2015年10月19日
最近の景気回復傾向から、企業業績、投資需要の向上も見られるようになりましたが、とくに好調を維持しているのがソフトウェア・ゲーム企業。クラウド技術や課金モデルの発展、電子書籍や音楽等の電子コンテンツとの連携等で新たなサービスが生まれ、新興企業のIPO(新規株式上場)が相次ぐなど、新たな経済のけん引役として注目されています。
企業の業績アップは税理士への需要を高めます。IT系企業では、会計・税務処理にも特徴があるため、会計の専門知識が必須です。会計で注意すべきポイントとして挙げられるものに、たとえばソフトウェアの費用、資産に関する処理があります。
ソフトウェア開発を行う企業では、ソフトの開発費をいつ費用として計上するか、あるいは固定資産として計上すべきなのか、というタイミングが問題です。ベンダーとして外部に販売するソフトウェアか、自社で開発し使用するソフトウェアかで、処理に違いがあることも重要なポイントとなります。
ソフトウェアに代表される特殊な会計・税務処理は、適切な税務を行うために必要であるだけでなく、決算報告のための財務会計、適切な管理会計や原価計算等、財務情報を経営戦略に役立てるためにも重要です。新興企業では特に、新たな事業に積極投資をする傾向があり、IPOやM&Aによる事業展開に積極的であることから、会計人には高い知見が必要となります。
IT系の経営者の多くが求めているのは、税法の適用関係だけではなく、財務会計・税務会計・管理会計それぞれに経験・スキルを持つ税理士。IT系企業に関与することで、コンサルティングなど付加価値業務につながりやすいことに注目すべきでしょう。
現在、会計人の転職市場においては、IT分野に顧問先を多く持つ税理士事務所による求人だけではなく、IT系企業が経理・財務部門の体制の整備のため直接税理士資格者を募集する動きも盛んです。企業内税理士として経験を積み、将来的にはCFOなど、財務の重要ポストへの就任が期待されていることも多いようです。
スキルの高い会計人材を求めるIT系企業は、積極的な事業展開を図る見通しのあることを示しているともいえます。現在の企業規模は大きくなくとも、ベンチャーとしての将来性に期待できるでしょう。「自ら経営に関わっていきたい」という気概を持つ税理士の皆様は、求人情報をチェックしてみてはいかがでしょうか。