2014年8月4日
厚生労働省が行った平成25年の賃金構造基本統計調査によると、10人以上の事務所に勤務する税理士・会計士の月収の平均は55万9800円、 年間の賞与等が161万2900円(平均年齢38歳)。 このデータから、勤務税理士・会計士の平均年収は約833万円と概算できます。
このように税理士・会計士が一般の会社員よりも収入が多めであることは間違いないと言えるでしょう。
しかし、同調査を詳細に見ると、事務所の規模により年収に大きな違いが出るという実態が浮かびあがってきます。
事務所の規模が100人から999人の区分を見ると、平均年齢が38.7歳、月収が70万3900円、賞与が147万3900円となり、
年収は約992万円。一方、10人から99人までの事務所は、月収46万5500円、賞与103万4500円、年収は約662万円と、300万円以上の差があります。
しかも、10人から99人の区分の平均年齢は43.5歳で、全体の平均より高くなっています。
従業員100人以上の会計事務所は、税理士業界ではかなり大きい事務所に分類されます。
そして、同調査は9人以下の事業所は調査対象外ですが、その規模の税理士事務所は珍しくありません。
より小さな規模の事務所を含めた実態は、また異なるものとなることは容易に想像がつきます。
大規模事業所に勤務税理士の収入につながるスケールメリットがあることは確かでしょう。
しかし、大きさが全てではありません。
小規模な事務所に勤務税理士が少ないということは、ひとりひとりの税理士の役割が相対的に大きくなることも意味します。
これは、事業所内の出世を考える際に、端的なメリットと言えます。
また、事務所の業務全体を見て、幅広く業務を手がけることができるのは、大規模法人にはないやりがいです。
将来的な自身の市場価値を考えた時にも、プラスになりえるでしょう。
そして、小回りがきく小規模事務所では、効率性の高い事業に厚く経営資源を投入し、大事務所に匹敵、
むしろそれ以上の高収益性が期待できる場合があります。たとえば、相続等、資産税に関するコンサルティングに特化する事務所、
不動産経営、医療機関など、業種を絞って経営全体の助言を行う事務所などです。
こういった専門分野の立上げを検討する小規模事務所に中枢メンバーとして参加することができれば、高い収入も望めます。
転職を考える税理士が、冒頭に紹介した事務所規模による収入の違いを考慮するのは当然のことです。
しかし、大規模事務所に入所することだけが高収入を得る道ではないことも意識すべきでしょう。
面接の受け答えでは「御社の将来性に…」というお決まりの言葉がありますが、お金のプロである税理士の転職では、
その事務所が取り組む業務や経営戦略を検討し、収益構造を分析した上で転職先を決めたいところです。
そして、入社後に事務所の収益性を高めるための提案が行える人材であることを、面接の時点でアピールするくらいの心構えも必要なのではないでしょうか。