2014年9月18日
税理士のステップアップとして、他士業との「ダブルライセンス」は選択肢の一つ。 新たな資格を得るためには、何らかの試験にチャレンジする必要があります。 しかし、税理士が試験等を受けなくても得ることができる資格があります。それが行政書士です。
行政書士の主要業務に、各種許認可業務があります。建設業、宅建業(不動産業)、運輸業などの顧客が行う、各業法に基づく申請を代行する仕事です。
これらには数年ごとの更新がありますので、顧問先の申請業務を継続的に請け負うことができれば業務の幅は広がります。
とくに建設業の許可や入札審査には、財務的な要件がありますので、会計的知識が豊富な税理士が力を発揮できる分野でもあります。
行政書士の業務は幅広く、会社設立の際の定款認証、外国人労働者の就業のための在留許可申請、契約書の作成等、会計事務所の顧問先の状況によって、
税理士業務と親和性の高い行政書士業務が見つかることは多いようです。
ある税理士法人で、建設業許可申請業務に本格的に乗り出す際、所長と勤務税理士のどちらかが行政書士に登録することになったそうです。
そして、高齢の所長が顧問先企業に直接訪問することが少なくなっていたこともあり、勤務税理士がその役を担うことになりました。
こういった場合、行政書士登録の際に、事務所の所在地を税理士事務所内にしたとしても、あくまで代表者は登録者の勤務税理士です。
勤務税理士の名前で「○○行政書士事務所」という事務所ができることになります。「所長」としての自覚からか、その勤務税理士のモチベーションもかなり上がったそうです。
また、行政書士登録は勤務する会計事務所の意向にかかわらず、自宅等を事務所として、自らの資格で行うことができるものでもあります。
勤務税理士にとっては、身近なステップアップの方策となるでしょう。
勤務税理士として行政書士業務を行った経験のある人材は、経営の多角化を考える会計事務所にとって大きな魅力。
勤務する事務所を退職したあとも、自分のライセンスとして、将来にわたるアピールポイントとなってくれます。
税理士業務を行いながら各種業法、申請書の書き方などを学ぶことには限界もありますが、直接的に許認可業務を行った経験がなくても、
行政書士会の単位会の会合、研修などで、各種の専門家とつながりができることもあります。他士業の世界を見ることで、将来の可能性を広げる新たな気づきを得られるかもしれません。