2015年9月24日
アベノミクスの課題の一つである地方創生。企業の本社などが首都圏に集中している状態を是正するとともに、地方経済の活性化、雇用の促進を目的とした数々の政策が実施されています。税制ではいわゆる「地方拠点強化税制」として、様々な税制がパッケージで新設されています。
地方拠点強化税制は、東京圏、中部圏中心部、近畿圏中心部を除く地域に、オフィスを構えた企業が対象となり、タイプとしては「拡充型」と「移転型」に分かれます。
拡充型は、従来地方に本社を構えている企業が、企業規模を拡大した際に適用されます。そして移転型は、東京23区内から、対象エリアへ本社機能を移転した場合に適用されます。拡充型よりも大きな優遇措置が施されています。
地方拠点強化税制は、上記の要件を満たす企業に対する税優遇の総称です。そのうち、雇用促進税制は、地方拠点で雇用者が1人増加するごとに法人税の税額控除が行われるもので、拡充型は50万円、移転型は最大80万円が控除されます。さらに、移転型の場合、雇用の維持により30万円が最大3年間継続します。
オフィス取得減税は、社屋を新しく取得した場合に、拡充型は特別償却15%または税額控除4%、移転型は特別償却25%または税額控除7%の優遇を受けられます。
同税制は、地方の企業はもちろん、地方で活動し、地元企業に関与する税理士にとっても大きなチャンスとなりえます。
拡充型では、地方の顧問先に適用のためのアドバイスを行うことができます。そして、移転型については、大規模な税理士法人が、地方の支社と連携して実務を行うことが考えられます。その際は、地方の勤務税理士も重要な業務を担当することになります。
また、移転型では、本社機能の移転をきっかけに、顧問税理士の変更を検討する企業が出てくることも考えられます。地方の税理士事務所・税理士法人にとってはビジネスチャンスとなるでしょう。
地方の税理士は、同税制の詳細のほか、それぞれの地域での企業誘致に関する地方税優遇など、関連する税制の研鑽を積んでおく必要があります。現在、税制に限らず、特区や助成金など、地方創生のための施策が議論され、実施されているなか、地方創生の波に乗り、会計・税務の知識を基に地域活性化の先頭に立つ人材の登場に期待したいところです。