.1%
福岡国税局 2.3%
熊本国税局 1.8%
沖縄国税事務所 3.3%
東京の割合が抜きんでていることは否めませんが、大阪国税局は、東京、名古屋に次ぐ高い課税割合を示しています。課税ベース拡大後、新たに課税対象になる者も、高い増加率を示すと予想でき、市場は大きく拡大しそうです。
関西圏では、相続業務の拡大を意図し、人材への投資を行う税理士事務所・税理士法人が増加しています。そこで求められるのは、土地や家屋など、資産税評価の理論面だけではなく、相談業務やコンサルティングのスキルです。
普遍的な税法の知識に加え、地域の不動産の実情について知識を持っている人材、金融機関のリテール業務など、資産家のコミュニケーションを多く経験した人材等、プラスアルファの経験・スキルがあると評価が高くなります。