2015年7月23日
関西経済を支える存在として注目度を増す海外からの観光客。地域企業・経済団体には、外国人観光客の実態を正確に把握し、事業展開や地域おこしに役立てたいというニーズがあります。そこで動いたのが日本銀行大阪支店。関西経済連合会などと連携し、訪日外国人の消費動向に関する統計を整備することを発表しました。
日銀大阪支店は2014年10月に、レポート「訪日外国人客による消費が近畿の個人消費にもたらす効果について」を公表しています。この中で、関西の訪日観光客による「インバウンド需要」ついて、「全国と比べ強め」とまとめています。
レポートでは、その要因として、関西国際空港に就航するLCCを中心とした国際線旅客便のアクセスの良さを挙げています。とくに買い物を目的としたアジアからの観光客が多く、購入品目も家電量販店でのデジタル家電、百貨店やドラッグストアの化粧品、衣料品、テーマパークなど多岐にわたっていることも取り上げられています。
日銀大阪支店は、これらの調査により、訪日外国人客の消費動向を把握できる統計を整備することの重要性を強く認識。「関西インバウンド統計会議」を立ち上げました。主なメンバーは、関西経済連合会、関西広域連合、大阪商工会議所、関西経済同友会等、主要経済団体が名を連ねています。
統計会議で大きなテーマとなっているのは、より詳細な統計データ。従来、同様の調査を行う場合、省庁等で公表されている各種統計からの推計に頼っていましたが、企業や商店から生のデータを収集し、関西に特化した消費の実態を独自に収集することを念頭に置いています。これにより、地域として的確な観光戦略を立て、情報提供により個々の事業者の経営戦略にも役立てることができます。
日銀大阪支店の新たな試みによる統計データは、卸売・小売事業者はもちろん、会計士や税理士のコンサルティングの際の基礎資料としても利用価値の高いものとなってくれるでしょう。
関西圏の会計人にとってインバウンド需要の高まりは、業務内容の変化、新たな分野への事業展開につながる可能性もあります。
税務では、2014年10月に、原則としてすべての品目に拡大された消費税免税店での会計処理、また免税店になるための国税当局の許可申請に関する情報提供などが考えられます。
日銀で新たに作成される統計データが、関西の勤務税理士のスキルアップのためのヒントを提供してくれることを期待したいところです。