2015年10月15日
国税庁は7月1日、平成27年の路線価を発表しました。財産評価の基準となる路線価の変化は、言うまでもなく税理士の相続税業務に深く関連します。今回は、全国の数値とともに、とくに大阪の数値の変化に注目し、税理士・公認会計士に与える影響について考えてみたいと思います。
平成27年分の全国路線価の平均値は、前年比0.4%マイナスで、7年連続の下落となりました。しかし、下げ幅は0.3ポイント縮小しています。近年指摘されていた、地価の「下げ止まり」の傾向が鮮明になっているといってよいでしょう。
都道府県別で路線価の平均値の伸びを見ると、宮城が2.5%増でトップ、福島が2.3%増と、被災地における地価の回復が続いています。そのほか、平均値が前年比プラスとなったのは8都道府県で、東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知、京都、沖縄、そして大阪も0.5%の上昇となりました。
平均値でプラスを記録した大阪では、いわゆる「一等地」の路線価も、上昇傾向が顕著となりました。主な路線を見ると、大阪市北区角田町(御堂筋)が10.1%増、北区大深町(JR大阪駅北側)は10.3%増、天王寺区悲田院町(谷町筋)が12.8%増、阿倍野区阿倍野筋1丁目(あべの筋)が10.2%増と、「10%超え」の地域が出ています。
大阪都市圏での上昇の要因として、再開発地区などを中心に、不動産ファンドへの外国人投資家の動きが盛んであったことが挙げられています。大阪の地価上昇傾向が、今後も続いていくのか、投資家の動きが注目されます。
近年の地価上昇により、不動産関連業種の業績が上がるのはもちろん、不動産を所有する企業も含み益が拡大します。担保価値向上により投資が増え、需要が拡大し、その効果が広く波及することで、地域全体で企業活動が活発化し、それにともない会計・税務業務の発生が期待できます。
そして、資産価値向上は相続等資産税対策の需要を発生させます。今年の相続税基礎控除の引き下げに加え、路線価上昇によって、生前対策が注目され、財産評価などのコンサルティング業務の需要が高まることが予想されます。大阪都市圏では、路線価での評価により相続税に有利となるタワーマンションが数多く建設されていることも、その傾向に拍車をかけています。
現在、関西圏で活動する税理士事務所、税理士法人の採用も好調な状況にあります。転職をお考えの関西の税理士・会計士の皆様は、地域経済の状況に目を向けながら、希望する業務内容についてアピールできるように準備しておくことをおすすめします。
公認会計士の資格を活かせる関西圏の求人はこちら >>
税理士の資格を活かせる関西圏の求人はこちら >>