2015年2月9日
税理士は中小企業にとって、経営の幅広い課題への助言を行うコンサルタントとして期待されています。
これは、記帳代行や税務申告業務にとどまらない税理士事務所の収益業務の確立という観点からもよく語られるところです。
現在、税理士のその役割は公的な制度として形になっています。それが経営革新等支援機関制度です。
経営革新等支援機関は、「中小企業支援を行う支援事業の担い手の多様化・活性化を図る」制度として、平成24年に創設。
中小企業庁が、税務、財務、金融等に関する実務経験の豊富な個人、法人を同機関として認定しています。
経営革新等支援機関の主な業務は、支援を要請する企業の財務状況、キャッシュフロー、市場動向等の調査・分析を行い、
経営改善計画、資金計画、マーケティング等の指導及び助言を行い、実行を支援することです。この業務には、
計画実行後の実施状況のモニタリングやサポートも含まれています。
2014年11月までに支援機関として認定されているのは、23,004機関。
銀行や信用金庫などの金融機関、税理士、公認会計士、中小企業診断士等が認定されていますが、中でも数が多いのが、税理士事務所、税理士法人です。
税理士資格者は、財務・会計等の実務経験が担保され、以前から中小企業に対し同様の業務を行うケースが多いことから、
認定がなされやすい業種であると言えるでしょう。
支援の依頼は、企業が中小企業庁等の公表するリストを参照し、税理士事務所等に直接することもありますが、
全国の商工会議所、商工会、地域の産業振興機構等に設置された「よろず相談拠点」が相談内容に合った機関を紹介する方法もあります。
これは大きなポイントです。
現在のところ、税理士事務所がコンサルティングを行う場合、税務顧問として契約している企業から、
税務に付随する形で相談を受けたことがきっかけとなるケースが多いでしょう。
税務以外の個別の相談を「入口」として、コンサルティング依頼を受ける態勢をもつ事務所は少ないのが現状です。
経営革新等支援機関制度は、その受注ルートを国が整備していると考えることもできます。
機関の認定をうけ、支援業務に携わることで、事務所の業務の幅が広がり、勤務税理士のスキルも高まることが期待できます。
認定が増え続けている現状で、同制度の認知度が高まっていることもあり、関連業務を手がけた経験が転職の際のアピールポイントになることも期待できます。
勤務する事務所の事業展開のための新たなプロジェクトとして認定申請を提案してみてはいかがでしょうか。