2015年8月3日
税理士になるためのルートには、大きく分けて税理士試験5科目合格、公認会計士・弁護士資格での登録、税務行政に一定期間携わることによる試験免除があります。また、大学院の学位取得による科目免除も広く行われています。この各登録ルートの割合について、とくに税理士の間で話題になることも多い、OB税理士を中心に調べてみました。
まず、平成27年3月31日時点の日税連の登録事績では、税理士の登録ルートは以下のような割合になっています。
国家試験合格者 | 45.67% |
試験免除者 | 33.51% |
特別試験合格者 | 8.42% |
公認会計士 | 11.61% |
弁護士 | 0.73% |
次に、最近の各ルートからの税理士登録者の傾向を見てみましょう。平成26年4月1日~平成27年3月31日までの、新規税理士登録者数の内訳です。
国家試験合格者 | 31.53% |
試験免除者 | 48.33% |
特別試験合格者 | 0.04% |
公認会計士 | 18.62% |
弁護士 | 1.49% |
ここからわかることは、試験免除者と公認会計士は、税理士全体から見た割合より新規登録から見た割合が大きく上回っていること。
とくに試験免除者が顕著な増加傾向を示しています。
一方、試験合格者の割合は低下傾向であることがわかります。
上記の統計は全登録者のデータを集計したものであり、極めて正確なものです。
しかしこの数字ではわからない重要なポイントがあります。それはOB税理士の割合です。
このデータで「国家試験合格者」とされているのは、税理士試験5科目合格者。
「試験免除者」の区分には、OB税理士だけではなく、大学院の学位取得による一部科目免除者が含まれます。平成14年まで可能だったいわゆる「ダブルマスター」による税法・会計科目の全部免除も当然含まれます。
なお、昭和61年3月まで存在し、現在は実施されていない「特別試験合格者」は、税務署等に務めていた人が対象の試験であり、広義のOB税理士といえます。
OB税理士の数を知るうえで参考になるのが、平成26年4月に実施され、平成27年に発表された「第6回税理士実態調査報告書」の「資格取得前の職業」の質問です。
ここで「税務職員(国税)」と回答した税理士は30%となりました。「約3割」という数字は、一つの目安になるものと思われます。
そして興味深いのが、前回、前々回調査の数字です。前回の平成16年の調査で、資格取得前の職業として「税務職公務員」と回答した人は39.4%。平成6年の前々回は50.0%です。
OB税理士は減少傾向にあることが推測されます。
OB税理士の減少は、経済状況の悪化や、顧問先のあっせんが行われなくなったこと等が大きく影響していることが考えられます。しかし、税務職員の採用数は基本的に増え続けており、とくに平成一けた年は、消費税導入直後で人員が強化された時期。今、この時期に採用された公務員が税理士資格を得ています。
OB税理士の割合は、低下傾向にあるものの、今後増える要素もある、微妙な状態にあるといえるでしょう。