2014年12月25日
今年10月から、外国人旅行者への消費税免税制度が大幅に拡充されました。外国人観光客が多く集まる地域では、輸出物品販売場(免税店)となることを積極的に検討する小売店が増えているようです。 この動きは、税理士業務にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
免税店で売られているものと聞いてすぐに思いつくのが、家電製品やブランド物のバッグ、衣料品等。
しかし今回の改正では、従来免税による販売の対象となっていなかった消耗品についても消費税免税の道が開けました。
金額、包装方法等の要件はありますが、品目としては改正により対象がほぼ全てに及ぶことになり、
小売業界へのインパクトは相当なもので、許可を受けることのできる店舗が大幅に増えることになります。
免税店になるためには税務署への許可申請を提出する必要があります。
税理士業務としては、まずこの許可申請の書類作成や申請代理を受任することが考えられます。
10月以降、小売店が集まる地域では法人会等の税務団体、また税理士単位会の支部主催で小売店に制度を周知するためのセミナー開催や、
個々の会計事務所が許可申請に関する内容の営業を行うなどといった動きが見られます。
許可を受けたあとのサポートも大切です。免税販売のための人員等の体制整備、購入時の「購入記録票」「購入者誓約書」の
作成・保存に関する実務アドバイス、免税で販売した場合の会計処理などについても、
顧問税理士として確実に支援する役割が期待されます。
税理士業界では現在、国際税務への注目度が高くなっています。
免税制度はもちろん日本の消費税制度も経済のグローバル化と切っても切り離せない存在であり、広義の国際税務といえるかもしれません。
外国人旅行者の需要取り込みは、日本経済の浮上のキーワード。
現在円安傾向にある為替レートが国内事業者の経営に大きく影響する分野でもあります。
キャリアアップを目指す税理士の皆様も、あらゆる顧問先の業務について、
国外の経済状況に目を向けなくてはならないことを常に意識したいものです。
免税店の実務は税務上それほど難しいものではありませんが、顧問先の業務を通して税理士業務が「世界」とつながっていることを
身近に感じさせてくれます。積極的に関わることで、自分にとって有益な情報を得るきっかけとなるのではないでしょうか。