2015年11月20日
貯蓄から投資への誘導・世代間の財産移転の推進等を目的に、平成27年から新たに始まる制度「ジュニアNISA」。
従来のNISAと同様、制度の根幹が譲渡益や配当金等にかかる所得税が非課税扱いになることから、税理士による情報提供やコンサルティングが期待されるところです。
まずは、ジュニアNISAの制度内容について確認しておきましょう。ジュニアNISAは、従来NISA口座が開設できなかった0~19歳の未成年者を対象に、金融商品の譲渡益・配当金等にかかる所得税を非課税とする、年間80万円の口座を設けることができる制度です。
従来のNISAと大きく異なる点として、原則としてジュニアNISA口座内の財産は、18歳までは払い出しができないことがあります。そして、20歳以降は自動的に成人用のNISA口座で運用を続けることができます。
同制度について、まずつかんでおきたいことは、口座の所有者は未成年者ではありますが、財産運用の主体は成人者、多くは親あるいは祖父母が中心になるということです。
成人用NISAは、平成27年度税制改正で平成28年1月1日以降、100万円から120万円に拡大されることが決定しましたが、ジュニアNISAは実質的に、その枠をさらに広げる制度と考えることもできます。
ただし、運用手法には違いが出ることが考えられます。ジュニアNISAは原則18歳までは引き出しができない口座であることから、従来のNISAよりも長期運用に向いた金融商品が選好されると予想されます。個別株式より、国債や元本保証のある投資信託など、どちらかというと低リスク商品を中心とした運用が適しているといえるでしょう。
すでに金融機関では口座開設の勧誘が盛んになされていますが、ジュニアNISAは「少額投資非課税制度」であることから、税理士のアドバイスが重要であることは論をまちません。
実際の投資ポートフォリオの構築、購入する金融商品の内容について助言することはできなくても、正しい税知識を提供することは、顧問先が制度の特質に合わせ、適切な投資戦略を立てるための一助となるはずです。
また、高齢者層から若年層への財産移転が想定された制度であることから、ほかの相続・贈与税制と関連付けながら選択肢の一つとしてとらえることが重要です。ジュニアNISAと並行して利用される可能性の高い、暦年贈与や、平成25年にスタートした教育資金贈与税非課税制度などとの関係をもう一度整理し、選択肢を提示することが必要となるでしょう。